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時を守りし守護神  作者: ぽっちゃり王子
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チーム結成の翌日、放課後。

信也たちはさっそく、学園地下へと続く重い鉄扉の前に集まっていた。4人揃ってダンジョンに潜るのはこれが初めてだ。薄暗い階段から漂ってくる冷たい魔力の風に、一同の緊張感が自然と高まっていく。

通路の壁際で、勇希が全員のデバイスを同期させながら口を開いた。

「初のチーム運用だし、まずは互いの手の内をしっかり把握しておこうぜ。実戦中に『そんなの聞いてない』じゃ笑えないからな」

最初に名乗りを上げたのは夏希だった。

「じゃあ私から。私の守護神は『雪女』、属性は『水』よ。基本は後方からの水魔術による攻撃と、全体の戦況を見た指示がメインになるわ。朝の座学じゃないけど、いつか『氷』の上位属性に進化させてみせるから」

「頼もしいね。次は俺だ」

勇希が自分の胸を叩く。

「守護神は『百目』、属性は『土』。こいつの視界共有と俺の土魔術を組み合わせて、前線で土壁を張ったり敵のヘイトを集めたりする。要するに、みんなを守るタンク役だ。二段ベッドの上で信也がのたうち回るのを防ぐ役割でもあるな」

「もう、勇希くんからかわないでよ」

実花が少し頬を膨らませながら、自身のステータスを展開した。

「私の守護神は『座敷わらし』、属性は『光』です。戦闘能力はほとんどないですけど、後方からのステータス上昇バフと、怪我の治療なら任せてください。信也くん、今日はどれだけ無茶しても大丈夫だからね」

三人の視線が信也に集まる。

信也は苦笑しながら、何も表示されていない自分のデバイスの画面を見せた。

「俺は見ての通りだ。**守護神も属性も、何もない**。戦い方は、ひたすら自分の動体視力とスピードを生かして、木剣一本で懐に飛び込むだけ。完全に身体一つ(生身)の我流だ」

「それが一番おかしいんだけどな」

勇希が呆れたように笑う。大野の魔術を真っ向から物理的に叩き割った信也の速度と威力は、すでにチームの誰もが認めるところだった。

「よし、バランスは悪くない。信也と勇希が前衛、私と実花が後衛ね。……いくよ!」

夏希の合図とともに、4人は一階層の奥へと足を踏み入れた。

暗がりの通路を進むと、すぐに気配があった。ずるりと闇から這い出てきたのは、以前、信也を苦しめたスライムが3体、そして泥で作られた式神が2体。ソロの時とは違う、明確な「群れ」での襲撃だった。

「敵の配置、頭に入った! 右のスライム2体を引き受ける! 『土よ、我が意に従え、土塁アースウォール』!」

勇希の百目の能力が周囲の死角を消し去る。瞬時に敵の動きを察知した勇希が杖を突き立てると、信也たちの右側から突進してきたスライムたちの前に、強固な土の壁がせり上がった。

ドォォン!

壁に激突して足止めを食らう魔物たち。そこへ、後方から実花の澄んだ声が響く。

「『光よ、その足に力を――迅速アクセル』!」

実花の放った温かい光の粒子が信也の身体を包み込む。その瞬間、ただでさえ変異種との死闘で研ぎ澄まされていた信也の身体が、羽が生えたかのように軽くなった。

「(……軽い! これなら――!)」

信也は爆発的な加速で地を蹴った。標記は正面の式神2体。

式神が泥の拳を振り下ろすより先に、信也はそのわずかな予備動作を見切り、残像を残すほどのスピードでその懐へと潜り込む。

「おおおッ!」

鋭い踏み込みから放たれた木剣の横一閃。実花のバフと信也の身体能力が完全に同調した一撃は、式神の胸元にある呪符を正確に、かつ一瞬で切り裂いた。パンッ、と乾いた音を立てて消滅する1体目の式神。

「残りの1体、動きを止めるわ! 『水よ、絡みつけ――水縛アクアバインド』!」

夏希の的確な指示と同時に、もう1体の式神の足元から奔流が巻き起こり、その動きを完全に封殺する。

「仕留める!」

信也は空中で身を翻し、水の鎖で拘束された式神の核へ向けて、上段からの強烈な一撃を叩き込んだ。

バキィィンッ!

泥の身体が爆散し、一階層の魔物たちは一瞬にして全滅した。

「ハァ、ハァ……。すごいな、みんな」

木剣を引いた信也は、自分の両手を見つめた。

一人で潜っていた時は、あれほど泥臭く、命を削るようにして戦っていたダンジョン。それが、仲間と連携した瞬間に、これほど鮮やかに道が開ける。

「決まったな! 信也、お前の突進力、土壁の後ろから見ててマジで心強かったぜ」

勇希がハイタッチを求めてくる。

「うん、信也のスピードがあれば、私の水魔術も百発百中だよ」

夏希も満足げに微笑み、実花は「怪我、ないですか?」と嬉しそうに駆け寄ってきた。

初めて実感する、チームという絆の力。これなら、あの神藤たちにも、そしてあの絶望の象徴であるゴブリン変異種にも、いつか手が届くかもしれない。信也の胸に、ソロの時とは違う、新しいたしかな確信が宿り始めていた。


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