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第25話 クリスマス当日

 十二月二十五日。




 クリスマス当日。




 冬休み。




 朝から街は賑やかだった。







 午後。




 映像アーカイ部の部室。




 シルヴァが扉を開ける。




 すると。




 すでにティナとクジャが来ていた。




「早いな」




 シルヴァが言う。




「シルヴァが遅い」




 ティナが返す。




「少し」




 クジャも頷いた。







 部室のクリスマスツリーは今日も光っている。




 昨日より少しだけ静かな空気。




 クリスマスイブが終わったからだろうか。







「クリスマスだな」




 シルヴァが言う。




「クリスマスだね」




 ティナも笑う。




「クリスマス」




 クジャも言った。




 会話の内容は相変わらず薄かった。







 三人はコメント欄を見る。




『メリークリスマス』




『クリスマス当日も期待』




『プレゼント交換しよう』




 そんなコメントが並んでいる。




「プレゼント交換だって」




 ティナが読む。




「持ってきてない」




 シルヴァが即答する。




「持ってきてない」




 クジャも言う。




 その時だった。







「私は持ってきたけど」




 ティナが小さな袋を取り出した。




 シルヴァが固まる。




「え?」




 クジャも少し驚いた。







「そんな高いやつじゃないから」




 ティナは少しだけ視線を逸らした。




 耳が少し赤い。




 だが本人は隠しているつもりらしい。







「二人分」




 そう言って袋を二つ置く。




 シルヴァ用。




 クジャ用。







「おお」




 シルヴァは素直に驚いた。




 中を見る。




 キーホルダーだった。




 シンプルなデザイン。




 普段使いできそうなもの。







「ありがとう」




 自然とそう言葉が出る。




 ティナは少し笑った。




「どういたしまして」







 クジャも受け取る。




「ありがとう」




「うん」




 ティナは少し安心したようだった。







 シルヴァはキーホルダーを見る。




 こういうプレゼントをもらう機会はあまりない。




 だから少し嬉しかった。




「大事にする」




 そう言う。







 一瞬。




 ティナの動きが止まった。




 ほんの一瞬だけ。




「そ、そう」




 それだけ返す。




 だが少しだけ嬉しそうだった。







 クジャは見ていた。




 全部見ていた。




 そして。




「青春」







「うるさい」




 ティナが即答する。







「何が?」




 シルヴァだけ分かっていない。




 クジャはため息をついた。




 いつものことだった。







 三人は少し笑う。




 それで空気が戻った。







 その後。




 三人は駅前を散歩した。




 クリスマス当日の街。




 昨日より人は少ない。




 どこか穏やかだった。







 夕方。




 帰り道。




 冬の空は早く暗くなる。




 イルミネーションが光り始めていた。







「今年ももう終わるな」




 シルヴァが言う。




「早かったね」




 ティナも頷く。




「早い」




 クジャも言った。







 春に出会った。




 そして今は冬。




 本当にあっという間だった。







 部室。




 編集。




 投稿。




 タイトル。




『クリスマス当日』







 コメント欄。




『プレゼントいいな』




『ティナ優しい』




『青春すぎる』




『この空気感好き』




『映像アーカイ部最高』







 登録者数。




 四百三十七人。




 ↓




 四百八十九人。







「もう五百人だな」




 シルヴァが言う。




「見えてきたね」




 ティナが笑う。




「近い」




 クジャも頷いた。







 部室のクリスマスツリー。




 窓の外の冬空。




 そして机の上のキーホルダー。




 それは小さなプレゼントだった。




 でも。




 今年のクリスマスを思い出すには十分だった。

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