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45歳。転移、若返り、強くなる!  作者: ユーマ


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21話 ユーマ②


工房の奥。


並んでいるのは、明らかに普通じゃない武器ばかりだった。


黒く歪んだ剣。

脈打つように見える槍。

触れてもいないのに、空気がざらつく素材。


ユーマは一歩近づく。


視線を巡らせる。


そして一言。

「なるほど、問題ありそうなやつばっかりだな」


ドランが笑う。


「分かるか」


「ああ」


「いいねぇ」


周囲から声が上がる。

「普通のやつは“すげぇ”って言うんだけどな」

「触る前から嫌がるやつもいるし」


リゼットが言う。


「危険だから正しい判断」


ドランが棚に手を伸ばす。


そして――途中で止める。


「……っと」


指先が触れる寸前で引いた。


軽く舌打ちする。


「あぶねぇ、あぶねぇ」


ユーマが見る。


「触れないのか」


「触れるけどな」


ドランは肩をすくめる。


「長くは無理だ」


近くにいた団員が口を挟む。


「前に無理して握ったやつ、半日寝込んだぞ」

「魔力持ってかれんだよ」


ドランが頷く。


「そういう代物だ」


一本の刀を顎で示す。


黒い刃。


わずかに歪んで見える。


「昔な」


ドランが言う。


「魔法を喰らう魔狼が出たことがある」


空気が少し静かになる。


「魔力の攻撃は全部無効」


「そのまま自分の力に変える厄介なやつだった」


ユーマは黙って聞いている。


「そいつの牙を使って作った」


「魔力を吸収する武器だ」


リゼットが続ける。


「理論上は敵の魔法を吸収し、無効化できる」


「だが――」


一瞬、間。


「実際は最も近い魔力を優先して吸収する」


ドランが言う。


「つまり持ち主だ」


苦笑が漏れる。


「何人か試した」


「全員ダメだった」


「魔力を吸われて動けなくなる」


ユーマはその刀を見る。


「……残ってるのはこれだけか」


「そうだ」


ドランが頷く。


「最後の一振りだ」


少しだけ間。


ドランがユーマを見る。


「魔力を喰う武器」

「魔力を持たないお前」


口元が歪む。

「どうだ」


ユーマは迷わない。


そのまま手を伸ばす。


周囲がざわつく。


「おい待て」

「やめとけって」

「普通に危ねぇぞ」


ユーマは刀を掴む。


一瞬。


何も起きない。


沈黙。


「……は?」


ユーマはそのまま持ち上げる。


違和感はない。


軽く振る。


空気が鳴る。


リゼットが言う。


「吸収反応なし」

「正確には、対象が存在しないのかしら」


ドランが笑う。

「……成立だな」


ユーマは一度、刃を見る。


そして言う。


「試してもいいか?」


ドランが顎で外を示す。


「訓練場使え」


移動。


簡単な的が用意される。


木。

鉄。

魔力で強化された板。


「まず基準だ」


団員が剣を振る。


木は斬れる。

鉄は弾かれる。

魔力強化の板はほぼ無傷。


「これが普通」


ユーマが前に出る。


黒い刀を構える。


無駄がない。


振る。


一閃。


木が割れる。


そのまま鉄へ。


止まらない。


鉄も斬れる。


ざわめき。


「おい今――」

「普通にいったぞ」


ユーマは止まらない。


最後の的。


魔力強化された板。


振る。


抵抗なく、的は静かに落ちた。

まるで中身から崩れたように


「……は?」


リゼットが言う。


「魔力の維持ができていない」


ドランが笑う。

「いいな」


ユーマは刀を見る。


わずかに目を細める。

「……溜まってる」


ドランが反応する。

「分かるのか」


「あぁ、流れがある」

「集まってる」


リゼットが言う。

「さっき斬った魔力を吸収したのね」


ドランが頷く。

「そして溜まりすぎると――」


「……溢れるな」

ユーマが言う。


一瞬、間。


ドランが笑う。

「分かってんじゃねぇか」


ユーマは刀を鞘に収める。

静かな音。


その場の全員が理解していた。

これは“とんでもない組み合わせ“が成立してしまったことを。


ドランがニヤッと笑う。

周囲の団員たちも同じ顔をしている。

誰も口には出さない。

だが空気が語っていた。


――これは、とんでもなく面白い。

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