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第16話 放課後コンビニ

 十月。




 文化祭も終わり、学校はいつもの日常に戻っていた。




 放課後。




 映像アーカイ部の部室。




 三人は特にやることもなくコメント欄を眺めていた。




 最近は登録者も少しずつ増えている。




 コメントも増えていた。




 その中に。




 少し変わったものがあった。




『コンビニ回とか見たい』




『学校帰りに寄るやつ』




『日常回好き』




 シルヴァはコメントを見て首を傾げる。




「コンビニ?」




 ティナも覗き込む。




「コンビニ」




 クジャも読む。




 三人はしばらく考えた。




 そして。




「行くか」




「行くか」




「行く」




 結論は早かった。







 学校帰り。




 夕方。




 三人は近所のコンビニへ向かっていた。




 特に目的はない。




 動画の企画としても弱い。




 だが。




 それが逆に面白そうだった。




「何買う?」




 ティナが聞く。




「決めてない」




 シルヴァが答える。




「いつも通り」




 クジャが言う。




 否定できなかった。







 コンビニ到着。




 自動ドアが開く。




 涼しい空気が流れてくる。




「生き返る」




 シルヴァが言う。




「大げさ」




 ティナが笑う。




「大げさ」




 クジャも言う。




 三人は店内を歩き始めた。







 飲み物コーナー。




 お菓子コーナー。




 アイスコーナー。




 特に用事はないのに見てしまう。




 それがコンビニだった。




「これ新商品だ」




 ティナが言う。




「本当だ」




 シルヴァも手に取る。




 クジャも見ている。




 三人とも買った。




 こういう時だけ妙に団結力がある。







 会計を済ませる。




 外へ出る。




 夕焼け。




 少し涼しい風。




 三人は店の横のベンチへ座った。




 ジュースを開ける。




 お菓子を食べる。




 ただそれだけ。







「平和だな」




 シルヴァが言う。




「平和だね」




 ティナも笑う。




「平和」




 クジャも頷く。




 本当にそれだけだった。




 事件もない。




 特別なこともない。




 でも。




 不思議と楽しかった。







 ティナが空を見上げる。




 夕焼けは少しずつ暗くなっている。




「夏終わったね」




 ぽつりと言う。




 シルヴァも空を見る。




「終わったな」




 海。




 花火。




 夏祭り。




 ついこの前のことなのに。




 少し懐かしく感じる。




「次は冬」




 クジャが言った。




「気が早い」




 ティナが笑う。




「早い」




 シルヴァも笑った。







 その帰り道。




 横断歩道。




 信号待ち。




 何気ない時間。




 シルヴァはふと思う。




 春に部室へ入った時は。




 こんな風に毎日一緒に帰るとは思っていなかった。




 ティナも。




 クジャも。




 今では当たり前になっている。




 少し不思議だった。







 部室へ戻る。




 クジャが編集を始める。




 今日の動画は本当に普通だった。




 コンビニへ行っただけ。




 それだけ。




 だが。




 映像を見返していると少し笑える。




 きっと。




 こういう日も思い出になる。







 動画投稿。




 タイトル。




『放課後コンビニ』







 夜。




 コメント欄。




『こういう回好き』




『なんか落ち着く』




『高校生って感じ』




『日常回助かる』




『コンビニ行きたくなった』




 三人は画面を見ながら笑った。




 登録者数。




 百七十四人。




 ↓




 百九十二人。




「もう二百人見えてきたな」




 シルヴァが言う。




「早いね」




 ティナも笑う。




「順調」




 クジャも頷いた。







 窓の外。




 夕焼けはもう消えていた。




 秋の夜が少しずつ深くなっていく。




 映像アーカイ部の放課後は。




 今日も静かに続いていた。

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