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第26話 年末大掃除

 十二月下旬。




 冬休み。




 今年も残りわずかだった。







 午後。




 映像アーカイ部の部室。




 三人はいつものように集まっていた。




 だが今日は少し違う。




 机の上には掃除道具が置かれている。







「大掃除するか」




 シルヴァが言う。




「部長みたい」




 ティナが笑う。




「違う」




 クジャが言う。




 その通りだった。




 映像アーカイ部に部長はいない。




 なんとなく三人でやっている。




 最初からずっとそうだった。







「でも確かに汚いね」




 ティナが部室を見回す。




 机。




 本棚。




 棚の上。




 よく見ると埃もある。







「掃除」




 クジャが言う。




「掃除だな」




 三人は立ち上がった。







 窓を開ける。




 冷たい空気が入ってくる。




「寒っ」




 シルヴァが言う。




「開けたの自分」




 ティナが返す。




「自業自得」




 クジャも言う。




 反論できなかった。







 掃除開始。




 机を拭く。




 本を整理する。




 機材を片付ける。




 思った以上に作業は多かった。







 棚の奥。




 シルヴァが古い箱を見つける。




「なんだこれ」




 開ける。




 中には写真だった。




 映像アーカイ部の活動写真。







 春。




 入部した頃。




 まだ三人とも少し距離がある。




「若いな」




 シルヴァが言う。




「一年も経ってない」




 ティナが呆れる。




「早い」




 クジャが言った。







 夏祭り。




 海。




 花火。




 文化祭。




 写真は少ない。




 でも動画は残っている。




 それが映像アーカイ部だった。







「結構撮ったな」




 シルヴァが言う。




 ティナも頷く。




「撮ったね」




 クジャも同意した。







 春。




 登録者ゼロ。




 動画一本。




 そこから始まった。




 今は四百八十九人。




 少しだけ増えた。







「来年どうなるかな」




 ティナが言う。




 シルヴァは少し考える。




「千人?」




「高い」




 クジャが即答した。







「じゃあ六百人」




「弱気」




 ティナが笑う。




 三人も笑った。







 掃除は続く。




 夕方になる頃にはかなり綺麗になっていた。




 机も。




 棚も。




 床も。




 見違えるほどだった。







「終わった」




 シルヴァが椅子に座る。




「終わったね」




 ティナも座る。




「終わった」




 クジャも頷く。







 窓の外。




 冬の夕焼け。




 春に初めてここへ来た日を少し思い出す。




 あの日。




 シルヴァは部室の扉を開けた。




 ただそれだけだった。




 でも。




 そこから全部始まった。







「来年もよろしく」




 ティナが言う。




 一瞬静かになる。







「よろしく」




 シルヴァが答える。




「よろしく」




 クジャも頷いた。







 三人は少し笑った。




 特別な言葉ではない。




 でも。




 映像アーカイ部らしかった。







 動画投稿。




 タイトル。




『年末大掃除』







 コメント欄。




『一年お疲れ様』




『来年も楽しみ』




『思い出振り返るの良かった』




『もう年末か』




『この三人好き』







 登録者数。




 四百八十九人。




 ↓




 五百二十三人。







「五百人超えた」




 シルヴァが言う。




 ティナも笑う。




 クジャも頷く。







 春には想像もしなかった数字。




 でも。




 今は三人で喜べる。







 窓の外。




 夕焼けは少しずつ夜へ変わる。




 今年の映像アーカイ部も、残りあと少しだった。

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