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魔王様は足止めたい 番外編  作者: たっつん
海王との出会い
10/13

特訓

「急にどうした?どういうことだ?」

呼びかけられるが私は放心状態である。

あぁ、やったとしても絶対負けるよ。

このいかれたイカ顔に成すすべなくやられるんだ。

さようならみんな、さようなら私…。

「魔王様!」

パンッ!と目の前で手を叩かれる。

「はっ!ごめん、急なバトル展開についていけなくて」

「しっかりしてください」

「…何か事情がありそうだな、説明しろ」

「え…?あぁうん、実は…」

そうして私は戦いに関してど素人なこと、魔法も基本しかほぼ使えないことなどを説明する。

「なに?そうか…であれば私が圧倒的有利であるな…。しかし強さは魔王には必須…うーむ…」

あれ?この人ちゃんと話せばわかってくれそう。

めっちゃいい人なんじゃないかな。

心の中でイカ顔なんて言ってごめんね。


「ちなみに魔王としてやっていくつもりはあるのか?」

「…!もちろん。さっきのはびっくりしちゃっただけだから」

前にこの世界を本気で生きるって決めたのは嘘じゃない。

結果、それで死んでしまっても私に悔いはない。

「一週間やろう。私に勝てなくてもいい。あっと言わせてみろ」

「海王殿、さすがに難しいのでは…?」

リッチーが反論する。

「しかしこれは必須技能だ。いつかは通らなければならぬ。早い方がよかろう」

「いやしかし…うーむ…」

ん?えーっと…つまり私の言葉が本気かどうか見せろってことか、だったら…。

「大丈夫だよ、リッチーさん」

「魔王様?」

「いいよ、海王さん。一週間だね」

ずいっと前に出る。

「その意気やよし、本気でかかってこい」

このままじゃいられないからね、やってやろうじゃない。

「ルールは単純。それぞれの陣地に何か守るべきものを置き、相手のものを触ったら勝ち、触られれば負けだ」

なるほど、それならあまり怪我はしなさそうだ。

「では一週間後に。楽しみに待っているぞ」

そう言って部屋から出ていった。


「…魔王様、大変なことになりましたね」

リッチーが顔をしかめながら言う。

「いいよ、海王さんの言っていた通りいつかは通らなきゃいけないんでしょ?」

逃げて先延ばしにするより今やった方がいい。

「そうですね…こうなってしまっては仕方ありません。わたくしもできる限りの助力をいたします」

「うん、お願いします」

そうして一週間特訓の日々が始まった。


「では私がファイアボールを打ちますのでシールドを」

7日間、私達はひたすら簡単な対処の訓練を行うことにした。

「いきます…ウォーターボール!」

ゆっくりと水の玉が近づいてくる。

「あ…えーっと…シールド!」

1秒のラグを経てシールドが展開される。

水の玉がシールドに当たり、バシャッと音を立てて消える。

よし、できた。

「ふむ…ではどんどん早くしていきます。ファイアボール」

「え…ちょ…!シールド!」

ギリギリのタイミングでシールドが展開される。

「待って、危ない!もう少し手心を…」

「反撃ができるようになるまで続きます。ウォーターボール」

「うわああぁ!!」

間に合わずバシャッと当たる。

思ったより痛い。

リッチーの訓練は過酷だった。

そして明後日の方向に反撃できる程度になるまで5日かかった。


「じゃあ、もう明後日だけど今できることを軸に作戦を立てようと思う」

アーサーとリッチーを会議室に呼んで話し合いを行う。

「あの…魔王様、大丈夫ですか?」

アーサーが心配している。

私の体は小さな火傷と打撲の跡でいっぱいだ。

「問題ありません、回復魔法を行えば跡形もなく消えますので」

いや問題大ありだよ!すごく痛いんだから。

とはいえリッチーさんの手加減のおかげで跡形もなく消えるのはありがたい。

「それでリッチー様、魔王様はどの程度強くなったのですか?」

「そうですね、わたくし達と同程度のスピードでシールドの展開、魔法の展開は早くなりました。予想以上に上達が早いです」

お、これ私すごいのでは?

「よく言えば持久戦が強く、悪く言えば耐久力のあるサンドバッグになりました」

「おー!私すごい…ん?なんで今悪く言ったの…?」

リッチーさんそんなこと言うキャラじゃなかったと思ってたんだけど…。

「なるほど…」

なるほどじゃないんだよ、アーサーちゃん。

「通常の魔法もその速度でできるんですよね」

「はい、基本魔法でしたら。わたくしが保障いたします」

アーサーが考えこむ。

「…あの、アーサーちゃん?」

「魔王様。今から私が有効だと思う策をいくつか伝えます。それを使いこなせるかは魔王様次第ですが」

アーサーちゃんが笑っている。

「なるほど、ではわたくしもとっておきの魔法を一つ」

リッチーも詰め寄ってきた。

「あはは…お手柔らかに…」

あと二日、大変そうだ…。

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