表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
134/180

第 134 章 サンパウロ初の歩み

提携が正式に成立し、カーター企業はついにサンパウロ市場へ進出する準備を整えた。リカルド・コスタとの契約も確定し、今やリリーは計画の実行に集中しなければならない。もう後戻りはできない。取締役会の承認を得た今、これまで以上に重圧がのしかかっていた。


サンパウロでの最初の数週間は極めて重要な時期だった。リリーはサラや主要メンバーを連れて現地に飛び込み、初期業務の立ち上げを指揮した。市の中心部にオフィスを構え、現地の仕入れ先、流通業者、行政当局との折衝を次々と進めていった。


市場は活気に満ち、勢いに溢れている反面、予測不能な面も強かった。政情不安、為替変動、物流上の障害など、毎日のように新たな問題が立ちはだかる。その中で最も大きな壁となったのは熾烈な競争だ。


多くのグローバルブランドが既にサンパウロに地盤を築いており、容易に地位を譲る気配はない。リリーは、この過密な市場で自社だけの独自の立ち位置を築くため、他社との差別化を図る何かを見つけなければならないと悟った。


サンパウロの新オフィス会議室で、最新の市場データに目を通しながらサラが話しかけた。

「リリー、ここの競争は想像以上に熾烈だ。一気に突破口を開くため、思い切った施策を打ち出す必要がある。リカルドの人脈は頼りになるけど、他社との差をつける戦略が欠かせないわ」


リリーはテーブルを指で軽く叩き、思いを巡らせた。

「私たちの強みを徹底的に押し出すしかない。持続可能性と倫理的な経営姿勢こそ、最大の武器なの。利益だけを追う企業ではなく、地域社会や環境、未来を真剣に考える企業としてポジションを確立するの」


サラは深く頷き、全面的に同意した。

「それが一番の近道だと思う。現地の地域活動に協力し、一時的な利益だけを狙う外資企業ではないことを示せれば、サンパウロの人々の支持を得られるはず」


リリーは微笑んだ。

「その通り。顧客だけでなく、共に歩む現地パートナー選びも大事だ。リカルドのチームは優秀だけど、もっとネットワークを広げていく必要がある」


日が過ぎるにつれ、カーター企業は地域貢献プログラムを推進し、現地のNGOと連携関係を築き、持続可能な原材料調達やフェアトレードに関する施策を次々と始動させた。こうした取り組みは即時の利益を生み出すものではないが、一時的なマーケティング宣伝よりも長く続く信頼と好感を育んでくれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ