25 撫子防衛本能の発動
そして色雄は撫子を無理矢理に抱き寄せ、強引にその唇を奪おうとした!
「いやっ!」
その色雄の顔面を両手で押さえ、撫子は必死に抵抗する。
が、色雄はそれでも撫子から離れようとしない。
と、その時だった。
その様子を傍らで見ていた紳士クンの中で、
『撫子防衛本能
(※説明しよう!撫子防衛本能とは、撫子がピンチの場合は、
どんな時でも最優先で助けなければならないという、
紳士クンの深い無意識の部分にインプットされた本能の事である!)』
が発動した紳士クンは、考えるよりも先に、
「やめろぉっ!」
と叫び、全身で色雄に体当たりをし、力ずくで色雄を撫子から引き離した。
そして色雄はそのまま吹っ飛び、近くの大きな木にその顔面を思いっきりぶつけた。
「ぶふぉっ⁉」
鼻から正面衝突した色雄は、その衝撃で鼻血が噴き出し、
口の周りが鼻血まみれになってしまった。
そしてその鼻を押さえながら紳士クンの方に向き直り、色雄は怒りの声を上げた。
「い、いきなり何をするんだ⁉
俺と撫子さんの恋路を邪魔するなんて、
例え撫子さんの妹といえども許される事じゃないぞ⁉」
しかし紳士クンは全くひるむ事なく、阿修羅のごとき険しい目つきで色雄を睨みつけ、
槍を突き刺すような鋭い口調で叫んだ。
「お姉ちゃんをひどい目にあわせるヤツは、誰だろうと許さない!」
そして更に色雄の事を睨みつける紳士クン。
普段は羊のように大人しく、
周囲に居る女の子達よりもはるかに優しさと母性にあふれる紳士クンだが、
今はまるで人格が入れ替わったように、鬼神のようなオーラを解き放っている。
「くっ、あ、おぅ・・・・・・」
そのオーラに圧倒された色雄は、さっきまでの勢いをすっかりくじかれ、
今は蛇に睨まれた蛙のようにその場に立ちすくんでいた。
が、それでも何とか百戦錬磨のプレイボーイとしての威厳を示すかのように、
若干声を震わせながらこう言った。
「ふ、ふん、君は見かけによらず、随分乱暴な振舞いをするんだな。
そんな女の子とはとてもデートする気にはなれないね。
今日の所は退散させてもらおう。
だけど、決してこれで撫子さんをあきらめた訳じゃあないからな!」
そして紳士クンをギラッとした目つきで睨みつけようとしたが、
更に恐ろしい目つきで紳士クンに睨みつけられた色雄は
「ひっ」と声をあげ、
神様に足をもがれた蛇のように、そそくさとその場から逃げ去って行った。




