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閑話:とあるゲームメディアの特集記事⑤

【特集】名作RPG『プラチナ・レガリア』の結婚システム、皇女はどこに嫁ぎ、皇子がどの花嫁を迎えるかで攻略難易度と面白さが変わる「婚姻外交」を振り返る


◯/◯(日) 20:30配信


 皇女の結婚が決まった。相手は帝国よりも強大な大国の王太子だ。これで国境は安泰、援軍にも期待できる。そう喜んだ翌月、持参金と婚礼費用の支払いで国庫が苦しくなり、資金繰りに苦労する。ようやく借金を返し終えたと思ったら、嫁ぎ先から急な戦費の援助要請が届いてしまう……。


 帝国再建RPG『プラチナ・レガリア』の婚姻外交システムに、こういった苦い思い出をもつプレイヤーも多いだろう。


 戦争や同盟、交易を通じてヨーラルシア大陸の統一を目指す本作では、皇族の婚姻も重要な攻略要素となる。誰と誰の縁を結ぶかによって資金や物資、人材から軍隊の派遣要請、さらには次世代の育成方針まで変わっていく。だが、ただ条件がいい相手を選べばいいという、簡単な仕組みでもない。


 今回の特集記事では、仕えた皇子の宮の皇女の嫁ぎ先と皇子自身の結婚相手という二つの側面から、本作の婚姻外交システムを振り返りたい。


 まず、各皇子宮に属する皇女たちをおさらいしておこう。各皇女は基本的に母妃を同じくする皇子と同じ宮に属している。


 第一皇子ルドルフの宮には正妃セイラの娘であるアイラ第一皇女とフローラ第二皇女がいる。格式と儀礼に強いアイラと婚姻外交で存在感を発揮するフローラの二人の皇女は、宮廷内での立ち回りだけでなく他国との交渉にも積極的に活用できる、非常に優秀な手駒である。


 第二皇子ユリウスの宮には第二妃ミディールの娘であるマチルダ第三皇女、カティナ第四皇女、レイチェル第五皇女がいる。管理が難しい貴族を華やかなお茶会で言いなりにできるマチルダ、礼儀正しく国内外の契約事情に明るいカティナ、柔らかな口調で本質を突きつつ天性の愛嬌を武器に難しい交渉もなんなくこなすレイチェル。この三人の皇女がいるから、第二皇子を選ぶというプレイヤーも多い。


 第三皇子ヴィルヘルムの宮には第三妃ルナフレアの娘、エリーゼ第六皇女がいたが、第三章冒頭で処刑されてしまうため、通常攻略では育成も婚姻交渉にも使えない。


 続いて第四皇子ルーカスと第五皇子レオンが暮らす第四皇子宮には、第四妃アルテアの娘であるリネア第七皇女とユリア第八皇女がいる。リネアは教育と保育、ユリアは福祉や看護に関わる任務を得意とするのだが、二人は(第四第五皇子もだが)開始時点ではまだ幼く、直接の婚姻ではなく婚約による事前交渉が攻略の主になる。目先ではなく将来的な可能性に賭けた交渉ができる、ということだ。


 皇女の婚姻・婚約は投資に似ている。


 皇女自身の育成にも時間と金が必要になるし、他国との婚姻交渉が始まれば、贈答品や使節の派遣に費用がかかるようになり、婚約が成立した時点で持参金や嫁入り準備が必要になる。相手が大国の王家であればあるほど、その格式に見合う先行投資が必要になるという具合だ。これをケチってしまうと、相手国の心証が悪くなり、最悪は婚約破棄、離縁に繋がる。


 それに、帝国内で任務を与えていた皇女を嫁がせる場合は、その代替人材の確保もしなければならない。皇女は元々ステータスが高く、国民の人気も高いため、後任はほとんどの場合能力不足で成果が落ちてしまう。婚姻による外交上で見込める利益と、国内で失う成果を天秤にかける必要があった。婚姻後の収支だけを見ると、赤字になることも珍しくはない。


 それでも婚姻システムを活用するのには理由がある。それはもちろん、数年後のリターンが大きいからだ。


 婚姻により関係値が良好になると、相手国との関税が下がり、交易収入が伸びる。国境の緊張が緩和されることで、駐屯兵の数を減らし、別の戦線に派遣できるようになる。それまで遠回りしていた街道も通行可能になり、戦争の際は同盟国として出兵要請を出すこともできる。これらの利益は国政をいくら改善しても得ることができない。攻略の後半で、じわじわとこのメリットが効いてくる。


 大国に嫁いだ皇女の差配次第で援軍の数が大幅に変わり、小国でもそこで発掘された金塊の贈答により一気に国力が増す場合もある。国力や結婚相手のステータスだけでは正解がわからない。これがプレイヤーを悩ませるポイントである。


 もちろん、期待した見返りがない場合もある。


 結婚のタイミングやその後の行動次第でその後の展開がころころ変わってしまう。嫁いだ先で相手が王位継承争いに敗れ失脚する。交易相手として期待していた国でクーデターが起こり、皇女もろとも処刑されてしまう……など、婚姻が成立して終わりではなく、その後の展開次第でも黒にも白にも変わってしまうのだ。


 今ある資金を守るか、資産を爆発的に増やしたいか。北部戦線を楽にしたいか、南部との親睦をより深め、守りを磐石にしたいか。皇女の使い方次第で、帝国の未来は玉虫色に変わるのだ。


 ただ、初期から七人全員の婚姻交渉を進められるわけではない。基本的には、仕える皇子宮に属する皇女のみが初期対象で、その後は他宮との協力関係や個別イベントをクリアすることで選択肢が広がっていく仕組みだ。


 また、プレイヤーが帝国の未来を託した皇子自身の結婚イベントもある。こちらも、そのお相手によってイベントの内容がガラリと変わる。一番わかりやすいのが、第二皇子ユリウスのルートだろう。


 彼の場合、例えばカルカウディア商業連邦の有力家の令嬢との婚姻を進めた場合、魔法道具の国内流通が活発化する。具体的には購入可能な品目が増え、在庫数も安定する。遠征前に必要な魔道具を買い揃えやすくなり、攻略がぐんと楽になる。商業連邦は大小さまざまな国、商会が存在し、その相手によっては通常販売される魔法道具のほぼ全てが信じられない安値で購入することが可能になる。それにより、遠征準備の出費が大幅に減るため金策に困ることがなくなるという、チート級の恩恵を受けられた。


 また、魔術国家アウウェスタ王国の王女と結婚した場合、魔導士や研究者との交流が進み、魔術院の研究や部隊の育成が格段に進めやすくなる。アイテムで補強するのではなく、プレイアブルキャラの能力が格段に上がるのだ。


 さらに、この婚姻は二代目の育成面でもかなりプラスに働く。


 魔力の素質を持つ子孫に優れた指導者と教育環境が用意されやすくなるため、攻略終盤にその効果を実感できる。


 目前の遠征で使う道具を確保するか、次世代まで見据えた魔術基盤の構築を選ぶか。同じユリウスでも、結婚相手によって大幅に攻略方法が変わる。


 もちろん、このような違いは皇子の数だけ存在する。ルドルフなら軍事的な協力を強化するために隣国から嫁を取るか、資金面の後ろ盾を得るため国内有数の資産家から嫁を取るかなど、プレイヤーが目指す攻略の方向性により千差万別だ。


 また、すでに結ばれている婚約を変更(破棄)するのならば、その関係性を壊す不利益も考慮しなければならない。婚約中に魅力的な条件を持つ婚姻候補が現れることはざらにある。婚約破棄は離婚に比べて比較的いつでもできる手軽さはあるものの、それ相応のリスクもあるのだ。それも含め、本作の魅力だろう。


 だが、攻略上の利益ばかりを見て婚姻を進めるのもどうしたものか。そんな疑問に答えるかの如く、本作には宮に仕えるメイドや護衛騎士を伴侶に選ぶ選択肢も存在する。だがこれは全ての皇子で誰でも選べるわけではなく、特定の進行条件によって個別に解放される。


 だが、選択できることと、攻略上のメリットがあることは同義ではない。彼女たちを選ぶと、上記に挙げたメリットはほぼないと言っていい。具体的には国外からの持参金や援軍、新しい交易路が得られない。婚姻によって新しい護衛騎士が増えるわけでもなく、国庫の収入が増えるわけでもない。


 国家運営の利益だけを考えるのであれば、他国や資産家系と婚姻関係を結ぶ方が遥かにメリットがある。だが、それでもメイドや護衛騎士との結婚を選択するプレイヤーは多かった。


 ペネロペは俺の嫁、アンナしか勝たん、など、攻略掲示板で護衛騎士の嫁自慢をするプレイヤーを多く見てきた。その理由もわかる。日頃から一緒に行動してきた相手だからこそ、婚姻後のわずかなセリフの変化が嬉しいのだ。


 いつもの業務報告で、夫婦になったことが分かるセリフが混じる。人前では以前と同じ呼び方をするのに、二人きりになると少しだけ口調が変わる。結婚前と同じ場面でも、婚姻後は違う雰囲気になっている、などなど。


 普段は厳しい護衛が皇子の不在を気にする。何でもそつなくこなしていたメイドが、伴侶となった皇子の前でデレる。そういった日々のやりとりの変化を見たいがために、攻略上のメリットを手放すプレイヤーもいるのだ。


 皇女の婚姻では数年後、十数年後の利益を見越し慎重に婚姻関係を構築していたプレイヤーが、皇子の結婚では好みのキャラクターを妻に迎えたいと、感情的に婚姻を結ぶ。掲示板で効率のよい婚姻条件を聞いておきながら、結局はよく使うキャラクター同士を夫婦にしてしまった、という声も多く聞こえる。


 周回要素がふんだんに用意されている本作では、婚姻もその要素の一つだ。皇女では色々な嫁ぎ先を選ぶプレイヤーでも、いざ皇子の相手となると、愛着のある護衛騎士やメイドを選択しがちで、毎回同じ相手と結婚させてしまうことも多い。


 自分が好きなキャラに、好きなキャラを添い遂げさせる。本作、『プラチナ・レガリア』の婚姻外交をやり込んだ人ならば、みな心当たりがあるのではないだろうか。

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