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第21話 放課後クリスマス準備

 十二月。




 気温はすっかり冬だった。




 朝の通学路では白い息が見える。




 制服だけでは少し寒い。




 そんな季節になっていた。







 放課後。




 映像アーカイ部の部室。




 シルヴァは暖房の前から動かなかった。




「寒い」




 ティナが呆れる。




「まだそこ?」




 クジャも見る。




「寒いからな」




 シルヴァは真顔だった。







 コメント欄を見る。




 最近は季節ネタが増えている。




『クリスマス回やって』




『冬企画見たい』




『三人でクリスマス準備してほしい』




 分かりやすかった。




 とても。







「クリスマスか」




 ティナが言う。




「もうそんな時期」




 クジャも頷く。




 シルヴァはスマホを置いた。




「やるか」




「やるか」




「やる」




 決定だった。







 三人は放課後に買い出しへ向かった。




 駅前の百円ショップ。




 クリスマスコーナー。




 飾り。




 リース。




 小さなツリー。




 色々並んでいる。







「思ったよりあるな」




 シルヴァが言う。




「あるね」




 ティナも驚いている。




「ある」




 クジャも言った。







 結局。




 小さなツリーを買った。




 ついでに飾りも買った。




 予算は少ない。




 だが。




 映像アーカイ部には十分だった。







 部室へ戻る。




 机を寄せる。




 ツリーを置く。




 飾り付け開始。







「これどこ付ける?」




 シルヴァが聞く。




「そこじゃない?」




 ティナが答える。




「違う」




 クジャが言う。




 即修正された。







 十分後。




 二十分後。




 三十分後。




 完成。




 小さなクリスマスツリー。




 部室の真ん中。




 少し不格好。




 でも悪くない。







「できたな」




 シルヴァが言う。




「できたね」




 ティナも笑う。




「完成」




 クジャも満足そうだった。







 窓の外はもう暗い。




 ツリーのライトが光る。




 静かな部室。




 少しだけ特別な空間になっていた。







「なんかいいな」




 ティナが言う。




 シルヴァも頷く。




「分かる」




 クジャも同意した。




 大きなイベントではない。




 ただ飾り付けをしただけ。




 それでも。




 三人でやると少し楽しかった。







 その時。




 ティナがスマホで写真を撮る。




 ツリー。




 部室。




 窓の外。




「思い出?」




 シルヴァが聞く。




「思い出」




 ティナが笑う。




 クジャも頷いた。




「記録」




 映像アーカイ部らしい答えだった。







 編集。




 投稿。




 タイトル。




『放課後クリスマス準備』







 夜。




 コメント欄。




『部室かわいい』




『こういう回好き』




『冬って感じ』




『三人の空気感好き』




『クリスマス回楽しみ』







 登録者数。




 二百八十七人。




 ↓




 三百十二人。







「三百人超えた」




 シルヴァが言う。




 ティナも笑う。




 クジャも頷く。




 三百人。




 春には想像もしなかった数字だった。







 窓の外。




 冬の夜空。




 部室のツリーは静かに光っている。




 映像アーカイ部の冬が始まろうとしていた。

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