第21話 放課後クリスマス準備
十二月。
気温はすっかり冬だった。
朝の通学路では白い息が見える。
制服だけでは少し寒い。
そんな季節になっていた。
◇
放課後。
映像アーカイ部の部室。
シルヴァは暖房の前から動かなかった。
「寒い」
ティナが呆れる。
「まだそこ?」
クジャも見る。
「寒いからな」
シルヴァは真顔だった。
◇
コメント欄を見る。
最近は季節ネタが増えている。
『クリスマス回やって』
『冬企画見たい』
『三人でクリスマス準備してほしい』
分かりやすかった。
とても。
◇
「クリスマスか」
ティナが言う。
「もうそんな時期」
クジャも頷く。
シルヴァはスマホを置いた。
「やるか」
「やるか」
「やる」
決定だった。
◇
三人は放課後に買い出しへ向かった。
駅前の百円ショップ。
クリスマスコーナー。
飾り。
リース。
小さなツリー。
色々並んでいる。
◇
「思ったよりあるな」
シルヴァが言う。
「あるね」
ティナも驚いている。
「ある」
クジャも言った。
◇
結局。
小さなツリーを買った。
ついでに飾りも買った。
予算は少ない。
だが。
映像アーカイ部には十分だった。
◇
部室へ戻る。
机を寄せる。
ツリーを置く。
飾り付け開始。
◇
「これどこ付ける?」
シルヴァが聞く。
「そこじゃない?」
ティナが答える。
「違う」
クジャが言う。
即修正された。
◇
十分後。
二十分後。
三十分後。
完成。
小さなクリスマスツリー。
部室の真ん中。
少し不格好。
でも悪くない。
◇
「できたな」
シルヴァが言う。
「できたね」
ティナも笑う。
「完成」
クジャも満足そうだった。
◇
窓の外はもう暗い。
ツリーのライトが光る。
静かな部室。
少しだけ特別な空間になっていた。
◇
「なんかいいな」
ティナが言う。
シルヴァも頷く。
「分かる」
クジャも同意した。
大きなイベントではない。
ただ飾り付けをしただけ。
それでも。
三人でやると少し楽しかった。
◇
その時。
ティナがスマホで写真を撮る。
ツリー。
部室。
窓の外。
「思い出?」
シルヴァが聞く。
「思い出」
ティナが笑う。
クジャも頷いた。
「記録」
映像アーカイ部らしい答えだった。
◇
編集。
投稿。
タイトル。
『放課後クリスマス準備』
◇
夜。
コメント欄。
『部室かわいい』
『こういう回好き』
『冬って感じ』
『三人の空気感好き』
『クリスマス回楽しみ』
◇
登録者数。
二百八十七人。
↓
三百十二人。
◇
「三百人超えた」
シルヴァが言う。
ティナも笑う。
クジャも頷く。
三百人。
春には想像もしなかった数字だった。
◇
窓の外。
冬の夜空。
部室のツリーは静かに光っている。
映像アーカイ部の冬が始まろうとしていた。




