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45歳。転移、若返り、強くなる!  作者: ユーマ


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22話 ユーマ③


訓練場に残った空気は、まだ少しざらついていた。


誰もすぐには動かない。


落ちた的を見ている。

「真っ二つに斬られている。」

「だが切断面は妙に滑らかで――魔力の反応だけが、完全に消えていた。」


ドランが小さく息を吐く。


「……とんでもねぇな」


ユーマは刀を見ている。


リゼットが一歩前に出る。


「どれくらい溜まってるの?」


「まだ余裕はあると思う」

「でも明らかに斬る前より増えてる」


リゼットは少しだけ考える。


視線は刀に固定されたまま。


「……やっぱりそうなるのね」


ドランが横から口を出す。


「分かってたことだろ」


「ええ、でも“確認できた”のは大きい」


リゼットはユーマを見る。


その目は、さっきまでと少し違っていた。


研究対象を見る目。


そして――


少しだけ、警戒。


「結論から言うわ」


「その刀に使用制限を設けます。」


周囲が静かになる。


ドランも口を閉じた。


ユーマは短く答える。

「聞こう」


リゼットは指を一本立てる。


「まず一つ」


「“溜めすぎないこと”」


「目安は?」


「あなたが“違和感”を感じる前」


即答だった。


ユーマは頷く。


「分かった。」


リゼットは続ける。


「二つ目」


「街中及び民間人のいる場所での使用は禁止」


「理由は?」


「暴発した場合、被害が読めない」


一瞬、間。


「あなたは平気かもしれないけど、周囲は平気じゃない」

「制御できない現象を“運用”するつもりはないわ」


ユーマは少しだけ考える。


そして頷いた。


「そりゃそうだな、了解。」


リゼットは三本目の指を立てる。


「三つ目」


「定期的に計測させてもらうわ」


「計測?」


「蓄積量、変化、挙動」


淡々と言う。


「これは武器であると同時に、研究対象なのよ」


ドランが笑う。


「ついでに言うと、お前もだな」


「否定はしないわ」

リゼットは真顔で言う。


ユーマは気にした様子もない。

「まあ好きにしろ」


リゼットは小さく息を吐く。

「……意外と扱いやすいわね」


ドランが肩をすくめる。

「諦めが早いだけだろ」


ユーマは刀を鞘に収める。


静かな音。


「これでいいか」


リゼットは少しだけ考えてから頷く。


「ええ」


「現時点では――ね」


その言い方に、何人かが苦笑する。

「増えるなこれ」

「絶対増えるだろ条件」


空気が少しだけ緩む。


ドランが手を叩いた。

「よし」

パン、と乾いた音。


「難しい話はここまでだ」


周囲を見回す。


「せっかく面白いもん手に入ったんだ」


「祝わねぇとな」


一瞬の静寂。


次の瞬間――


「お、いいなそれ!」

「飲むか!」

「誰か酒持ってこい!」


一気に騒がしくなる。


ユーマはその変化を見ている。


さっきまでの空気とは別物だった。


リゼットが小さくため息をつく。

「…切り替えが早い」


「こいつらはな」

ドランが笑う。

「面白いことがあればそれでいい」


団員の一人が声を上げる。


「おい新入り!」


ユーマを見る。


「歓迎会だ!」


別のやつも続く。


「逃げんなよ!」

「今日は帰さねぇぞ!」


ユーマは少しだけ考える。


そして――


「分かった」


あっさりと答えた。


周囲が一瞬だけ止まる。


「……素直だな」

「もっと嫌がると思ったのに」


ドランが笑う。


「逃げねぇタイプだろ」


リゼットがぽつりと言う。


「観察しやすい」


「お前なぁ」


笑いが起きる。


酒が運ばれ、適当な机が並べられる。


工房の一角が、いつの間にか“宴会場”になっていた。


誰かが肉を焼き始める。


別の誰かが酒を注ぐ。


騒がしい。


まとまりはない。


だが――


不思議と居心地は悪くなかった。


ドランが横に立つ。


杯を一つ差し出す。


「ようこそ、調査部隊へ」


ユーマはそれを受け取る。


少しだけ見る。


そして、短く言う。


「……よろしく頼む」


それだけだった。


だが。


周囲はそれで十分だった。


「よっしゃあ!」

「乾杯だ!」

「飲め飲め!」


一気に声が上がる。


騒がしさが増す。


ユーマはその中に立っていた。


変わらない表情のまま。


だが――


ほんの少しだけ。


力が抜けていた。

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