表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却勇者と欠けた世界  作者: ナイトさん
第一章存在しないはずの勇者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/16

第12.5話「六人になる日」

選定者が去ったあと。

空気は、まだ張り詰めていた。

「……勇者、か」

カイが呟く。

グレンは軽く笑う。

「実感ねぇな」

その時。

「面白い話をしているな」

振り返る。

一人の剣士。

無駄のない立ち姿。

「ゼノだ」

視線はグレンに向けられている。

「選ばれたってだけで強いとは限らない」

「試させてもらっていいか?」

グレンはすぐに前に出る。

「いいぜ」

戦い。

剣と剣。

綺麗なゼノと、まっすぐなグレン

結果は――グレンの勝ち。

「……強いな」

ゼノは素直に言う。

だが、その視線がノアに向く。

「そっちはどうだ?」

カイが苛立つ。

「やめとけ」

ノアは一歩出る。

「いいぞ」

戦いは一瞬。

荒いが強いノアの勝利。

ゼノは小さく笑う。

「……なるほどな」

「同行させてもらう」

その時。

「……ほんと、変わってないわね」

女の声。

カイの動きが止まる。

振り返る。

「……リシア」

そこにいたのは、魔女。

腕を組み、睨んでいる。

「何も言わずに出ていって」

一歩、近づく。

「勝手に勇者様の旅?」

怒っている。

でも――

少しだけ、安心している。

カイは目を逸らす。

「……悪かった」

珍しく、素直だった。

リシアは一瞬だけ言葉を失う。

でもすぐに顔を戻す。

「……ほんとよ」

小さく呟く。

その声は、少しだけ弱かった。

ノアは気づく。

(ただ怒ってるわけじゃないな)

リシアが言う。

「ついていく」

カイが顔を上げる。

「は?」

リシアは迷わない。

「今度は勝手にいかせない」

その言葉に、過去が滲む。

カイは少し黙る。

思い出す。

止められた日。

言い合いになった日。

それでも、出ていった自分。

「……危ねぇぞ」

絞り出すように言う。

リシアは鼻で笑う。

「知ってるわよ」

「だから来たの」

強い目。

カイはため息をつく。

「……好きにしろ」

それが許可だった。

グレンが笑う。

「いいねぇ」

「賑やかになってきた」

その時。

「……あなたが勇者ですか」

最後の一人。

セラ。

静かに頭を下げる。

グレンの傷を見る。

「治します」

光が灯る。

傷が消える。

カイが驚く。

「すげぇな……」

セラは微笑む。

「少しだけですが」

そしてグレンを見る。

「あなたは……人を救う人ですね」

その言葉で、空気が変わる。

グレンは少しだけ照れる。

「どうだかな」

でも、否定しない。

六人が並ぶ。

勇者。

仲間。

完成する。

ノアはその光景を見る。

中心にいるグレン。

周りに集まる仲間。

(……やっぱり)

「似合ってるな」

小さく呟く。

誰にも聞こえない声。

そして同時に思う。

(俺じゃない)

はっきりと。

この場所は――

最初から、グレンのものだった。

高評価コメントお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ