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第24話 クリスマスイブ

 十二月二十四日。




 クリスマスイブ。




 学校は終業式を終え、冬休みに入っていた。




 それでも。




 三人はいつものように部室へ集まっていた。







 旧校舎三階。




 映像アーカイ部。




 小さなクリスマスツリーはまだ飾られている。




 部室の中だけ少し特別な雰囲気だった。







「クリスマスイブだな」




 シルヴァが言う。




「イブだね」




 ティナも頷く。




「イブ」




 クジャも言った。




 会話の内容は薄い。




 いつも通りだった。







 コメント欄を見る。




『クリスマス回楽しみ』




『イブ何するの?』




『三人でパーティー?』




 期待されていた。




 少なくとも視聴者はそう思っているらしい。







「どうする?」




 ティナが聞く。




 シルヴァは少し考える。




「ケーキ」




「雑」




「雑」




 二人に即否定された。




 だが。




 結局それになった。







 三人は駅前へ向かう。




 街はクリスマス一色だった。




 イルミネーション。




 クリスマスソング。




 赤と緑の装飾。




 どこを見てもクリスマスだった。







 ケーキ屋には行列ができていた。




「すごいな」




 シルヴァが言う。




「クリスマスだからね」




 ティナが答える。




「クリスマス」




 クジャも頷く。







 しばらく並び。




 三人は小さなホールケーキを買った。




 部費ではなく三人で割り勘。




 高校生らしい。







 部室へ戻る。




 机を寄せる。




 ケーキを置く。




 紙皿を並べる。




 それだけで少しイベントっぽかった。







「メリークリスマス」




 ティナが言う。




「まだイブ」




 クジャが言う。




「細かいな」




 シルヴァが笑う。







 三人でケーキを食べる。




 甘い。




 普通に美味しい。




「うまい」




 シルヴァが言う。




「うまいね」




 ティナも笑う。




「うまい」




 クジャも同意した。







 外はもう暗い。




 窓の外にはイルミネーションの光が見える。




 部室のツリーも光っていた。







 ティナは少しだけ窓の外を見る。




 春に出会った。




 夏祭りへ行った。




 海へ行った。




 花火をした。




 文化祭もあった。




 色々あった。




 そして今。




 クリスマスイブを一緒に過ごしている。







「どうした?」




 シルヴァが聞く。




 ティナは少し笑った。




「なんでもない」




 本当は少し違う。




 でも。




 今はそれで良かった。







 クジャはそんなティナを見る。




 そして。




「青春」




 いつもの一言。




「うるさい」




 いつもの返事。




 シルヴァはやっぱり分かっていない。







 三人は笑った。




 それで十分だった。







 夜。




 編集。




 投稿。




 タイトル。




『クリスマスイブ』







 コメント欄。




『メリークリスマス!』




『平和で好き』




『ケーキ美味しそう』




『青春してるな』




『この三人ずっと仲良くいてほしい』







 登録者数。




 三百八十九人。




 ↓




 四百三十七人。







「四百人超えた」




 シルヴァが言う。




「おめでとう」




 ティナが笑う。




「おめでとう」




 クジャも頷く。







 春に始まった映像アーカイ部。




 登録者ゼロ。




 動画一本。




 そこから始まった。




 今は四百三十七人。




 まだ大きな数字じゃない。




 でも。




 三人にとっては十分すごかった。







 クリスマスイブの夜。




 部室の小さなツリーが静かに光る。




 映像アーカイ部の冬は、まだ続いていく。

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