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第13話 文化祭当日(前編)

 文化祭当日。




 朝。




 校門の前にはすでに多くの人が集まっていた。




 生徒。




 保護者。




 卒業生。




 そして近隣の人たち。




 普段の学校とは全く違う景色だった。




 シルヴァは校門を見上げる。




 大きな看板。




 文化祭の文字。




 少しだけ緊張した。




「始まったな」




 隣ではティナも空を見上げている。




「始まったね」




 クジャも頷いた。




「始まった」




 高校生活初めての文化祭。




 三人とも少しだけ浮かれていた。







 教室へ向かう。




 昨日まで準備していた装飾は無事完成していた。




 クラスメイトたちも楽しそうだ。




「おー」




 シルヴァが思わず声を上げる。




 昨日見ていたはずなのに。




 完成すると全然違って見える。




「文化祭っぽい」




 ティナが笑う。




「文化祭」




 クジャも言った。







 映像アーカイ部も撮影を開始する。




 校内はどこを歩いても賑やかだった。




 模擬店。




 展示。




 ゲームコーナー。




 ステージ発表。




 普段静かな廊下ですら騒がしい。




「全部撮りたいな」




 シルヴァが言う。




「無理」




 ティナが即答する。




「無理」




 クジャも続いた。







 三人は校内を歩き回った。




 焼きそばを売るクラス。




 お化け屋敷。




 写真展示。




 射的。




 色々な場所を見て回る。




 どこも楽しそうだった。




 撮影しながら。




 食べながら。




 笑いながら。




 時間が過ぎていく。







 中庭。




 三人はベンチに座って休憩していた。




 人の声が遠くから聞こえる。




 空は綺麗に晴れていた。




「思ったより忙しいな」




 シルヴァがジュースを飲みながら言う。




「撮る場所多いからね」




 ティナも笑う。




「多い」




 クジャも頷く。




 文化祭は想像以上だった。







 その時だった。




 校内放送が流れる。




『これより体育館ステージを開始します』




 歓声が聞こえた。




「行く?」




 ティナが聞く。




「行くか」




 シルヴァが立ち上がる。




「行く」




 クジャも続いた。




 カメラを持って体育館へ向かう。







 体育館。




 すでに多くの生徒が集まっていた。




 軽音楽部。




 ダンス部。




 有志発表。




 文化祭ならではのステージだった。




 三人は後ろの席に座る。




 カメラを回す。




 歓声。




 拍手。




 音楽。




 どれも文化祭らしい。




「すごいな」




 シルヴァが言う。




「すごいね」




 ティナも頷く。




「すごい」




 クジャも言った。







 発表が終わる。




 三人は体育館を出た。




 外は少しだけ夕方の色になっている。




 気付けばかなり時間が経っていた。




 それだけ楽しかったのだろう。







 校舎へ戻る途中。




 人混みの中。




 ティナが少し遅れる。




 シルヴァは振り返った。




「大丈夫か?」




「え?」




「人多いし」




 自然な一言だった。




 だが。




 ティナは少しだけ笑う。




「大丈夫」




 そう答えながら歩き出した。




 クジャはそれを見ていた。




「青春」




「うるさい」




 今日も即答だった。







 文化祭はまだ終わらない。




 むしろこれからだった。




 夕方。




 校舎をオレンジ色の光が照らす。




 三人はカメラを持ったまま歩いていく。




 高校一年生の文化祭。




 その一日はまだ続いていた。

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