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第20話 放課後イルミネーション

 十一月も終わりに近付いていた。




 放課後。




 映像アーカイ部の部室。




 窓の外はすでに薄暗い。




 夏ならまだ明るかった時間だ。




 季節が変わったことを実感する。







 シルヴァはスマホを見ていた。




「これ行くか?」




 ティナが覗き込む。




 クジャも近付く。




 画面には地域イベントの告知が表示されていた。




 駅前イルミネーション点灯式。




「もうそんな時期か」




 ティナが言う。




「冬」




 クジャも頷く。




 シルヴァは立ち上がった。




「動画になるな」




「なるね」




「なる」




 決定だった。







 夕方。




 三人は駅前へ向かった。




 気温はかなり下がっている。




 制服の上に上着を羽織る人も増えていた。




「寒い」




 ティナが言う。




「寒いな」




 シルヴァも同意する。




「寒い」




 クジャも頷いた。




 三人とも同じだった。







 駅前広場。




 人が集まっている。




 家族連れ。




 カップル。




 学生。




 様々な人がいた。




 中央には大きなツリー。




 まだ点灯していない。







「思ったより人多いな」




 シルヴァが言う。




「人気なんだね」




 ティナが周囲を見回す。




 クジャはすでにカメラを回していた。







 やがて。




 カウントダウンが始まる。




 十。




 九。




 八。




 七。




 広場が少しずつ静かになる。




 三人も自然と空を見上げた。




 三。




 二。




 一。







 その瞬間。




 イルミネーションが一斉に点灯した。




 白。




 青。




 金色。




 たくさんの光が夜を照らす。




「おお」




 シルヴァが思わず声を漏らす。




 ティナも見上げていた。




「綺麗」




 クジャも小さく呟く。







 三人は広場を歩く。




 どこを見ても光だった。




 木々。




 噴水。




 歩道。




 全部光っている。




 昼間とは全く違う景色だった。







 ティナは少し足を止める。




 目の前には青いイルミネーション。




 光が瞳に映っていた。




 シルヴァは何となく振り返る。




「どうした?」




「いや」




 ティナは少し笑う。




「思ったより綺麗だったから」




 シルヴァも周囲を見る。




「確かにな」




 それだけの会話だった。




 でも。




 ティナは少しだけ嬉しそうだった。







 クジャはそんな二人を見る。




「青春」




「うるさい」




 今日も即答だった。




 シルヴァは意味が分かっていない。




 クジャは知っていた。




 いつも通りだった。







 帰り道。




 三人は温かい飲み物を買った。




 夜風は冷たい。




 吐く息も少し白い。




 冬が近付いている。







「今年もあと少しだな」




 シルヴァが言う。




「早いね」




 ティナも頷く。




「早い」




 クジャも言った。




 春に出会ったはずなのに。




 もう冬が来る。




 少し不思議だった。







 部室。




 編集。




 投稿。




 タイトル。




『放課後イルミネーション』







 夜。




 コメント欄。




『綺麗だった』




『冬って感じ』




『イルミネーション回好き』




『ティナ楽しそうだった』




『青春だなぁ』







 登録者数。




 二百五十六人。




 ↓




 二百八十七人。




「増えたな」




 シルヴァが言う。




「もう三百人見えてる」




 ティナが笑う。




「見えてる」




 クジャも頷いた。







 窓の外。




 冬の空気が少しずつ近付いている。




 映像アーカイ部の放課後は。




 今日も静かに思い出を残していた。

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