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第17話 放課後図書室

 十月。




 放課後。




 映像アーカイ部の部室。




 三人はいつものようにコメント欄を眺めていた。




 最近は少しずつ視聴者も増えている。




 色々な企画案も届くようになった。




「今日はどうする?」




 ティナが聞く。




 シルヴァは椅子にもたれながら考える。




 特に思いつかない。




 クジャも珍しく何も言わない。




 そんな時だった。




「図書室でも行く?」




 ティナが言った。




「図書室?」




「たまには」




 悪くない。




 シルヴァは立ち上がった。




 クジャも続く。







 放課後の図書室は静かだった。




 ページをめくる音だけが聞こえる。




 窓から差し込む夕日。




 独特の空気がある。




「久しぶりに来たな」




 シルヴァが周囲を見回す。




「私も」




 ティナも本棚を眺める。




 クジャはすでに何かを探し始めていた。







 しばらく歩いていると。




 図書室の奥に小さな棚を見つけた。




 学校資料コーナー。




 あまり目立たない場所だった。




「何だこれ」




 シルヴァが一冊取り出す。




 古いアルバム。




 かなり昔のものらしい。







 三人は机へ持っていく。




 ページを開く。




 そこには何十年も前の学校が写っていた。




「制服違う」




 ティナが言う。




「違う」




 クジャも頷く。




 今とは全然違う。




 校舎も違う。




 グラウンドも違う。




 知らない学校みたいだった。







 ページをめくる。




 文化祭。




 体育祭。




 部活動。




 色々な写真が並んでいる。




 どれも知らない人たちだ。




 だけど。




 楽しそうだった。




「昔も同じなんだな」




 シルヴァが言う。




「何が?」




 ティナが聞く。




「文化祭とか」




 アルバムを見る。




「楽しそうだろ」




 ティナも写真を見る。




 クジャも見る。




「確かに」




「確かに」




 二人も頷いた。







 さらにページをめくる。




 十年前。




 二十年前。




 三十年前。




 時代は違う。




 でも。




 笑っている顔は変わらない。




 少し不思議だった。







「記録だな」




 シルヴァがぽつりと言う。




 クジャが顔を上げる。




「記録」




 映像アーカイ部らしい言葉だった。




 写真も。




 動画も。




 残していることは同じ。




 時間が経っても見返せる。




 思い出せる。







 ティナは窓の外を見る。




 夕焼けが図書室を照らしていた。




「私たちもさ」




 二人を見る。




「何年後かに動画見返すのかな」




 少しだけ静かになる。




 シルヴァは考えた。




 高校卒業後。




 何年も経った後。




 今の動画を見る。




 少し想像する。




「見るだろ」




 自然とそう答えていた。




 クジャも頷く。




「見る」







 しばらく誰も喋らなかった。




 ただアルバムを見る。




 知らない誰かの思い出。




 でも。




 どこか自分たちにも重なった。







 帰り道。




 夕焼けはもう薄くなっていた。




 ティナが歩きながら言う。




「今日地味だったね」




「地味だったな」




 シルヴァも笑う。




「地味」




 クジャも言う。




 でも。




 悪くなかった。




 むしろ映像アーカイ部らしかった。







 部室。




 編集。




 投稿。




 タイトル。




『昔の卒業アルバムを見つけた』







 夜。




 コメント欄。




『こういう回好き』




『記録っていいな』




『映像アーカイ部らしい回だった』




『なんかエモい』




『将来見返したら泣きそう』




 三人はコメントを眺める。




 そして。




 登録者数。




 百九十二人。




 ↓




 二百十一人。




「二百超えた」




 シルヴァが言う。




 ティナも笑う。




 クジャも頷く。




 大きな数字ではない。




 でも。




 三人には十分嬉しかった。




 今日もまた。




 一つ思い出が増えたのだから。

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