表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/29

6 枢へ-5-

 その後、王は小さな食事会を用意した。


 三層では見ることのない高級な料理の数々が並ぶ。


 ビュッフェ形式のため、めいめい好きなように食事を楽しんでいる。


「貴族ってのは毎日こんなモンばかり食ってやがるのかねェ」


 新鮮な肉にスープ、色とりどりのフルーツ。


 味気のないものばかり食べているギトーは、居心地の悪さを感じていた。


「いいじゃないか。向こうも私らの食べているものを見たら同じように思うだろうさ」


 ズィロはせっかくの機会だから、とこの食事会を楽しむことにした。


「きみたち、いくら王様がいらっしゃらないからといって……さっきも言ったように言葉には気をつけてくれよ……。ボクの心臓が持たないから」


 皮肉っぽく言ってソブレロは一気に水をあおった。


「ところでアナグマ君、さっきの話は本当なのかい?」


 部屋の隅で静かに食べているアナグマに声をかける。


「さっきの話?」


「暗闇の中で何かを見た、って話さ」


「ああ、でもあれは――」


 いま思えば見間違いかもしれない、とアナグマは言った。


「そんな気がしただけなのかも……」


「ものの見え方はその人の心理状態に左右される――そういう研究結果もあるらしいね」


 ソブレロは苦笑した。


「さっきは言いませんでしたが……」


 アナグマは周囲をはばかるように声を落とした。


「地上での活動を禁止する件、どうしましょう?」


「どうする、って?」


「ゴモジュ隊もですが、カイロウ隊長の捜索もできなくなりますよ」


 はっと顔を上げたソブレロは、部屋の入口に番兵が立っているのを見て慌てて頭を下げた。


「そう、だね……」


「禁止令はまだ正式には出ていません。すぐにでも捜すべきだと思います」


「ん……でも今は調査団と兵団の関係も悪化してる。それに多くの隊が再調査に慎重になっているよ」


「それはそうですが……」


「ただ、アナグマ君の言うことも分かるよ。禁止令が出てしまったらいよいよボクたちは動けなくなるからね」


 ソブレロは近くのテーブルからグラスを手に取り、水を一口ふくんだ。


「帰ったらよく話し合おう。ここではあまり――」


 そう言い、目で合図する。


 アナグマは自然な所作で料理を口に運びながら辺りを見た。


 なごやかな雰囲気だが、番兵はいたるところにいる。


 狼藉を働けばすぐに斬りつけられるだろう。


 会話も聞かれているかもしれない。


「……分かりました」


 彼はぎこちない笑みを浮かべることしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ