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45歳。転移、若返り、強くなる!  作者: ユーマ


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20話 ユーマ①


「ここだ」


ドランが扉を押し開けた瞬間、音が押し寄せてきた。


「だからその配合は破綻してるって言ってるだろ!」

「破綻してねぇよ!出力は出てんだよ!」

「出力だけ見てどうすんのよ!」

「うるせぇな結果見てから言え!」


怒鳴り声と笑い声。


工具のぶつかる音に、何かが弾ける乾いた音。


ユーマは一瞬だけ足を止めた。


「……うるさいな」


「そうか?いつもこんなもんだ」


ドランは気にした様子もなく中へ入る。


「静かな方が異常だな」


中に入ると、数人の視線が一瞬だけこちらに向いた。


「お、来たか」

「例のやつ?」

「魔力ゼロってマジかよ」

「あとで見せろよ!」


好き勝手な声。


だが誰も手は止めない。


ユーマは周囲を一瞥する。


机の上には、歪んだ金属、黒い骨、妙に光を吸う石。


どれも普通じゃない。


だが、この場ではそれが普通らしい。


「まずは確認だ」


ドランが奥を指す。


「ついて来い」


工房の奥、区切られたスペース。


魔石を組み込んだ装置が並んでいる。


リゼットがすでに待っていた。


「準備できてるわ」


「早いな」


「予想通りの流れ」


リゼットはユーマを見る。


「あなたのことを測定するわ」

「いい?」


「いいぞ、そんなことだろうと思ってたからな」


「じゃあ魔力から」


台座に手を置く装置。


内部に淡い光が揺れている。


「普通はここで魔力が反応する」


「量と質を測る仕組みよ」


ユーマは手を置いた。


ひやりとした感触。


装置がわずかに光る。


……それだけだった。


光は広がらない。


揺れない。


増えない。


「……あれ?」


近くの団員が首を傾げる。


「もう一回」


同じ。


別の装置に変える。


より大型のもの。


結果は同じ。


リゼットが数値を確認する。


「ゼロ」


静かに言った。


「完全にゼロ。誤差もない」


ざわつく。


「そんなことあるか?」

「壊れてんじゃねぇのそれ」


「壊れてねぇ」


ドランが低く言う。


「こいつがそういう存在だ」


ユーマは手を離す。


「次はなにをすればいいんだ?」


動揺はない。


ドランが少しだけ笑う。


「いいな」


「じゃあ身体だ」


重りが並べられる。


鉄の塊。


明らかに人間が扱う重さじゃない。


「これ持て」


ユーマは片手で持ち上げる。


軽い。


「全部」


まとめて持つ。


問題ない。


「おいそれ全部だぞ」

「何キロあると思ってんだ」


さらに重いもの。


同じ。


呼吸も変わらない。


リゼットが淡々と記録する。


「筋力、基準値大幅超過」


「上限測定不能」


ドランが腕を組む。


「強化なしでこれか」


「確認するぞ」


団員の一人が前に出る。


「身体強化かける」


光がユーマを包む。


通常ならここで身体能力が上がる。


ユーマは軽く腕を振る。


足を踏み込む。


「……変わらない」


「は?」


「嘘だろ?」

「今かけたよな?」


リゼットが言う。


「変化なし」


「魔力強化が作用していない」


ドランが眉をひそめる。


「魔法が干渉してねぇな」


「じゃあ次」


ドランが顎で示す。


「攻撃を受けてもらうぞ」


団員が一歩前に出る。


「軽くだからな」


魔力が手に集まる。


放たれる。


ユーマに直撃。


鈍い音。


煙。


だが。


ユーマはそのまま立っていた。


「……何もないな」


服が少し焦げただけ。


ざわめきが広がる。


「効いてねぇ!」

「今の普通に当たってたぞ!」

「なんだこいつ!」


リゼットが確認する。


「外傷なし」


「内部損傷なし」


一拍置いて言う。


「魔力が作用していない」


静かになる。


ドランが腕を組んだまま、しばらくユーマを見ていた。


「……お前、変だな」


「自覚はある、最近よく言われるし」


「いやそういうレベルじゃねぇ」


周囲から笑いが漏れる。


「魔力ゼロであの身体能力ってなんだよ」

「強化も効かねぇし攻撃も通らねぇし」

「意味分かんねぇなほんと」


ドランがふっと息を吐く。


「逆に聞くけどよ」


ユーマを見る。


「なんか困ってることねぇのか」


ユーマは少しだけ考える。


すぐには答えない。


視線を落とし、自分の手を見る。


戦うことに関しては問題ない。


むしろ、困ることはほとんどない。


「……特にない」


間。


ドランが即座に返す。


「そんなわけあるか」


笑いが起きる。


「絶対あるだろそれ」

「一番あるやつの顔してるぞ」


ユーマは少しだけ考え直す。


そして、ひとつだけ口にした。


「……武器が持たない」


空気が少し変わる。


ドランの目が細くなる。


「どういう意味だ」


ユーマは腰の刀に手をかける。


抜く。


刀身が歪んでしまった刀。


それをドランに差し出す。


「すぐ壊れちまう」


ドランが受け取り、刃を見る。


「……いい刀だな」


「まあまあ高かったぞ」


「だろうな」


刃を指でなぞる。


「お前の力で振るとこのレベルの武器でももたないってことだな」


ユーマは言う。


「壊れない武器が欲しい」


一瞬の沈黙。


そして。


ドランの口元が歪む。


「……あるぞ」


奥を指す。


「誰も使えねぇ、失敗作だがな」


周囲から声が飛ぶ。


「アレか!」

「強すぎて扱えねぇんだよ」

「魔力に飲まれる」

「まともに使ったら死ぬぞ」


リゼットが言う。


「高位の魔物素材は魔力が強すぎる」

「使用者が制御できない場合、侵食されてしまう」


ドランがユーマを見る。


「でもお前は違う」


一瞬の間。


「魔力がない」

「しかも干渉もされない」


空気が変わる。


ざわめき。


「……ああ」

「そういうことか」

「だからそのまま使える?」


ドランがニヤリと笑う。


「“使える可能性がある”」


ユーマは一歩前に出る。


迷いはない。


「試させてくれるか?」


その一言で、空気が変わった。


全員の目が興味で輝いていた。

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