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第14話 文化祭当日(後編)

 夕方。




 文化祭は終わりに近付いていた。




 朝から賑やかだった校内も、少しずつ落ち着き始めている。




 それでも。




 まだ楽しそうな声はあちこちから聞こえていた。







 映像アーカイ部の三人は最後の撮影を続けていた。




 校庭。




 中庭。




 廊下。




 朝から見てきた景色が少しずつ変わっていく。




 文化祭の終わりが近付いている。




 そんな空気が漂っていた。




「終わるな」




 シルヴァが言う。




「終わるね」




 ティナも答える。




「終わる」




 クジャも頷いた。







 校内放送が流れる。




『文化祭終了まで残り十分です』




 その瞬間。




 あちこちから残念そうな声が上がる。




 三人も少しだけ静かになった。




 楽しい時間は早い。




 文化祭も同じだった。







 最後に。




 三人は屋上へ向かった。




 普段は立ち入り禁止だが、文化祭期間だけ解放されている。




 夕焼けが街を照らしていた。




 遠くまで見渡せる。




 風が気持ちいい。




「綺麗だな」




 シルヴァが呟く。




 ティナもフェンス越しに街を見た。




「うん」




 クジャも隣に立つ。




 しばらく誰も喋らなかった。




 ただ景色を見ていた。







 高校一年生。




 初めての文化祭。




 春に出会った三人。




 まだ半年も経っていない。




 それなのに。




 もうずっと一緒にいる気がした。




「入ってよかったな」




 シルヴァがぽつりと言う。




「何が?」




 ティナが聞く。




「映像アーカイ部」




 ティナは少し笑った。




 クジャも小さく頷く。




「私も」




「私も」




 二人とも同じだった。







 夕焼けの中。




 三人はカメラを回した。




 文化祭の締めの映像。




 特別な言葉はない。




 でも。




 それで良かった。




 映像アーカイ部らしかったからだ。







 文化祭終了。




 校内放送が流れる。




 同時に大きな拍手が起きた。




 どこからともなく歓声も聞こえる。




 三人も拍手した。




 文化祭は終わった。




 だけど。




 嫌な終わり方ではない。




 楽しかったからだ。







 夜。




 部室。




 クジャが編集している。




 今日だけで撮った映像はかなり多かった。




「長くなりそう」




 ティナが言う。




「なる」




 クジャが答える。




 シルヴァは完成した動画を眺めた。




 朝の校門。




 模擬店。




 体育館。




 夕焼け。




 全部入っている。




 文化祭そのものだった。







 動画投稿。




 タイトル。




『文化祭でした』




 シンプルだった。




 でも。




 それで十分だった。







 数時間後。




 三人はコメント欄を見ていた。




『文化祭楽しそう』




『青春すぎる』




『屋上のシーン良かった』




『文化祭回神だった』




『高校生に戻りたい』




 たくさんのコメントが並んでいる。




 そして。




 登録者数。




 百二十六人。




 ↓




 百五十八人。




「増えたな」




 シルヴァが言う。




「増えたね」




 ティナも笑う。




「順調」




 クジャも頷いた。







 帰り道。




 夜風が吹く。




 文化祭は終わった。




 夏も終わった。




 でも。




 二学期はまだ続く。




 映像アーカイ部の放課後も。




 まだまだ続いていく。




 高校一年生の秋が、静かに始まろうとしていた。

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