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時を守りし守護神  作者: ぽっちゃり王子
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朝食を済ませた二人は、昨日吉田先生から聞いた「魔術の基礎説明」と「校内見学」に備え、早めに教室へと向かった。

教室にはすでに夏希が到着しており、窓際で談笑している。

「おはよう、夏希」

「おはよう、信也。……今日は魔術の授業もあるし、気合入れていかないとね」

夏希の言葉に頷き、自分の席に着くと、ほどなくして担任の吉田が教壇に立った。

「よし、全員揃ったな。今日の予定を発表する。午前に校内見学、午後に魔術に関する説明と実技を行う」

吉田先生は淡々と告げると、各生徒に一枚のプリントを配った。そこには校内の主要施設が図解されていた。

入学式などが開かれる荘厳な**大ホール**、戦闘実習を行うための4つの巨大な闘技場、そして魔術研究を行う各種研究室。男子寮・女子寮・教員寮は食堂とセットになっており、校舎内には実習室も備えられている。

「校舎内の実習室などは勝手に使うな。授業以外で利用したい場合は、必ず申請を行うこと。いいな?」

プリントの説明が終わると、吉田先生の先導で校内見学が始まった。

信也は、夏希、勇希、そして実花の4人でグループを作り、見学ルートを辿ることにした。実花は寮でも夏希と相部屋らしく、すっかり打ち解けている。

「ここが噂の研究棟か……! さっきの廊下とは比べ物にならないくらい魔力の密度が高いな」

「本当に……。あ、あそこ見て。精霊術の実験室だって!」

男女問わず、4人は和気あいあいと談笑しながら広大な学園を巡っていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

校内見学を終え、四人は学食で昼食を取っていた。

慣れない環境に緊張していたのか、一口頬張ると、今日一日がどれほど濃密だったかを改めて痛感する。

「……なぁ、皆は魔術を使えるんだろ? 正直、魔術を使うってどんな感覚なんだ?」

信也の問いかけに、夏希が箸を止めて少し考え込んだ。

「……うーん、言葉にするのは難しいけど……凄く疲れるかな。魔術を一回使うごとに、頭の芯がじわじわと削られるっていうか……何回も繰り返すと、思考がまとまらなくなる感じ」

「ああ、分かる。俺もそんな感覚だぜ。魔力を練る時に、全身のエネルギーを一気に吸い取られる感じっていうか」

勇希が同意し、実花も小さく頷いた。魔術を使えない信也にとっては、どれも未知の体験だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

お昼を終えると、午後は吉田先生による魔術の座学から始まった。

「いいか、魔術には属性がある。火、水、雷、土、風、光、闇。この七つだ」

吉田先生は黒板に大きな文字を書き、教鞭を振るう。

「誰しもが全属性を使えるわけじゃない。生まれ持った属性があり、基本は一属性のみだ。ただし、自分の『守護神』を持つ者は違う。自分の魔術属性と守護神の属性が異なる場合、二種類の属性を使い分けられるようになる。これが魔術師の基本だ」

吉田先生は一度言葉を切り、教室の端にいる信也に視線を向けた。

「……稀に、守護神を持たず、魔術を使えない者もいる。だが、彼らは剣術や体術でそのハンデを覆し、成り上がることもある。松風、お前がその例外だ。魔術に頼らず、その道で己の価値を証明してみろ」

座学が終わると、「移動するぞ」という先生の掛け声とともに、全員で闘技場へと向かった。

「今から実際に魔術を使ってもらう。まずは属性の初歩的な制御からだ!」

闘技場は熱気に包まれた。皆が必死に自分の魔力を形にしようと悪戦苦闘する中、信也は静かに端で剣の素振りを繰り返す。魔術を使えない自分にも、今日できることはあるはずだと信じて。

激しい実習を終え、闘技場から寮に戻る頃には、空は夕焼け色に染まっていた。

「お疲れ……! 今日はマジで死ぬかと思ったぜ」

夕食を摂るために向かった食堂で、勇希が大きく背伸びをした。

「あはは……。皆、本当にお疲れ様ですぅ。あんなに一気に魔術を使うこと、今までありませんでしたから」

実花が頬を紅潮させて笑う。

「ねえ、食堂のこれ、今日の特別メニューなんだって。ハンバーグがあるよ!」

夏希が嬉しそうにトレーを運んでくる。

四人はテーブルを囲み、今日の疲れを癒すように食事を始めた。

「魔術の属性合わせるの、意外と難しいな。明日はもっと上手くやりたいな」

勇希が運ばれてきた定食を頬張りながら言う。信也は、彼らが魔術という共通言語で未来を語り合っているのを聞きながら、静かにスープを啜った。守護神も属性もない。けれど、自分には剣がある。

「……明日もまた、鍛錬だな」

信也の言葉に、夏希が優しく笑う。

「そうね。でも、明日は少しだけ魔術の知識も教えてあげる。そうすれば、対魔術師の動きももっと磨けるでしょ?」

「……ああ、頼むよ」

波乱に満ちた一日を終え、寮へと戻る廊下。信也は、守護神を持たない自分という存在を、今は確かに受け入れられるようになっていた。魔術学校での長い長い一年は、こうして賑やかな夕食のひとときと共に、明日への希望を育んでいくのだった。



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