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ある日突然。コロナはやって来た。  作者: 雷鳥文庫


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3/5

発熱外来にて。うん、黙って待とうか。

本日は後でもう一話、投稿します。

 解熱した夫が車で病院に送ってくれました。


受付に声をかけます。ボタンを押して呼び出すのです。

「外で待っていて下さいね。通常の診察が終わり次第お呼びします。」

「ハイ…」

ああ、前の人たちが押してるのか。病院あるあるです。


エレベーターホールに丸椅子が二つ置いてありました。

エレベーターを挟んでひとつずつ。


一回に2人なのね。

あとは午後の分の枠かあ。


お、入り口に近い方に1人年配のご婦人が座っておられます。

(推定七十歳以上。)

この人も発熱外来なのね。私はこの人の次か。


ふうっ。椅子に座って壁にもたれかかります。

ツライぜ。


そこに看護師さんが出てきました。

「お熱、測って下さい。」

まず先に来ていたおばさまからですね。


熱を測るおばさま。

「36・5度ですね。症状はお咳とかお鼻の風邪の症状ですね?」

「ええ。」


へえ。熱無いのか。熱が無くても風邪の症状があると外で待つのだな。


ダラリとしている私。


「では、雷鳥文庫さん。お熱測って下さい。」

「ハイ…」

「38・5度。あらー、高いですね。」

「これでも今朝ロキソニンを飲んでますけどね…昨夜は38度でした。朝は38・2度で…」

「症状は。」

「喉が痛いです。あとだるくて関節痛で。咳をすると胸から背中まで痛いです。後は頭が割れるように痛いです。」


それで夫は肺炎だと思ったのですね。


「それから、鼻水が止まりません。水っぽい鼻が花粉症の様に出ます。鼻が詰まってニオイがわかりません。」


「なるほど。ではもうしばらくお待ちください。」


中の待合室にはまだ何人かいます。お会計待ちの人や多分これから診察の人もいるみたいですね。


一緒に待っているおばさま。イライラしています。かなり待っているのでしょうか。私より早い時間を指定されたのでしょうか。


おや?入ろうとしている??


「あ、ダメですよ。お外で待っていて下さい。」

受付の人に阻止されています。


「だって席、空いてるじゃない。」

「風邪の症状がある方は、他の人の診察が終わるまでエレベーターホールでお待ちください。」


だよねえ。


熱でくらくらしながら、ぼーっとやりとりを聞いています。


エレベーターの隣には階段もあります。ごねるおばさまは、階段のところに行って電話をかけております。


「…もしもし。まだ呼ばれないの。ずっと待ってるのに。私だけ中に入れても貰えないの、ひどい仕打ちよ。ええ。」

おや、涙声で訴えておられます。ご家族でしょうか。


…もしかして、この方は発熱外来を理解していないのか?


ん?んんん?

また待合室に入ろうとしているぞ?

「あ、お外にいて下さいねー!」

受付の人は丁寧です。


「…私、熱なかったでしょ。中にはいってもいいでしょ。」

おや、そう言う理屈ですか。


「いえ、先程も申しましたが、風邪の症状で来られてますよね?」

「だって。私より後から来た方がどんどん入っていくのよ。ひどいじゃない。」

「…あれは、予約の方でして。」



繰り返しますが、この病院は完全予約制なんです。


「予約って。いつまで待てばいいの?全然わからない。」

「とにかく、あらかじめ予約されてる方が終わり次第、お呼びしますから。」


中に入るのを阻止されるおばさま。


怒りに震えています。


…最近の病院はわりと完全予約制なんですよ。コロナ禍以降は特にね。久しぶりに病院に来たのかしら。

(それは素晴らしい。ご健康なのですね。)


ウロウロと檻の中のクマのように歩きまわるおばさま。

やはり動物園のクマは本当にそんな動きをするのだろうか。


いかん。熱でぼーっとしている。


おや?おやおや?おばさまこっちに来る?

ロックオンされた?


ええ?何で?

んで良かとけ。

(※訳。来なくいいのに。何故こちらに来ようとしているのか。)


「ねえ、アナタも中に入らないでと言われたの?」


げ。話しかけて来やがった。


「ハイ…熱ありますし。」

(来るなよ。私は多分何かの感染症だぞ。熱があると言う時点で察しろ。私は動けないんだから。)


「私、熱ないのに入れてもらえないの。」

ぐすっ。


涙ぐむおばさま。

自分が可哀想でたまらないみたいです。


…勘弁してよ。


「…この時間に来いと言われたんですよね?発熱外来に。」


「そんなこと言われてないわ。」


はあ?ではこの人は予約も無しで、風邪だからとノーアポで来たのか。発熱外来も申しこまずに。


それで追い返す訳にいかない病院側が、

「風邪の症状がお有りでしたら、お外でお待ちください。」

となったのだな。


…確かに。この近くには予約制でなくて先着順の内科もある。


それと同じ感覚か。


「後から来た人に抜かされて…ひどいじゃない。」

はあ。このおばさまは私に一緒に文句を言って欲しいのか。


ノー!!


無理を言うなよ。



「…ここは予約制ですからね。ホラ、あの待合室に人がいるのが見えますよね。」


エレベーターホールからでもすりガラス越しに人影が見えます。

「多分、あの人たちがいなくなったら、診てもらえますよ。」


おばさま早速、覗きにいく。

そして私に向かって、指を三本立てた。



…そうですか。




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