35話 VSバルロス 少女の独白
視界が暗転。意識が遠退く。
結局、どうすべきだったのか。何もない闇の中、繰り返される思考を彷徨っている。あの灰が精神力によって強化されるなら、さらにそれを上回る何かが必要だったのか?
気合で勝負の行方が左右される、などとは決して思わないが、奴の能力がそうである以上は、こちらも示さなければいけなかったのかもしれない。心を、意志を、覚悟を、私の魂の全てを。何ものにも負けない確固たる原動力を。
正しいとは思わないが、バルロスの言い分にはたしかにソレがあった。
だが、私にとっての原動力とは何なのだろうか。
私を突き動かすものは何なのだろうか。
強くあること……?勝負に勝つこと……?『最強』という肩書への憧れ?
そのどれもが当てはまっているようで、同時に少し違う気がする。
分からない。
私は自分に誇りを持っているタイプではないし、敗北も一つの学びだったと納得できてしまう。
転生を体験してしまったからだろう。殺伐としたこの世界で、私は自身の命を軽く捉えていた。次もまた転生できるのか、定かではないというのに。
そんな私がバルロスに示せる原動力など、本当にあるのか?
あの壁を打ち破れるほどの剣を持っているのか?
私が進むべき道はなんだ………私が出すべき答えは……私が……私……が……が――――――プツンッ。
思考が千切れたその時、頭の中で誰かの声が聞こえた。
―――――『他の何にも囚われず、心のままに進まれよ』―――
穏やかな声だった。
勇気づけられるような、背中を押されるような、そんな声。
ああ。
そうか、そうだよな。
難しく理屈を並べる必要なんてない。
原動力なんざどうだっていい。『最強』なんて肩書も関係ない。
そんなもんに囚われてるから足元をすくわれるんだ。
命を軽く捉えてる?大いに結構。
挑んで学習してまた挑む。それが私だろうが。
というか、どうして私があんな奴の言い分に付き合わなくちゃいけないんだ。
女は劣等種?精神力が弱い?勝手に言ってやがれ。ペッ。
私なんかが擁護せずとも、彼女達は強い。
誰が何を言ったところでその事実は揺るがない。
あー、くそ。
何をグチグチと悩んでたんだ馬鹿か私は。
それもこれも全部あのバルロスとかいう奴のせいだ。時間返せこの野郎。
戦場は男の聖域?女が足を踏み入れていい場所じゃない?うるせぇバーカ。
アンタの崇高な理屈なんざ知ったこっちゃねぇわ。
私が戦う理由はただ一つ。
「―――『面白ぇ』からだろうが」
そう、自身の前進が、成長が楽しくて仕方ないから私はここにいるのだ。なら理屈は関係ない。目前の敵ですら、私にとっては進化への礎なのだから―――。




