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ピピッ、という短い電子音と共に、スマホの画面に「100%」の文字が白く浮かび上がった。
月曜日の夕方。
駅前のマックのカウンター席で、零二はコンセントから充電器を抜き、ケーブルを丁寧に巻き取った。
涼しい空調の風が吹き抜ける店内で、氷のたっぷり入ったグラスから、冷たいコーラを最後の一滴までストローで吸い上げる。
隣の席では、蓮がポテトを齧りながら、不思議そうに零二の手元を見ていた。
「お前、さっきから充電必死すぎだろ。家でやってこいよ」
「いや、なんとなく。外でできることは、外で済ませといた方がスマートじゃん」
零二はスマホをポケットに滑り込ませ、ストローを指先で弄んだ。
スマートも何も、家では一滴の電気も流れていない。
この灼熱の夏、充電が切れることは、家族全員にとって「大嘘の仮面舞踏会」からの強制退場を意味する。だからこそ、我が家の人々は全員、外の社会というライフラインに、信じられないほど見苦しく寄生していた。
親父は、クーラーの効いた図書館やネットカフェの無料コンセントで。
お袋は、昼下がりのファミレスのドリンクバーに居座り、隅の席のコンセントで。
妹の美咲は、友達の家や、商業施設のフリースペースで。
家に一歩入れば、「優雅なキャンドルナイト」を演じてみせるエリート気取りの家族が、その裏では全員、他人のコンセントを泥棒して命を繋いでいる。その滑稽さを思うだけで、コーラの甘さが喉の奥で冷たく弾けた。
「そういえばさ、お前の妹って、駅前のロフトによく行く?」
蓮が、ふと思い出したように言った。
ポテトを咀嚼する口元が、わずかにニヤついている。
「美咲? 行くんじゃない。コスメとか好きだし。それがどうかした?」
「いや、なんかさ。うちのサークルの先輩がロフトでバイトしてんだけど……お前の妹、最近、万引きの常習犯としてマークされてるらしいぞ」
一瞬、店内の喧騒が遠のいた。
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