9 隊長-3-
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翌日。
レイテルたちの計らいと、アナグマたちの想いがそうさせたのか。
死神――存在するのならば――はわずかな猶予と、最期の時を過ごさせるチャンスを与えた。
隊長カイロウはアナグマたちの見守る中、静かに息を引き取った。
勇猛果敢な仁厚の士、カイロウは丁重に葬られた。
アナグマはどことも知れない地下都市に父親同然だった彼を埋められるのを残念がったが、地上で野垂れ死ぬよりずっといいと思いなおした。
だが早すぎる死である。
そして早すぎる別れである。
再会の喜びもつかの間、このような結末となってしまったことに彼は運命を嘆いた。
ひとつの尊い命を見送り、レイテルたちは盛り土の前で跪拝した。
ゆっくりと拳で二度、胸をたたく。
視野でそれを捉えたアナグマは、これが彼らの作法なのだと理解した。
「複雑だが……礼を言うよ」
彼はここに来てはじめて心を込めた言葉をレイテルに送った。
「気にするな。死者を弔うのは当然のことだ」
「そのことだけじゃない。隊長を保護して治療してくれた」
「それも当然のことだ。が――」
やや間をおいてレイテルは嘆息した。
「あの時、警告を聞き入れていれば助かっていた」
「言うな」
アナグマには分かっている。
カイロウの死は彼らとは無関係だ。
警告されようとされまいと、彼は隊員を見捨てはしない。
たとえその隊員がすでに命を落としていようとも。
つまりあの瞬間、カイロウの運命は定まったのだ。
「これからどうなる?」
アナグマが訊いた。
「これからどうする?」
レイテルが訊いた。
「明日、お前たちを解放しよう。お前たちの住処の近くまで部下に送らせる。当然、視界は覆わせてもらうが」
そこから先はお前たちの自由だ、と彼は言う。
「真実は話したが、協力してくれとは言わない。今までどおりの生活をするのもいいだろう。だがオレたちのやることは変わらない」
「この星を守るということか?」
「……そうだ。そのために準備をしてきた。それに下層に囚われている人たちも解放したい」
具体的にどうするのか。
それは考えるまでもなかった。
兵団並みの――どころかそれ以上の――武具をそろえているからには、何をするかは想像がつく。
アナグマはそれを止めるつもりはなかった。
ただ、いずれことが起こるとして、自分はどう生きるべきなのかという問題がつきまとう。
(いや、それはまだ早い……)
彼は考えなおした。
すべてレイテルから聞かされただけだ。
まだなにひとつ、自分の目で見ていない。
妄想から思想を創り上げただけの、武装した宗教団体かもしれないのだ。
「………………」
彼は心を決めた。
戻って真偽を確かめよう、と。
レイテルの話が偽りならば、これまでどおりの生活を続ければいい。
真であれば――それはそのときに考えればよいことだ。
「もう一日、"世話"になる」
アナグマが静かに言う。
ひかえめな、しかしよく通る声で。
血気盛んな若者らしい、意欲的な目で。
キンケルはそんな彼を複雑な表情で見つめていた。




