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45歳。転移、若返り、強くなる!  作者: ユーマ


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19話


メイセキの朝は早い。


まだ日が昇りきる前から、人の気配が外に満ちている。


ユーマが目を覚ますと、ナキの姿はなかった。


外から水音と話し声が聞こえる。


「それ、もう少し安くならない?」


ナキの声だった。


相手は見知らぬ男だが、楽しそうに笑っている。


「朝からやってるぞ、あいつ」


トンボが寝転がったまま言う。


「もう知り合いできてるし」


ユーマは短く息を吐く。


「早いな」


「早すぎるって」


トンボが笑う。


しばらくして、ナキが戻ってくる。


手には小さな袋。


「おはよ」


「何してた」


「顔つなぎ。あとちょっと買い物」


当たり前のように言う。


トンボが呆れる。


「昨日来たばっかだぞ?」


「だからでしょ」


ナキは軽く笑った。


その時、扉が叩かれる。


「失礼します!」


若い声。


ユーマが扉を開けると、見慣れない青年が立っていた。


まだ年は若い。装備も新しい。


「自警団、防衛部隊のケインです!」


緊張した様子で敬礼する。


「団長から伝言です。三人を詰所へ案内しろと」


トンボが小さく声を上げる。


「おれら?」


「はい!」


ケインはまっすぐ頷く。


ナキが一歩前に出る。


「今からで大丈夫?」


「はい、準備できていればすぐに」


ユーマは短く言う。


「問題ない」


三人はケインの後をついて外に出る。


歩きながら、ケインは少しだけ振り返る。


「あの話、もう広まってます」


トンボが眉をひそめる。


「あの話?」


「変異種の件です」


ケインの視線がユーマに向く。


「光線を受けても無傷で倒したって」


トンボが誇らしげに言いかける。


「それは――」


「まあたまたまだな」


ユーマが遮る。


ケインは少し驚いた顔をするが、すぐに前を向く。


「……そういうことにしておきます」


詰所に入る。


昨日よりも人の出入りが多い。


その奥の部屋へ通される。


「こちらです」


扉を開けると、すでに数人が集まっていた。


それぞれが別の空気を持っている。


ケインが一歩下がる。


「連れてきました!」


「ご苦労」


低い声が返る。


ガトリンだ。


「入れ」


中に入ると、広い部屋に数人の人影があった。

それぞれが別の方向を向いていたが、ユーマたちが入ると視線が集まる。


「こいつらが例の三人だ」


視線がユーマ、ナキ、トンボに向く。


一人の女が前に出る。


落ち着いた目。無駄のない動き。


「補給部隊長、セリナよ」


ナキを見る。


一瞬で値踏みされる。


「話は聞いてる。……面白い子ね」


ナキは一歩前に出て、軽く頭を下げた。


「ナキです。よろしくお願いします」


「ええ」


短い返事。


だが、視線は外れない。


次に、柔らかい雰囲気の男が笑う。


「ハインツ。補給の副隊長だ」


「君がナキか。話はもう回ってるよ」


ナキが少し驚く。


「もう?」


「早いね。昨日のうちに何人かと話してただろ?」


ナキは一瞬だけ言葉を詰まらせてから、笑う。


「……バレてますね」


「いいね、その調子」


ハインツは楽しそうに頷いた。


「うちに来て正解だ」


そのやり取りを、セリナは黙って見ている。


次に、奥から声。


「で、それが例外?」


静かな声。


黒髪の女が一歩出る。


リゼットだ。


ユーマを見る。


じっと。


観察するように。


「……魔力が、ないのよね?」


言葉にする。


ユーマは何も言わない。


「興味深いわ」


それだけ言って、視線を外した。


横から、声が割り込む。


「興味深いじゃねぇよ、実際見たらもっとおかしいぞこいつ」


ドランだ。


腕を組みながら、まじまじとユーマを見る。


「どうやって戦ってんだよ」


「普通に斬ったり、殴ったりだな」


「普通じゃねぇって言ってんだ」


周囲が少し笑う。


ドランは構わず続ける。


「お前、後で来い。工房な」


「分かった」


「あと飲むぞ」


「分かった」


トンボが小声でナキに言う。


「もう約束してんだけど」


ナキは苦笑した。


その横で、明るい声。


「やっぱ変な人だよね〜」

エレナだ。

「でも強いんだよね。そこがまた面白い」


ユーマを見る。


「また調べさせてね」


「勝手にしろ」


「するする」


軽い。


場の空気が少し緩む。


その時、ガトリンが一歩前に出る。

「話をまとめる」


一瞬で静かになる。


「ユーマは調査部隊付きだ」


リゼットが頷く。


「魔力の流れが見える。あれは使える」


ドランも頷く。


「討伐時は例外なく呼ぶ」


ガトリンが続ける。


「魔物相手はあいつが軸だ」


誰も異論はない。


次にナキを見る。


「ナキは補給だ」


セリナが口を開く。


「対人交渉と情報。現場との調整も任せる」


ハインツが続ける。


「もう片足突っ込んでるしね」


ナキは小さく息を吸う。


「……やります」


その目は真剣だった。


最後にトンボ。


「トンボは防衛の見習いだ」


ガトリンが言う。


「まずは基礎叩き込む」


トンボは一瞬だけ固まってから、強く頷いた。


「はい!」


部屋に、少しだけ熱が生まれる。


それぞれの立ち位置が決まった。


ガトリンが最後に言う。


「ここからは仕事だ」


ユーマは周囲を見た。


うるさい連中。


静かな連中。


現実を見る連中。


その全部が、同じ場所にいる。


「……悪くないな」


小さく呟いた。


ナキがそれを聞いて、少しだけ笑った。

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