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最弱ダンジョンを継承したので過剰防衛クラフト始めます  作者: 障子


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第13話:辺境都市への潜入と甘やかしの休日

「うーん、みんな本当に真面目に掘ってくれて助かるなぁ」

ダンジョン1階層の開拓エリア。

タクミは作業服姿のジェラルド元騎士団長率いる50名の「第2期開拓作業員」たちが、掛け声に合わせて整然とツルハシを振るう光景を満足そうに眺めていた。

「はっ! 主のお恵みである温かいカレーと清潔なベッドのため、我ら元・騎士団、粉骨砕身の覚悟で掘り進めておりますッ!」

汗を拭いながら深々と頭を下げるジェラルド。もはや騎士としてのプライドなど微塵もなく、優秀な現場監督としての顔つきになっていた。

だが、プライベートルームに戻り、モニターを囲んだミーティングになると、タクミの表情は一転して真剣なものとなった。

「さて……Bランク騎士団50人を丸ごと作業員にしてしまったわけだけど、さすがにこれで終わりとはいかないよね」

「ええ、たくみちゃん」

膝の上に乗り、二の腕に豊満な胸を押し当てながらコアが頷く。

「バロア子爵は強欲で自尊心の高い男よ。自慢の私兵騎士団が一人も戻らないとなれば、ダンジョンに何か『莫大な財宝』や『危険な存在』があると確信して、次はもっと大きな規模で動いてくるはずだわ」

「領主自らが軍勢を率いて押し寄せるか、あるいは大金を積んで強力な『Aランク冒険者』を雇い入れるか……どちらにせよ、時間の問題でございますね」

新調された聖騎士装の胸甲を誇らしげに張るエレノア。

「相手が本気で潰しに来るのを待つより、まず相手の足元……『辺境都市バロア』に潜入して情報収集をしておきたいんだ。敵の戦力や動きが分かれば、より過剰で完璧なトラップを準備できるしね」

「まあ! 潜入調査ね! ふふ、外界に出るなんて何百年ぶりかしら。楽しみだわ〜♪」

「ははっ! 我が主の御身をお守りするため、このエレノア、影となり日向となりお供いたします!」

「よし、じゃあ……まずは街で目立ちすぎないように、変装用の服を『神級クラフト』で作るとしようか!」

◇

「……あの、たくみちゃん? 『目立ちすぎない服』って言わなかったかしら……?」

「主よ……これは……あまりにも生地が滑らかで、仕立てが凄まじすぎませんか……?」

数分後。着替えを終えた二人を前に、タクミは思わず息を呑んだ。

目立たない庶民の服を作ったつもりだったが、タクミの職人魂と『神級クラフト』の過剰な精度が災いした。

エレノアが身に纏うのは、上品なネイビーの膝丈ワンピースに、薄手の白銀のボレロ。彼女のしなやかで抜群のプロポーションと透き通るような白銀の髪が引き立ち、どこからどう見ても『極上の高貴な令嬢』にしか見えない。

一方のコアは、体のラインにぴったりと沿うワインレッドのモダンなドレス。豊満なバストと引き締まったウエストが強調され、歩くたびに艶やかな色気が溢れ出している。

そしてタクミ自身も、現代風のスマートなジャケットとシャツを合わせたスタイリッシュな装いとなっていた。

「い、いや……変に変装してボロ切れを着るより、他国の裕福な行商人グループを装った方が怪しまれないかなと思って……!」

顔を赤くして弁明するタクミ。

「ふふ、まあいいわ♪ たくみちゃんのお仕立てした服、とっても肌触りが良くて最高だもの。それに……たくみちゃんもすごく格好いいわよ♡」

「うむ……主のセンスには脱帽いたします。このような美しい衣を賜り、胸が熱くなります……!」

二人のヒロインに熱視線を送られ、照れくさそうに咳払いをしたタクミは、ダンジョン機能である『局所転移門』を起動した。

◇

熱気と活気に溢れる『辺境都市バロア』。

中央広場近くの路地裏へと転移した三人は、ゆっくりと大通りへ足を踏み出した。

「うわあ……すごい人通りだな」

石畳の道路、立ち並ぶ露店、飛び交う威勢の良い声。異世界ならではの活気ある街並みに、タクミは目を輝かせる。

しかし、大通りを歩き始めた途端、周囲の視線が一斉に三人に集中した。

「な、なんだあの三人組は……!? 貴族か……? いや、他国の王族か!?」

「めちゃくちゃ男前な青年と……おい見ろよ、あんな綺麗な女の人、人生で見たことねえぞ!」

「あっちの白銀の髪の人、神様みたいに気品がある……! 隣の赤いドレスの人、色気がヤバすぎる……!」

通り過ぎる冒険者や市民たちが次々と足を止め、ウットリと見惚れて壁や露店にぶつかる事故が多発する。

「うっ……目立ちすぎないようにって言ったのに、完全に注目の的になっちゃってるな……」

苦笑いするタクミの左右から、すささっと二つの柔らかい感触が滑り込んできた。

「ふふ、いいじゃない♪ 腕を組んで歩けば、ただの『仲良し三人組』に見えるわよ〜♡」

コアが腕をぴったりと抱きかかえ、豊かな胸をこれでもかと押し当ててくる。

「むっ……! コア殿ずるいですぞ! 主よ、右腕は私が警護のために確保させていただきます!」

エレノアも負けじと反対側の腕をギュッと抱きしめてきた。

左右から伝わる強烈な柔らかさと甘い香りに、タクミの頭はパンク寸前だ。情報収集の潜入捜査のはずが、どこからどう見ても『両花を携えた贅沢すぎるダブルデート』であった。

「あ、たくみちゃん! あの露店、すごく良い匂いがするわ!」

コアが指さしたのは、香ばしいタレの匂いを漂わせる『魔獣肉の串焼き』の露店だった。

「よし、買ってみようか!」

タクミが錬成した金貨で買い求め、二人へ手渡す。

「ん〜〜〜っ! お肉がプリプリで美味しい〜〜っ♡」

コアが幸せそうに目を細める。

「主……これは至高の味わいです! 街の庶民はこのような美味を楽しんでいたのですね……っ!」

エレノアも感涙にむせびながら串肉を頬張っている。

「はい、たくみちゃんも……あ〜〜〜ん♡」

「こ、コアさん……ッ!?」

「主! 私の肉串も召し上がってください! あ〜〜〜ん!」

街中の男たちの嫉妬と羨望の視線を全身に浴びながら、タクミは両手に花状態の食べ歩きを満喫するのだった。

◇

午後。賑やかな市場を抜け、高級酒場の個室へと移動した三人は、本題である情報収集を開始した。

タクミが事前に仕掛けておいた『極小魔導盗聴器』と、酒場での会話から、領主バロア子爵の動向が次々と明らかになっていく。

「噂通りだな……バロア子爵はBランク騎士団が全滅したと思い込んで、完全にパニックになっているみたいだ」

「フン、身から出た錆ですね。不当にダンジョンを占有しようとするから罰が当たったのです」

エレノアが冷ややかな視線で吐き捨てる。

「でもタクミちゃん、バロア子爵は諦めていないわ。都市の裏社会を通じて、この辺境領域で最強と謳われるAランク冒険者ギルド『赤き竜の牙』へ、破格の報酬でダンジョン攻略の特別依頼を出したみたい」

「Aランク冒険者ギルド……か」

タクミは顎に手を当てて考え込んだ。

Aランク冒険者となれば、個々の戦闘能力も高く、様々な魔法や罠解除の技術を持っているはずだ。

「相手はプロの冒険者か。ますます『ただの物理攻撃トラップ』じゃ防ぎきれない可能性が出てきたな……」

普通なら恐怖するところだが、タクミの瞳には不敵な職人魂の光が宿っていた。

「よし……帰ったらさっそく、試作した『堕落の迷宮』や『スライム捕獲トラップ』を本番用にブラッシュアップして、1階層から2階層にかけて組み込もう! Aランク冒険者たちがどんな顔をして罠にかかるか、今から楽しみだな」

「ふふ、たくみちゃんったら本当に容赦がないんだから〜♡」

「うむ! 主の過剰防衛の前に、どのような猛者であろうと平伏することでしょう!」

バロア子爵のさらなる陰謀と、接近するAランク冒険者の脅威。

しかし、至高の過剰防衛クラフトと頼もしい(そして過剰に可愛い)仲間たちを従えたタクミにとって、それは新たな「クラフトの実験台」でしかなかった。

束の間のデートと情報収集を終え、三人は次なる防衛戦に向けて、最高の笑顔で自室(ダンジョン)へと帰還するのであった。


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