第38話 それが彼の生きる道
「パーソン。ほら、あるんでしょ?調査書」
「あれ?バレちゃったかー」
「最初からあるくせに意地悪よね」
そう言いエリファーはパーソンからグーナの調査書を貰う。
「へぇーグーナの出身は田舎の方だとは思ってたけどここまでとは、、」
「ねぇひどくない!?」
なかなか辛辣なエリファーとどこから嘘でどこから本当の事を言っているのか分からないパーソン。
「じゃあグーナは一旦仕事に戻りなよ。私たちはもっと詳しいこと調べるから」
エリファーがそう言ってグーナを仕事場に連れていく。
そして2人っきりになったエリファーとミスジェロは資料をぺらぺらとめくっていると、エリファーはある部分で手が止まる。
そして顔の向きを資料からパーソンに変えた。
「早速だけどグーナの出身地であるエルナ村を襲った集団だけど、、ただの山賊じゃないでしょ?」
「あぁそうだよ、なんでわかったのかい?」
そのパーソンの言葉にエリファーは答える。
「グーナの話を聞いたかぎりだと、、小さい山賊達ではまずありえない点がいくつかある。
まずグーナの村を襲ったのはただの山賊と言われているわ。」
そしてエリファーが不可解な点をいくつか出している。
「ただの山賊よ?普通村ひとつ滅ぼして子供を誘拐し、尚且つ証拠も残さず去れるかしら?
山賊ならどこかしらに証拠が残っているはずよ」
国家機関が証拠を探そうとしても見つからなくて危うく誰が襲ったのかも分からないところだったらしい。
「そこであるひとつの可能性が出てくるわよね。誰かが糸をひいているということよ。
それにグーナがこのホストクラブで働いてる理由は山賊のトップが来るからよね」
そしてエリファーは息を吸い、もう一度口を開く。
「一体誰がそんな情報流したのかしら?
矛盾だらけのこの状況はもはや誰かが仕組んだとしか思えないわ」
何故証拠を跡形もなく消せる山賊のトップがホストクラブに来るとわかったのか。
最初にその情報を流したのは誰なのか。
そして山賊達を操っていたのは誰なのか。
しかし山賊達を操っていた人物はもうパーソンが調べあげている。ここからは仮説を真実に近ずけるために動くだけだ。
「一応確認だよ。あんたは私側、、ウィル王国側につくってことでいい?」
「それでいいよ」
「一応あんたが裏切ろうとしてるのってひとつの軍事国家だけど大丈夫?」
「僕を舐めてもらっちゃ困るぜ!見た目変えながら渡り歩いてきたよ!魔法使いだからね」
「あーでも確かに魔法扱う人じゃないと付与とかできないもんね」
この男。果たして今までどれほどの国を欺いてきたのだろう。
それに国家機関が調べてわからなかったことまで知っているなんて、、。
ん?なんで知ってるのか?
国が分からなかったことまで。
彼は魔法使い、、つまり本人の魔法は情報収集に特化したものなのだろう。
よく考えろ。いままでの会話でのヒントを。
そしてそのパーツ一つ一つが繋がっていくような感覚に陥る。
「そうか!お前は追跡魔術師なのか」
そのエリファーの言葉にパーソンはニヤッと口角をあげる。
「正解だよ。僕は魔法使いは魔法使いでも追跡魔術師だ。ひとつの括りの魔法しか使えないんだよ。他人の身体に僕の魔力を付与してその人が今どこにいるのかわかる追跡機能と誰がいつどこで何をしていたのかも地面を触れればわかるよ」
だから兵士に魔力付与をしているように見えたのか。
「でも私に色々事教えて大丈夫?寝返る時大変でしょ?」
「僕は元々僕のやりたいところができる面白い場所がいいんだ。面白くなくなったらいらない。僕は君が面白くなくなったら捨てるよ」
「正直すぎだろ」
エリファーでも呆れるぐらい正直な男だ。
「うん。でも君は聖女という秘密をバラしたんだ。僕もひとつ秘密をバラすべきだ。フェアじゃないからね。それに、、君が面白くなくなる事なんてないでしょ」
パーソンはにやりと笑う。
本当によく分からない人間だ。
「まぁ裏切られたら裏切られた時考えるわ」
「よろしく」
そしてエリファーは自分から見て真っ直ぐ北にある山を指さす。
「さぁ行きましょエルナ村へ!」




