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忘却勇者と欠けた世界  作者: ナイトさん
第一章存在しないはずの勇者

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第2話「夢の中の背中」

気になる終わり方

夜は静かだった。

焚き火の火が、小さく揺れている。

カイは眠れなかった。

理由は分かっている。

(足りない)

何かが、足りない。

目を閉じる。

眠りに落ちる。

そして――

夢を見る。

そこは、知らない場所だった。

いや、違う。

“知っているのに思い出せない場所”。

風が吹いている。

草が揺れている。

そして、誰かが前を歩いている。

背中だけが見える。

はっきりとは見えない。

でも――

(知ってる)

カイはその背中を追いかける。

「おい」

声をかける。

でも届かない。

距離は変わらない。

どれだけ走っても、追いつけない。

「待てよ!」

その瞬間、背中が少しだけ振り返る。

顔は見えない。

光に遮られている。

でも、口が動く。

「遅いぞ、カイ」

その声で、心臓が強く跳ねる。

(ああ)

(こいつだ)

思い出せない。

名前が出てこない。

でも確信する。

“こいつを、俺は知っている”

次の瞬間、景色が変わる。

戦場。

血の匂い。

剣の音。

カイは弓を構えている。

ノアが前に出ている。

でも――

もう一人いる。

剣を持った誰か。

前に立っている。

その背中は、さっきと同じだった。

(やめろ)

なぜか、そう思う。

(そっちに行くな)

でも止まらない。

敵が動く。

“人魔”。

異質な気配。

一瞬で距離が詰まる。

間に合わない。

「――っ!」

叫ぶ。

でも声が出ない。

剣が振られる。

そして――

そこで夢は終わる。

カイは目を覚ます。

息が荒い。

心臓がうるさい。

「……はぁ……」

手が震えている。

隣を見る。

ノアが起きていた。

暗闇の中で、目だけが合う。

カイはすぐに聞く。

「……夢、見た」

ノアは何も言わない。

「誰かがいた」

沈黙。

「俺、そいつのこと知ってる」

それでもノアは答えない。

カイは続ける。

「でも思い出せない」

その言葉で、ノアの表情がわずかに揺れる。

ほんの一瞬。

でも確かに変わった。

カイは確信する。

(やっぱりこいつだ)

「なぁ、ノア」

ノアは目を逸らす。

カイは言う。

「お前、知ってるだろ」

長い沈黙。

そしてノアは、ゆっくりと答える。

「……夢だ」

それだけ。

否定でも肯定でもない。

でも、その言葉で十分だった。

(隠してる)

カイはそれ以上追わない。

ただ一つだけ、分かった。

あの背中は、夢じゃない。

現実だった。

そして――

“俺たちは五人じゃない”

その確信だけが、静かに残る。

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