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第 133 章 交渉と信頼

数日後、リカルド・コスタとの面談がサンパウロにある彼のオフィスで行われた。リリーは業務責任者のサラ、そして会社の顧問弁護士数名を伴って現地に赴いた。提携条件の交渉が目的だったが、この決断が容易ではないことをリリーは分かっていた。リカルドがカーター企業の大切にする倫理理念を心から尊重し、共に歩もうとする覚悟が本物か、確かめなければならなかった。


リカルドは温かく彼らを出迎え、サンパウロの街並みが見渡せる洗練された会議室へ案内した。面談が始まると、彼が市場の動向を深く理解した聡明な実業家であることがすぐに分かった。規制上の課題への対応力、サプライチェーンの確保、現地ならではの視見解などを自信を持って語り、事業拡大をスムーズに進める力が自社に備わっていると説明した。


だが話が提携条件に移ると、リリーの心には拭えない警戒感が残った。リカルドは彼女が納得できるラインよりも多くの出資比率を求めてきており、契約の特定の部分への執着が、戦略的な考えというよりも、利益目当ての打算に見えた。


テーブル越しにサラが彼女の目を捉え、そっと首を横に振った。慎重に進めるべきだという暗黙の合図だ。


「私たちは長期的な提携を築きたいと考えています」

リリーは落ち着きつつも、毅然とした口調で言った。

「だからこそ、市場拡大だけでなく、価値観も一致させる必要があるのです。持続可能性への取り組み、倫理的な商習慣、地域社会との連携——これらは譲れません。御社もこれらの理念に全面的に賛同してくれるか、確認させてください」


リカルドの表情が一瞬和らぎ、面談中初めて立ち止まって彼女の言葉を噛み締めた。


「理解した」

彼はゆっくりと答えた。

「持続可能性と倫理は確かに重要だ。私も正しいやり方を貫き、信頼を築いてきたつもりだ。だが君の言う通り、私たちの考えを同じラインに揃える必要がある」


リリーは彼の瞳に誠実さを感じ、初めて二人の思いが通じ合った気がした。交渉は数時間に及んだが、面談の終わりには合意が成立した。リカルド・コスタが現地パートナーとして事業に参加し、**出資比率40%**、重要な経営判断は両社が同等の権利を持つことで決まった。


完璧な条件ではないが、状況の中では最善の折衷案だった。リリーは、これこそ待ち望んだ好機だと悟った。リスクは依然として高いが、得られる見返りは無視できないほど大きい。


オフィスを出ると、サラが親指を立てて笑った。

「やったわ。パートナーを確保できた」


リリーも思わず微笑んだ。カーター企業にとって大きな勝利だ。サンパウロの複雑な状況を案内してくれるパートナーを得られ、同時に会社の理念も守り通すことができた。


その夜、リリーはネイサンと夕食を共にし、嬉しい知らせを早く伝えたくてたまらなかった。ここ数週間はストレスと会議、決断の連続で慌ただしく過ぎ去ったが、今は長い間ぶりに安堵感に包まれていた。


「どうだった?」

ネイサンがワイングラスをテーブルに置き、問いかけた。


リリーは腰を下ろし、肩にのしかかっていた重圧がようやく和らぎ始めるのを感じた。

「上手くいったわ。リカルド・コスタがサンパウロのパートナーとして提携してくれることになった。二人三脚で市場に参入するの」


ネイサンの顔に誇らしさが広がった。

「君ならできると信じてた。心から誇りに思うよ、リリー」


彼女は椅子にもたれ、唇に微笑みを浮かべた。

「決して楽な道じゃなかった。だけど私たちの価値観を共有できる、本当のパートナーを得られた。これから大きな物語が始まるわ」


ネイサンはグラスを掲げ、乾杯を申し出た。

「カーター企業の未来に、そして君の努力に乾杯。すべて君が切り開いたんだ」


リリーもグラスを合わせ、感謝と達成感が胸に溢れた。前途にはまだ数多くの困難が待ち受けている。だがここ数週間ぶりに、自分たちが正しい道を進んでいると確信できた。

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