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第22話 放課後クリスマスマーケット(前編)

 十二月中旬。




 街は少しずつクリスマス色に染まり始めていた。




 駅前のイルミネーション。




 店先の飾り付け。




 流れてくるクリスマスソング。




 どこへ行っても冬を感じる。







 放課後。




 映像アーカイ部の部室。




 三人はいつものようにコメント欄を見ていた。




『クリスマスマーケット行ってほしい』




『イルミネーションの続き見たい』




『冬イベント回期待』




 シルヴァはスマホを置く。




「行くか」




「早いね」




 ティナが笑う。




「いつも通り」




 クジャも頷いた。







 土曜日。




 駅前広場。




 冬のイベントとして開催されているクリスマスマーケットだった。




 木製の屋台。




 イルミネーション。




 大きなクリスマスツリー。




 思った以上に賑わっている。




「すごいな」




 シルヴァが言う。




「思ったより本格的」




 ティナも周囲を見回す。




「綺麗」




 クジャも小さく呟いた。







 三人はゆっくり歩き始める。




 ホットチョコレート。




 焼き菓子。




 クリスマス雑貨。




 見ているだけでも楽しい。







「これ美味そう」




 シルヴァが立ち止まる。




 屋台の前だった。




 ティナは苦笑する。




「食べ物ばっかり」




「大事だろ」




「大事」




 クジャが同意した。




 ティナは諦めた。







 三人でホットチョコレートを買う。




 紙カップから湯気が立つ。




 冷えた手が少し暖かくなった。




「うまい」




 シルヴァが言う。




「分かる」




 ティナも頷く。




「分かる」




 クジャも同意した。







 広場の中央。




 大きなツリーの前。




 たくさんの人が写真を撮っていた。




 三人も立ち止まる。




 イルミネーションが光る。




 冬の夜空。




 綺麗だった。







 ティナはスマホを取り出した。




「写真撮ろうよ」




「いいな」




 シルヴァが答える。




 クジャも頷いた。







 三人で並ぶ。




 スマホを構える。




 撮影。




 確認。




 そして。




「なんか変な顔してる」




 ティナが笑った。




「してない」




 シルヴァが否定する。




「してる」




 クジャが言う。




 今日も二対一だった。







 その後も。




 三人は色々な屋台を見て回った。




 雑貨を見たり。




 飾りを見たり。




 動画を撮ったり。




 気付けば時間はかなり過ぎていた。







 イルミネーションが一番綺麗な時間。




 広場全体が光っている。




 人も増えている。




 冬の景色だった。







 シルヴァはふと思う。




 春に映像アーカイ部へ入った時。




 こんな冬を迎えるとは思わなかった。




 ティナ。




 クジャ。




 動画。




 部室。




 全部が当たり前になっている。




 少し不思議だった。







「どうした?」




 ティナが聞く。




「いや」




 シルヴァは笑う。




「楽しいなと思って」




 ティナも少し笑った。




「私も」




 クジャも頷く。




「私も」







 夜。




 部室へ戻る。




 クジャが編集を始める。




 今日だけでも十分動画になりそうだった。







 投稿。




 タイトル。




『クリスマスマーケットに行ってきた』







 コメント欄。




『冬って感じ』




『イルミネーション綺麗』




『この三人好き』




『後編もありそう』




『楽しそうで良かった』







 登録者数。




 三百十二人。




 ↓




 三百四十五人。




「増えたな」




 シルヴァが言う。




「順調だね」




 ティナも笑う。




「順調」




 クジャも頷いた。







 クリスマスまであと少し。




 映像アーカイ部の冬は、まだ始まったばかりだった。

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