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第23話 放課後クリスマスマーケット(後編)

 クリスマスマーケットの続き。




 外はすっかり夜になっていた。




 空気は冷たい。




 だが広場は人で賑わっている。




 イルミネーションの光が街を照らしていた。







 三人はゆっくり歩いていた。




 急ぐ理由はない。




 撮影も順調。




 だから今日は景色を楽しむ時間の方が長かった。







「夜になるともっと綺麗だな」




 シルヴァが言う。




 ティナも周囲を見回す。




「本当だね」




 クジャも頷く。




「綺麗」




 広場全体が光に包まれていた。







 歩いていると。




 小さな雑貨屋台を見つけた。




 クリスマス限定らしい。




 手作りのキーホルダーや小物が並んでいる。




「こういうの好きそう」




 シルヴァが言う。




 ティナを見る。




「どういう意味?」




「なんとなく」




 ティナは少し笑った。







 その時。




 ティナの視線が一つのキーホルダーで止まる。




 星の形。




 小さなガラス細工だった。




「綺麗」




 ぽつりと呟く。







 シルヴァも見る。




「確かに」




 本当に綺麗だった。




 イルミネーションの光を反射している。







 クジャは二人を見る。




 そして。




「青春」




 いつもの一言。




「うるさい」




 ティナが即答する。




 シルヴァだけ意味が分かっていない。




 いつも通りだった。







 広場の奥。




 少し人が少ない場所。




 イルミネーションがトンネルみたいになっていた。




 青い光。




 白い光。




 冬の景色だった。







 三人はそこで少し立ち止まる。




 風が吹く。




 少し寒い。




「冬だな」




 シルヴァが言う。




「冬だね」




 ティナも頷く。




「冬」




 クジャも言った。







 しばらく無言だった。




 でも気まずくない。




 映像アーカイ部では珍しくない時間だった。







 ティナは光のトンネルを見る。




 春。




 夏。




 秋。




 色々あった。




 動画もたくさん撮った。




 気付けば冬になっている。




 少しだけ早かった気がする。







「来年もこうしてそう」




 ティナが言う。




 シルヴァは少し笑った。




「してそうだな」




 クジャも頷く。




「してる」







 三人は笑った。




 来年のことなんて分からない。




 でも。




 今はそんな気がした。







 帰り道。




 駅前のイルミネーションを背に歩く。




 夜空は澄んでいた。




 冬の星も見える。







「クリスマスも近いな」




 シルヴァが言う。




「あと少し」




 ティナも答える。




「少し」




 クジャも頷いた。







 部室へ戻る。




 編集。




 投稿。




 今日の映像は綺麗だった。




 いつもより少しだけ。




 エモい動画になった気がする。







 タイトル。




『クリスマスマーケット 後編』







 コメント欄。




『雰囲気最高』




『冬回好き』




『なんか泣きそうになった』




『この三人ずっと見ていたい』




『来年も続いてほしい』







 登録者数。




 三百四十五人。




 ↓




 三百八十九人。




「もう四百人見えてるな」




 シルヴァが言う。




「本当だ」




 ティナも嬉しそうだった。




「近い」




 クジャも頷く。







 部室の小さなクリスマスツリー。




 窓の外の冬空。




 そして三人の笑い声。




 クリスマスイブは、もうすぐだった。

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