決闘の始まり
決闘当日、場所はコロシアム。
観客席にはどこから聞きつけてきたのか城にいる魔族達がワーワーと騒いでいる。
下のフィールドには審判のリッチーとアーサーが。
そして私は仁王立ちで海王と対峙していた。
「よく逃げずに来たね!海王さん!」
「…私のセリフではないか?それにギャラリーが多いな」
「そんなことはどうでもいいの!早くやろう!」
海王さんはかなり困惑しているが関係ない。
正直早くこの日が来てほしくてたまらなかった。
リッチーとアーサーのスパルタ教室がずっと続いていたのだ。
本当に大変だった。
「傷だらけではないか。まずは回復を」
「いらない。なんかもういろいろ零れ落ちそうで…」
自分で言っていてめちゃくちゃだと思うが気は急いている。
さっきまで特訓をしていた感覚をその残したままやりたい。
「そ、そうか。それで守るものは持ってきたか?」
「もちろん。ここにあるよ」
アーサーを模したぬいぐるみを取り出した。
「それは…」
「リッチーさんに作ってもらったの。上に立つ以上、守る対象は私についてきてくれる人だから」
「いい出来だ。私が勝ったらそれをいただく」
「?いいけどリッチーさんにも許可取ってね」
あれ?私の覚悟の話だったんたけどちょっと噛み合ってない気がする。
…まぁいいか。
「では早速始めよう」
そう言うと海王の陣地に宝箱のようなものを置いた。
「私に勝てばこの中身を与えよう」
勝てるわけがないがなという思いが透けて見える。
何が入ってるんだろう?
いや、雑音になるからあまり考えないようにしよう。
そう思い、私は自分の陣地にアーサーのぬいぐるみを置く。
「ではよろしいですか?」
リッチーの言葉に無言で両者がうなずく。
「では…はじめ!」
「アースウォール!」
開始と同時に唱え、ぬいぐるみの周りに土の壁が出来上がる。
「なに!?卑怯ではないか!?」
「卑怯上等!ルールにそんなものはなかったよ!」
「くっ…」
模擬戦なんだからこれくらい当然だ。
ちなみにアーサーの提案で守るものをリッチーさんとかにすれば完封できるのではとも提案されたが断っている。
ぬいぐるみを守る壁が完成した直後、即座に海王に向かって走り出す。
海王もそれに気づき、走りながら何かを唱えようとしている。
「私の方が早いよ!アースウォール!」
走りながら目の前を土の壁でふさぐ。
「こんなもの!」
海王は素手で土の壁を壊す…がそこに私はいない。
「む?」
最初から真正面から戦おうなんて思っちゃいない。
触れば勝ちのルール、向こうが驚いている間に抜け出して速攻で勝てばいい!
思いっきり走って宝箱へと向かう。
「よし、勝てる!」
そしてあと一歩で手が届くと思った瞬間、
「うぶっ!!な、なに!?」
足が何かに引っかかり、直前で転んでしまった。
「マジックスレッド。糸の罠だ。最初に仕掛けておいてよかったな」
最初のアースウォールの時か!
ただ戸惑ってるだけじゃなかったんだ。
「こっちへ来い!」
「いーーやーーー!!」
必死の抵抗むなしく元の場所へ引きずられる。
「ウォーターボール」
海王の前まで引きずられた私は顔に水を形成され、呼吸をできなくする。
「が…ぽぽ…(息が…!)」
まずい、何とかしなきゃ!




