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閑話:とあるゲームメディアの特集記事

【特集】暗すぎると話題・選択により未来が変わる帝国再建RPG『プラチナ・レガリア』とは何だったのか?


◯/◯(日) 20:30配信


<誰に託すか。その選択が、未来を決めるRPG>と銘打って発売された『プラチナ・レガリア』は、ヴェルグガルド帝国を舞台にした宮廷戦記RPGであり、同時に、内乱寸前の大国をどのように立て直すかを選択する帝国再建シミュレーションゲームでもあった。


 発売当時、本作は「選択肢が重い、暗すぎるRPG」として話題になった。戦闘は剣と魔術を軸にした正統派だが、プレイヤーが本当に悩まされるのは戦場よりもそれ以前の会議室である。どの砦に兵を送るか、どの貴族の要求を退けるか、どの国と婚姻同盟を結ぶか、そして、どの皇子と手を組むか。ひとつの選択が、数章後に補給不足、反乱、外交破綻として返ってくる構造は、爽快感よりも胃痛でプレイヤーの記憶に残った名作RPGだ。


 物語の舞台となるヴェルグガルド帝国は、大陸中央に広がる巨大国家だ。北には雪と鉄の国、西には魔術と騎士道の国、南には騎馬民族の部族連合、東には湖と水路の国があり、さらに南西の商業国家や北東の宗教国家、東方の島国まで絡んでくる。ゲーム後半になるほど、プレイヤーの問題は帝国内の宮廷争いから周辺国家との大陸規模の戦争、交易、宗教、通貨、同盟へと広がっていく。


 プレイヤーが操作する主人公は、帝都へ召し上げられた若い参謀候補。皇族ではないが、士官学校で剣と魔術を学び、宮廷作法も最低限身につけているため、複数の皇子陣営に関われる立場に置かれた貴族だ。このゲームは主人公自身が皇帝になるのではなく、どの皇子に仕え、どの皇子に白金の玉璽(プラチナ・レガリア)を託すのかを選択するゲームだと言った方が近い。


 主なルートは四つある。


 第一皇子ルドルフのルートは、軍と秩序による再建を描く。北方軍、補給路、砦、軍馬、兵站が物語の中心になり、選択を誤れば帝国は冷たく硬い軍事国家へと傾倒していく。一方で、兵の命を守るための判断が積み重なるため、最も王道の戦記として人気が高かった。


 第二皇子ユリウスのルートは、魔術と外交による再建である。魔術院、西方の隣国との婚約、留学制度や結界技術が鍵となり、戦闘よりも交渉と研究投資の比重が大きい。華やかなルートに見えて、貴族院と魔術師たちの利害調整に失敗すると、帝国は剣を抜く前に内部から崩れてしまう。


 第四皇子ルーカスのルートは、貴族院と法制度を使って帝国の内側を組み直す政治ルートだ。派手な戦闘は少ないものの、相続法、領地裁判、租税制度、後宮派閥が絡み合うため、読み解くほど味が出る。初見では地味に見えるが、二周目以降でもっとも選ばれる、やりがいのあるルートである。


 第五皇子レオンのルートは、交易、港、通貨、物流で帝国を富ませる商業ルートである。南西の商業国家との交渉、海運保険、関税、為替、倉庫街の治安維持など、RPGとしては珍しい要素が多い。資金繰りに成功すれば帝国は最も豊かになるが、欲をかけば国民が暴動を起こし、通貨不安が国境紛争にまで発展する。


 本作の最終目的は、腐敗と内乱で壊れかけた帝国を再建し、周辺国との戦争、同盟、婚姻、交易を経て大陸を統一することにある。ただし統一の形はルートごとに異なり、武力制圧、婚姻同盟、連邦化、広域経済圏、魔術協定などかなり幅がある。


 ここで気になるのが、第三皇子のルートだ。先に答えを言うと、第三皇子のルートは存在しない。どのイベントをクリアしても、第三皇子ヴィルヘルムは処刑されてしまうからだ。ルートが存在するどころか、プロローグで皇族一族として名前が出る程度の人物で、浪費癖があり宮廷に顔を出さない悪役皇子として描かれ、第三章の冒頭で「浪費および軍費横領」の罪で母ルナフレア、妹エリーゼもろとも処刑される。


 この事件は、帝国がどれほど腐敗しているかを示す背景イベントとして扱われていた。第三皇子宮が消えることで後宮の均衡が崩れ、第一皇子と第二皇子の対立が濃くなり、第四皇子ルーカスと第五皇子レオンの派閥も動き出すという、ゲーム上で緊迫感を高めるためのイベントとして使われていた。


『プラチナ・レガリア』がいまだに多くのRPGファンに語られ続ける理由は、戦争の描写が残酷だからではない。本作が<暗いRPG>と評されるのは流れる血の量ではなく、ひとりの皇子とその家族の死さえ帝国再建の盤面を動かす一手として淡々と処理されるところにある。プレイヤーはその後も国を救うために数々の選択を求められるが、その選択の度に選ばれなかった者たちがこの世界から退場していく。


 もう一度言うが、このゲームに第三皇子ルートは存在しない。


 もし彼が処刑台へ行かずに生き残っていたのなら、『プラチナ・レガリア』の攻略チャートは大きく変わったことだろう。帝国の腐敗の象徴だった第三皇子が処刑されていなければ、帝国はどうなっていたのか。彼に皇帝の権力(プラチナ・レガリア)を託したら、どんなエンディングが訪れたのか。


 残念ながら『プラチナ・レガリア』はその問いに答えを用意していなかった。だからこそ今も、救われなかった第三皇子の名前は、攻略サイトの余白とプレイヤーの記憶に残り続けているのかもしれない。

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― 新着の感想 ―
 ファンの間では権力闘争の中でスケープゴートにそれたんやろなあ⋯⋯ってコンセンサスがとれていた可能性が有りますねこれくらい突っ込んだ記事があるってことは。
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