第58話 犬猿の仲が決着、とは素直に行かないようで。
「それではお互いに構えてっ!!」
修行場の真ん中、
魔物を出さない状態で対峙する2人の女竜騎士、
もちろん大きなドラゴンに乗って、にらみ合う2人、もちろんドラゴン同士も。
(そして、それをジャッジするのは同じように飛竜に乗ったお姫様、スノちゃんだ)
ちなみに後ろにはクリネくん、
いやむしろこれ竜の手綱握ってるのクリネくんじゃ、
その前で抱きかかえられているのがスノちゃんという。
(マリーヌちゃんの表情は、あえて見ない!)
槍を構える片方は雪国の竜に乗るドミニク姐さん、
もう片方のもっと長い槍を構えるは砂漠の竜に乗るシヴァール女史、
ゲーム上では宿命の対決、現状は犬猿の仲の対決、その決着戦らしい。
「ドミニク、今日こそは、今度こそは貴様を倒す!」
「ふっ、これがラストチャンスだ、これで負ければ生涯、私の勝ちだ」
「それでは行きます、お互い、クリティカルで殺すまではしないように!」
出来れば寸止めだけど、
お互いここまで強くなっちゃうと、
ある程度のダメージは仕方が無いんですよ。
(一応、クリティカルが出ないようにはしてあるんだけど、可能性は0じゃない)
万が一の蘇生杖を、
こんなことで使いたくは無いのですよ、ええ、
ちなみになぜかこのアイテムだけは初代版イージーモードのみに実装されている、それが1本あるだけ。
(張り詰める空気、見守るギャラリー、そしてスノちゃんの、開始の号令が……!!)
杖が、振り下ろされたっ!!
「はじめっっ!!」
「「うおおおおおおーーーーー!!!!!」」
凄まじい声で互いにぶつかりに行く!
ドラゴンも本気だ、相討ち覚悟といった感じ、
そしてぶつかり合った結果……互いの槍が、落っこちた!!
「ふんっ!」
「ぐおのっ!!」
あーばしばし殴り合ってる、
竜も近づきすぎてこんがらがってるな、
そしてじわじわ落ちて地面に放り出された。
(今度は地面でボコスカ殴り合いだぁ)
竜から降りてスノちゃんが慌てて止める!
「ストップストップ、引き分け、引き分けです!」
「いやまだだ、まだっ、まだまだ私は、戦えるっ!!」
「このドミニクだけはっ、倒さないとっ、進めないんだっ!!」
あーあー、
でかい女が素手で、
グーで何度も何度も……
(2人のドラゴンも困ってるな)
リーフ様が賭け寄り、
クリネくんも一緒に引き離す、
それぞれを落ち着かせる……ファスちゃんとデティちゃんがそれぞれにお水を飲ませてる。
「ええっとエリオ王子、どうしましょ」
「再試合で良いんじゃないかなテイク君」
「でもドラゴンはもう、やりたくないみたいですが」
こっちで仲良しになっちゃったからね。
「じゃあこうしよう、剣で一騎打ち、自分の足でね」
ということで治癒魔法とタオルでとりあえず身体を整えた2人、
得意の件を持って改めて対峙し、今度は光り輝くリーフのおやっさんが審判か、
間に入って腕をあげて、それぞれを見たのちに、試合開始の合図を……叫んだ!!
「はじめえええええぇぇぇぇぇ!!!!!」
「「ううううううおおおおおおおおおーーーーーーー!!!!!!!」」
勝負は一瞬だった、
徹底的に磨き上げたその素早さにより、
シヴァールさんの剣先がドミニク姐さんの喉元へ!
(あっ、勝っちゃった!)
と思った次の瞬間!
ガイィンッ!!
ドミニクの剣がシヴァールの剣を弾いた?!
「な、何を、ひゃっ?!」
そしてバシバシと剣で殴る!
刃を立てないように平たい部分で、
何度も何度も何度も……リーフさんが慌てて止める!
「もういいですぞ、というか勝負は」
「剣を喉元で止める寸前に弾いた、私の勝ちだ」
「いや、見た感じは」「私の勝ちだ」「見苦しいぞドミニク!」
あっ、また殴り合いになっちゃう!
さすがにもう良いだろうと僕が止めに行くと、
エリオ王子も止めてくれる、さすがに僕らが来ると不味いとなったか整列した2人。
(いや王子はともかく僕ってそんなに偉かったっけ)
まずはエリオ王子からドミニク姐さんへ。
「これが君がやり残したと言っていたことか?」
「い、いや済まない、本気の相手には本気で応えるべきと」
「それにしてはムキになっていたようだが」「すまない、やりすぎた」
まあ元のゲームに比べたらまだ、だけどね、次は僕の番か。
「シヴァールさん、引き分けだって良いじゃない、訓練だもの」
「噂に聞いてな、ドミニクはもう嫁いでしまうと、これがラストチャンスだと」
「だからって」「勝ちたいんだ、このドミニクだけには、あの時の屈辱をっ、晴らすためにっ!」
そんなに砂漠の国で完敗したのが悔しかったのか、
そしておそらく素早さで並んだ、むしろ僅かに勝った今のタイミングで、
これが最後の闘いとなったら、そりゃあ必死にもなるか、でもわざと勝たせて貰うのも違うしなあ。
「おいら考えついた! じゃあこうしましょ、エリオ王子とドミニクの姐さん、
そしておいらテイクとシヴァールの姐さん、どちらがより幸せになるかエリオ王子、勝負だ!」
「そう来たかい、良いよ負けないよ、結婚式には来てくれるよね?」「もっちろん、まーかせて!!」
これで丸く収まったねっ!
顔を見合す両姐さん、そして僕らの方を見て……
「「納得できん!!」」
ということで、
まーた決闘を始めた2人であった、
もう気が済むまでやって貰うしかないよね。
「ところでエリオ王子、何しに来たの?」
「結婚後の家具とか色々と買いにね、魔王討伐は任せたよ!」
まあ外伝だから良いか。




