第57話 点と点が線で繋がった日
それから数日後。
「ええっと本日集まっていただいたメンバーがバルロッサ行きかな?」
「うむ、あくまでも『人間に化けた魔物』調査なゆえ少数精鋭であるが」
「それで総指揮がモッコスもといサイモン将軍とか目立たない?」「ただの隠居として行く」
いや越後のちりめん問屋じゃあるまいし!
あれはまあ副将軍だけど、いざとなったら印籠見せるのかしら、
最近の(と言っても死ぬ直前の前世だが)若い子は知らないそうで。
(むしろ古いテレビゲームの方が知られているらしいよ!)
俺も前世に配信でやった記憶が、
いやむしろ今世でもやってやろうかっていう、
そんなことより今回のメンツ確認、まだ出発はしないけどね、その前の訓練です。
「というか魔法使いや僧侶中心と聞いたのですが」
「ああ魔物である正体を見破るためにな、まずはこのお方だ」
「やはり呼ばれましたな」「ああっ、つるピカはげおやじ君!」
「テイク殿に言われると、なぜか許せますぞ」「でも内心はムカついているんでしょう?」「ゼロとは言いませぬ」
いやむしろ70くらいはムカついていそう、100のうち。
「ウッホン、そして機動力が必要ということでマティスリア国より第二王女スノ様」
「よろしくお願いしますわ」「その護衛として婚約者のクリネ」「婿入りが決まっています、どうも」
「マリーヌちゃん、ひとこと」「良かったわねクリネ」「うん、姉さんみたいに幸せになるよ、スノを幸せにする」
なんだかマリーヌちゃん、
悟りの境地みたいな顔して頷いているな、
内心は知らない、うん、心の中でキーーーってなってても。
(後で慰めてあげようっと)
心の整理をつけたつもりで居ても、
実際、目の前でNTRを見ると心をかき乱されるものですよ、
って俺の実体験かって? そういう漫画をそこそこ読んだ、エロ漫画だけど。
「そして機動力を考えレイラ、ミラール、ファスのドラゴン騎士団」
「あれっ長女のドミニク姐さんは?!」「大切な、大事な縁談だそうだ」
「チッ」「シヴァールさん舌打ちしない!」「あの女だけは絶対に許さない、絶対にだ」
本番でも呼ばない方が良いなコレ。
「更に闇の森最高司祭ズドル殿の推薦で来た闇魔法使いエクール」
「人間に化けた魔物を見破る魔法、習得して見せましょうぞ」「アイテムだけどね、あっ、おいらテイク!」
「テイク殿、ご存じで?」「売ってるよここで、ポイント稼いで交換してね!」「噂には聞いておりましたが」
そうか、こっちで訓練してない新顔か、
でも名前付きってことはゲーム版で砦か何か守ってた敵かな?
まあイチからキャラ作って育てるのも良いけどね、名前含め……配信主の『マッハはやぶさ』さんみたいに面白おかしく、あれはまた違う迷宮ゲームだけど。
「テイク軍以外では以上だ、そちらは」
「おいらたちはいつメンだよ、見てわかるでしょ?」
「ううむ、内に秘めたる『女神様』に登場して頂こうか」
あっ振りだ!!
「いやね、とある声優事務所が毎年大々的にオーディションをやっていてね、
昔ある年、色んな賞のある大会だったんだけど、ほとんどの賞を1人占めして『驚異の新人現る』ってなってたんですけどね、
受賞直後に『応募規約違反』ということで優秀賞が取り消しになったんですよ、おそらく子役の時の登録がまだ残っていたらしく、
すでに芸能事務所に籍がある方は……っていうのに引っかかったそうで、でも大概の場合はのちに別事務所からデビューってなったりするんですが、
その女の子、結局そのまま消えていったんですよね、ええ、名前変えて出てきたりもしないで、あの『超逸材』いったいどこで何をしているんでしょうねえ……」
とまあ異世界なのを良い事に言ってみる、
スティラさんが手の平を上にして『本題をどうぞ』って感じで伸ばしてるな、
ここに僕以外に異世界人が居ないかどうか探るトークはこれくらいにしてっと。
「とりあえず勇者の僕は相手が勇者でも余裕で勝てるくらいには強くなっています、
魔物が闘技場で荒稼ぎしているようなら倒してやろうかなと、僕はまずそれをやらせて下さい、
そして対魔物としての能力が一番高いのがスティラさんです、転移なんかしたら追尾できます」
すでに経験済みだ。
「次はマリーヌさん、画面内外、いや察知できる相手ならどれだけ遠くても魔法攻撃できるようになりました、
なので彼女の場合はもちろん機動力もあるのですが魔法有効範囲がとんでもなく遠く、敵と認識さえしていれば、
近くであれば範囲魔法で攻撃もしくは一時的な捕縛魔法も使えます、なので見つけさえすれば、あとでゆっくりと」
ってまーだ弟くんをチラチラみてる。
「更に新入りのシヴァールさん、最近はすっかり淫乱バーサーカーになって、
いや彼女の場合はドラゴンロードという最新版の職業でしてとにかくアイテムを使い、
初手の素早さをとにかく上げました、なので敵の魔物が恐ろしい速度で逃げても容易に追いつけるという」
そして、その初手さえ上回れば、
ドミニクの姐さんにも決闘で勝てるだろうという、
もし勝てたら僕にベッドでエグいご褒美を身体で支払ってくれるとか、わくわく。
「最後にこちらも新入りのデティちゃん、本当に従順で何でも言うコトを聞いてくれる、
逆に聞き過ぎて怖いくらい、彼女は素早さ特化もそうだけど盗みスキルを徹底的に上げていて、
これの何が凄いかというと会った相手が敵、魔物であればアイテムや装備を盗める、つまり魔物と人間の見分けがつくんですよね」
この場合は実行してみないとだから、
厳密には『見分け』と違うのかな見ただけじゃわからない、
でも盗むスキルが発動できる相手であれば……魔物なら今の時点でも明確な敵のはずだ。
「とまあ僕の正妻側室予定の4人です、ひとことずつどうぞ」
「メインは魔物捜索で良いのよね?」「全て終わらせて、幸せになる!」
「今回の作戦が終わったら今度こそドミニクをぶちのめす!」「……テイク様の、ために」
約一名、敵が変わっているのが居るがまあいいか通常運転だ、
それに同じ飼い猫同士でじゃれあっている分には黙認しよう、
あとやはりどうしても気になっている事をモッコス将軍に尋ねる。
「サイモン将軍、国が違うので詳しい事はわからないかもですが、真の総大将、エリオ王子は」
「大切な、大事な縁談だそうだ」「そうですか、って他にも1人居ましたが、ま、まさか……?!」
「ドミニク殿の相手はガルデーダス、エリオ殿の相手はマティスリアの者としか」「その情報だけで点と点が線で繋がりますねえ」
そうか、そっちのルートか、
初期ゲーム版だと主人公エリオは王族同士の組み合わせしか選択肢が無かったが、
最初のリメイク版から相手が一気に増えたんだよな、その相手に当然、ドミニクの姐さんも……
(ちょっかいかけなくて、良かったあああああぁぁぁぁ……)
さて、今日からこのチームで出発の日まで、特訓だ!!!




