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8 世界の真実-2-








 下に降りると、より地下世界の空気を感じられる。


 いつ殺されてもおかしくないこの状況で、アナグマは故郷に帰ってきたような不思議な感覚を味わった。


 地下特有の薄暗さと土の匂い。


 平和に暮らす人々、仕事に励む者たち――。


 場所は違えど、民の生活はたしかにここにあった。


「…………」


 だが、今ばかりは居心地は良くない。


 銃を突きつけられ、取り囲まれて通りを歩くさまは、見世物にされた囚人のようだ。


 実際、人々はそろって奇異の目を向けている。


 処刑するならなぜさっさとやらないのか、とダージは思った。


 一行は市街地を抜け、基地や工場がひしめく一帯へと入った。


 周辺には武装した兵士がそこかしこにいる。


 アナグマたちは物々しい雰囲気を感じた。


 先ほどまでの街並みからすっぱりと切り離されたような、ひりつく空気が漂っている。


「ここが処刑場ってワケか?」


 キンケルがせいいっぱい強がってみせた。


「そうなるかはお前たち次第だ」


 取り巻きのひとりが言った。


 小さな建物の前に来ると、三人はここではじめて手錠をかけられた。


 それぞれの手錠は頑丈な鎖でつながっており、アナグマたちは互いに引っ張られるようにして建物に入った。


 中には中央にテーブルと数脚のイス以外には何もない。


 テーブルもイスも角のない丸みのある形状であり、さらにどちらも床にしっかりと固定されてある。


 置かれているものに角がないということは、摩擦を利用して拘束具を焼き切る等ができないようにするためだ。


 イスも固定されていることから凶器として用いることもできない。


(徹底してるな……)


 アナグマは思った。


 取り巻きがあごでしゃくり、座るように要求する。


 従う以外にないアナグマたちはためらいがちに腰をおろした。


(何か仕掛けがあったりは……ないか)


 警戒してからこれは滑稽だったか、と彼は思いなおす。


 そんな小細工をする必要などない。


 生殺与奪の権はとうに握られているのだ。


「まず言っておく」


 向かい側に座った男――レイテルは冷たく射抜くような目で切り出した。


「お前たちを殺すつもりはない。それはオレたちの信義に反する」


「信じられるものかよ」


 ダージが吐き捨てるように言った。


「どう見ても敵国を攻める類の集団だろ。それに――だったらこの手錠はなんだ?」


 その指摘にレイテルは長いこと黙っていた。


 しかし返答に窮している様子はない。


 むしろ何度目とも知れないこのやりとりに飽き飽きしたように、


「お前たちが真実を知って発狂したときのためだ」


 きわめて事務的に説明する。


「さっきも言っていたな? その真実っていうのはなんだ?」


 アナグマは先を促した。


 半分は興味本位であり、もう半分は会話を引き延ばしてこの場を切り抜けるチャンスを窺うためだ。


「この世界の真実だ」


 レイテルは取り巻きに飲み物とあるものを持ってくるように言った。

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