27 希里の作戦通り
撫子の姿が見えなくなった頃、
希里が木の上からスルスルと滑り降りて来て、
ウキウキした口調で紳士クンに言った。
「ちょっとちょっと!何だかうまくいったんじゃない⁉
撫子さんをラブレターの男の子に恋をさせた上に、
あのチャラ男も追っ払う事ができて、まさに私が考えた作戦通りじゃないの!
さっすが私!
まあ正直、ここまでうまくいくなんて自分でもちょっと意外だったけどね!」
そう言って胸を張る希里に、
紳士クンは心身ともに疲れ切った笑みを浮かべながらこう返す。
「ま、まあ、うまくいったとは思いますけど、
色雄さんはあれで本当にお姉ちゃんの事をあきらめてくれますかね?
去り際に、『これで撫子さんをあきらめた訳じゃあないからな!』
って言ってましたよ?」
「そうだけど、少なくとも当分は言い寄ってこないでしょうよ。
あんたがあれだけ手痛い目にあわせてやったんだからね。
あんたって普段は大人しくてナヨナヨしてるけど、
いざという時はキモがすわってるし、ガツンと言うわよね?
あの時(※第二巻第二話参照)もそうだったじゃない?」
「あ、あはは、そうです、ね。
正直、あの時もさっきも、自分でそうしようと思った訳じゃあないんです。
ただ、無我夢中で、気がついたらそうしていたと言うか、
体と口が勝手に動いたって言うか、うまくは、言えないんですけど・・・・・・」
「それって、あんたの心の本当の部分だと思うわよ?
人間って、追い詰められた時に本性が出るって言うじゃない?
さっきのあんたが正にそうなのよ。
つまりあんたは、いざという時は大切な人を守ろうとする、
強さと優しさを持ってるって事」
「そ、そうですか、ねぇ?」
「そうよ。女のあんたにはほめ言葉にならないかもしれないけど、
さっきのあんたは、あの表面ヅラだけのチャラ男よりも、
ずっと男らしくて勇気にあふれていたわよ?
もしあんたが男の子だったら、私もちょっとキュンとしたかもしれないわね」
「え、えぇ~・・・・・・」




