第11話:試作トラップ③・スライムクッションと無防備な姫騎士
「よし、最後は【案③:全装備スライム化&超クッション捕獲トラップ】だ!」
気絶から覚め、精神的ダメージからどうにか復調したエレノアを前に、タクミは最後の試作エリアの解説を始めた。
「これはね、侵入者が足を踏み入れた瞬間、特殊なナノ魔導物質を噴射して、相手の身に着けている武器や硬い防具を一瞬で『綿あめ』や『柔らかい粘土』に性質変化させるんだ。さらに部屋全体が高弾力のスライムクッションになっていて、怪我一つさせずに捕獲できる仕組みさ」
「相手の武器と防具を無効化して、安全に捕獲……実に理にかなった防衛策ね」
コアが感心したように頷く。
すると、二度の敗北を経てなお、武人としてのプライドを捨てきれないエレノアが、新調された聖騎士装の胸甲を力強く叩いた。
「ふふ……主、お言葉ですがこの罠ばかりは私には効きませんよ。楽しそうですな。ですが、主より賜りしこの至高の聖甲冑と、我が魂である宝剣が、柔らかくなるはずがございません!」
エレノアは不敵に微笑み、愛刀の柄を固く握りしめた。
主の神級クラフトで作られた至高の防具が、そんな妙な物質で変化するはずがないという強い信頼があったのだ。
タクミはニッコリと微笑んだ。
「へぇ……自信満々だね。じゃあ試してみるか?」
「ははっ! この無敵の装備で、罠などあっさりと打ち破ってみせます!」
意気揚々と、エレノアは第3の試作エリアへと飛び込んでいった。
◇
シューーーッ……!
エリア中央へ足を踏み入れた瞬間、天井から薄桃色の微細なナノ魔導モヤが噴出した。
「ぬッ!? この霧は……むむッ!?」
エレノアが警戒して宝剣を抜こうとした、その時だった。
ふにゃあぁぁぁん……
「なッ!??」
エレノアの手の中で、固い鋼の輝きを放っていた宝剣が、まるで出来立ての綿あめのようにピンク色に変化し、ふにゃりと力なく折れ曲がったのだ!
「わ、私の宝剣が……!? ふわふわの甘いお菓子みたいに柔らかくなって……ッ!?」
さらに恐怖はそれだけに留まらない。ナノ物質が彼女の身に纏う白銀の甲冑へと付着した。
ドロリ……ふにゃあぁぁ……ッ!
「きゃあぁぁぁっ!?」
固かった金属の胸甲、肩当て、腰当てのすべてが一瞬にしてドロドロの柔らかいゼリー&粘土状へと変化! 留め具としての機能を失い、ポロポロと音を立てて足元へ崩れ落ちていく!
さらに、甲冑の下に着ていたインナーの布地まで柔らかいスライム状に溶け出し——
パチンッ! どさっ……
「あ、甲冑が……服が溶けて……脱げちゃいます主よぉぉッ!?」
一瞬にして装備のすべてを失い、下着同然(というか透け透けの柔らかい薄布一枚)の姿になってしまったエレノア。
「くっ……たかが服を奪われた程度で……聖騎士が怯むと思うなよッ!」
素手で脱出を図ろうと前に踏み出したエレノアだったが——次の瞬間、部屋の床全体が【高弾力・高粘性スライムクッション】へと変貌した!
ボヨンッッ!!
「ふあぁぁッ!??」
足元が猛烈な勢いで跳ね上がり、エレノアの身体が宙へと弾き飛ばされた。
ボヨン! ボヨン! ぽよんッ!
「き、きゃあぁぁっ!? た、体勢が整えられない……ッ!? 身体が……身体が跳ね回って……ッ!」
床も、壁も、天井すらもフワフワ・ポヨンポヨンの高弾力スライム。
着地のたびに「ボヨンッ!」と激しく跳ね返され、エレノアのしなやかな肢体と、溢れんばかりの豊満な巨乳が、重力を無視して上下左右に凄まじい勢いで揺れ動いた。
「あぐっ……ふあぁっ……ッ! 柔らかくて……衝撃が全部吸収されて……力が入らない……ッ!」
どれだけ手足をバタつかせても、クッションの圧倒的な弾力と柔らかさにすべての運動エネルギーが吸収されてしまう。怪我一つ負わない代わりに、身動きが全く取れないのだ。
やがて、クッションの真ん中にすっぽりと埋まり、ポヨンポヨンと心地よく揺られ続けるうちに——エレノアの表情から焦りが消え、うっとりとした快楽の色が混ざりはじめた。
「あはぁっ……ん……ッ♡ なんですかこのクッションの絶妙な触感は……。包み込まれて……身体の力が……抜けちゃいます……ッ♡」
薄布一枚の姿で、豊満な胸元や太ももを盛大にはだけさせたまま、スライムクッションに全身を埋めてデロデロに捕獲される姫騎士。
凛々しい聖騎士の面影は微塵もなく、無防備すぎる極上の痴態を全身で晒し切っていた。
モニター室でそれを見ていたタクミが、満足そうに頷く。
「よし! 武器も防具も無力化できて、相手に一切のケガをさせずに100%捕獲できる。完璧な過剰防衛トラップの完成だ!」
「ふふ、たくみちゃんったら……本当はエレノアちゃんのセクシーな姿が見たかっただけなんじゃないの〜?」
コアがクスッと笑いながら、タクミの頬にキスを贈る。
こうして、3つの新たな過剰防衛トラップのテストは見事に大成功を収め(?)、最弱ダンジョンはさらなる『分からせ』の城塞へと進化を遂げるのであった。




