第11話 ~そうかっ、義妹(エルン)の術力にだって限界がある……ッ~
「――ノイシュ、上を見てっ」
不意にビューレの叫ぶ様な声を聞き、ノイシュは急いで頭上を仰いだ。
いつの間にか暗紅の悪魔からは膨大な煌きが発せられている――
「――いいだろう、試してやる。この圧倒的な攻撃術をな……っ」
不意に暗紅の悪魔が槍斧を両掌で握り、それを前に押し出した。
そして強く両眼を閉じると詠唱していく――
「――ノヴァ……ッ」
再びビューレの声が耳に届き、ノイシュは視線を向けた。
そこには両腕を大きく広げ、口唇だけで術句を紡ぎ始めるノヴァの姿が映る。
瞬時に彼女の華奢な身体から光芒の様な輝きが放たれていく――
「――ノヴァ、私の霊力も使って……っ」
そう告げながらビューレが攻撃術士の少女へと駆け寄っていく。
やがて彼女の足許に跪き、その掌をノヴァへとかざした――
――ビューレ、ノヴァ……ッ
「お義兄様……っ」
後方から別の少女の声を聞き、ノイシュは顔を向けた。
そこでは義妹が全身を震わせ、苦しそうに喘いでいる。
その額には異常なほどの汗が流れていた――
「エルン……ッ」
――そうかっ、義妹の術力にだって限界がある……ッ
「――ふフフっ、いくぞ……っ」
頭上でそう告げる声が聞こえ、ノイシュは再度視線を向けた――
「この術を果たして凌げるかな……っ」
次の瞬間、暗紅の悪魔の放つ煌きが全方位へと流れるのをノイシュは視認した。
これまで見た中で最も膨張した紅い煌きが生物の姿へと成形していく。
高くそびえ立つ巨躯、大きく広がった翼、細長く伸びる尾――。
――まさか、あれは……っ
「――発現せよっ、【朱幻竜】ッ」
~登場人物~
ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手
マクミル・イゲル……ヴァルテ小隊の隊長。男性。ヴァル小隊の術戦士で、増強術という支援術の使い手
ウォレン・ガストフ……ヴァルテ小隊の隊員で、戦士。男性。あらゆる術を無効化する術耐性の持ち主
ノヴァ・パーレム……ヴァルテ小隊の隊員で、術士。女性。様々な攻撃術の使い手
ビューレ・ユンク……ヴァルテ小隊の隊員であり、術士。また修道士でもある。女性。回復術の使い手
エルン・ルンハイト……ノイシュおよびミネアの義妹。術増幅という超高位秘術の使い手
ミネア・ルンハイト……ノイシュの義妹かつエルンの義姉。魂吸収術という超高位秘術の使い手。通称『暗紅の悪魔』




