第15話 放課後ゲーム大会
文化祭が終わって数日。
学校はいつもの日常に戻っていた。
放課後。
映像アーカイ部の部室。
三人はいつものように集まっていた。
だが。
今日は少し違う。
机の上にゲーム機が置かれていた。
◇
「どこから持ってきたんだ」
シルヴァが聞く。
ティナが首を傾げる。
クジャが答えた。
「家」
短い。
いつも通り短い。
机の上には古い家庭用ゲーム機。
少し傷も付いている。
だが問題なく動くらしい。
「動くのか?」
「動く」
クジャは自信満々だった。
◇
コメント欄にも要望が来ていた。
『ゲーム回見たい』
『部室で遊んでほしい』
『スマブラやろう』
確かに。
映像アーカイ部らしい企画かもしれない。
特別な場所へ行かなくてもいい。
部室でできる。
「やるか」
シルヴァが言う。
「やる」
ティナも即答する。
「やる」
クジャも頷いた。
◇
ゲーム開始。
最初は軽い対戦ゲームだった。
シルヴァ。
ティナ。
クジャ。
三人で対戦する。
そして。
「強くない?」
シルヴァが言った。
ティナが勝っていた。
思った以上に強い。
「まあまあかな」
少し得意そうだった。
クジャも頷く。
「強い」
◇
二試合目。
三試合目。
結果は変わらない。
ティナが勝つ。
シルヴァが負ける。
クジャは安定している。
「納得いかない」
シルヴァが言う。
「負けてるから」
ティナが笑う。
「負けてる」
クジャも言う。
反論できなかった。
◇
その後もゲームは続いた。
レースゲーム。
パーティーゲーム。
協力ゲーム。
色々遊ぶ。
気付けば撮影していることを忘れるくらい盛り上がっていた。
◇
夕方。
最後は協力ゲームになった。
三人で力を合わせるタイプだ。
「そっち行った!」
ティナが叫ぶ。
「無理!」
シルヴァが叫ぶ。
「右」
クジャだけ冷静だった。
数分後。
ゲームオーバー。
三人は同時に笑った。
◇
「結局これが一番楽しかったな」
シルヴァが言う。
「分かる」
ティナも頷く。
「分かる」
クジャも同意した。
勝ち負けも楽しい。
でも。
三人で遊ぶ方がもっと楽しかった。
◇
部室。
編集作業。
今日の映像は笑い声だらけだった。
クジャが動画をまとめる。
シルヴァとティナは横から見ていた。
「うるさいな」
シルヴァが言う。
動画の中の自分が。
「うるさい」
クジャも言う。
「うるさいね」
ティナも笑った。
◇
動画投稿。
タイトル。
『放課後ゲーム大会』
シンプルだった。
◇
夜。
コメント欄。
『こういう回好き』
『部活感あっていい』
『ティナ強すぎる』
『クジャ冷静で笑った』
『平和で好き』
三人は画面を見ながら笑った。
登録者数。
百五十八人。
↓
百七十四人。
「増えたな」
シルヴァが言う。
「増えたね」
ティナも笑う。
「順調」
クジャも頷いた。
◇
窓の外。
夕焼けはもう薄くなっていた。
秋の空気が少しずつ近付いている。
映像アーカイ部の放課後は。
今日もいつも通りだった。
そして。
それが少しだけ特別だった。




