表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/34

第11話 文化祭準備

 九月中旬。




 二学期が始まって数週間が経っていた。




 放課後。




 ホームルームが終わった瞬間。




 教室の空気が変わる。




「文化祭どうする?」




「クラス展示だって」




「模擬店やりたい」




 あちこちからそんな声が聞こえてきた。




 文化祭。




 高校生にとっては大きなイベントだ。




 シルヴァも少しだけわくわくしていた。







 放課後。




 映像アーカイ部。




 部室へ入るなりティナが言った。




「文化祭だね」




「文化祭」




 クジャも頷く。




 シルヴァは椅子に座りながら笑った。




「動画ネタの宝庫だな」




 それは間違いなかった。




 文化祭準備だけでも動画になる。




 本番も動画になる。




 ネタには困らない。







 コメント欄を確認する。




 すると。




『文化祭動画楽しみ』




『学校イベント見たい』




『準備風景とか見たい』




 すでに期待されていた。




「早いな」




 シルヴァが笑う。




「楽しみにされてる」




 ティナも嬉しそうだった。




「撮るしかない」




 クジャも頷く。







 その日から。




 三人は文化祭準備の様子を撮り始めた。




 教室。




 廊下。




 体育館。




 どこも慌ただしい。




 段ボールを運ぶ生徒。




 ポスターを描く生徒。




 出し物の練習をする生徒。




 学校全体が少し浮かれている。




 そんな雰囲気だった。







 シルヴァはカメラを回す。




「文化祭って感じだな」




「分かる」




 ティナが笑う。




「分かる」




 クジャも言う。




 普段と同じ学校なのに。




 少しだけ違って見える。




 それが文化祭だった。







 しばらく撮影していると。




 廊下の向こうから見覚えのある人物が歩いてきた。




 水色の髪。




 落ち着いた雰囲気。




 生徒会長。




 水瀬遥だった。




「こんにちは」




 ティナが挨拶する。




「こんにちは」




 遥も微笑む。




 シルヴァは少し驚いた。




 普段あまり話す機会がないからだ。




「文化祭準備ですか?」




 遥が聞く。




「動画用です」




 ティナが答える。




 遥は少し考えた後。




「頑張ってください」




 そう言って去っていった。




 短いやり取りだった。




 だが。




 動画にはしっかり残った。







 夕方。




 部室。




 撮影した映像を確認する。




 文化祭準備の映像は思った以上に面白かった。




 何か特別な事件があったわけではない。




 でも。




 高校生の日常が詰まっている。




「いいな」




 シルヴァが言う。




「いいね」




 ティナも頷く。




「いい」




 クジャも満足そうだった。







 編集。




 投稿。




 コメント。




 いつもの流れ。




 動画のタイトルは。




『文化祭準備が始まりました』




 シンプルだった。







 投稿後。




 コメント欄。




『文化祭楽しそう』




『青春してるな』




『こういう日常好き』




『本番も楽しみ』




 三人は画面を見ながら笑った。




 そして登録者。




 百人。




 それが百十二人になっていた。




「増えたな」




 シルヴァが言う。




「少しずつね」




 ティナが笑う。




「順調」




 クジャも頷いた。







 窓の外。




 夕焼け。




 文化祭まであと少し。




 映像アーカイ部の二学期は、これからもっと忙しくなりそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ