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おまけ(30) 【ノエル視点】ユウとシャノンのいない小王国支部

本日はコミカライズの更新日です!


前回、新たな仲間を迎えた小王国支部。

今回は舞台も変わり、いよいよ新人研修編に突入です!


是非ご覧ください!



…というわけで今回の小話は、ノエル視点。

ユウとシャノンが出発した後の小王国支部の様子です。




 新人研修の受講のために、ユウと娘のシャノンが隣国に出発した、翌日。


「……(あね)さんたちは今頃、研修受けてるんですかねぇ…」


 テーブルに頬杖をつき、デールがぼそりと呟いた。

 小王国支部の受付ホールは、今日も出窓から温かな日差しが差し込み、どこか長閑(のどか)な雰囲気だ。その出窓で、ルーンが寝そべったままぐーっと伸びをした。


《受けてるだろーなー。今日から開始らしいし》


 この小王国支部から一番近いユライト王国ロセフラーヴァ支部は、こことは比べ物にならないくらい規模が大きく、新人研修も20日に1回の頻度で定期的に行われている。ユウとシャノンは、そこに『他支部所属の冒険者と冒険者見習い』として参加する予定──いや、もう予定通り参加しているだろう。

 ユウは言うに及ばず、シャノンも最近とてもしっかりしてきた。きっと順調に進むはずだ。


 …とはいえ、心配は心配だった。

 ユウもシャノンも、他国に行くのは初めて。シャノンに至ってはこの街から出たこともほとんどない。

 昨日の朝、乗合馬車に乗るところまでは見届けたが、国境での手続きやロセフラーヴァ支部に到着してからの研修の申し込みなど、やらなければならないことは多い。無事に済んだだろうか。


「変なことしてないといいけどなぁ…」


 デールの心配は、私とは少し違った。変なことって何かしら…?

 私が首を傾げていると、ギルド長のカルヴィンさんがゲッと顔を歪める。


「おい不穏なこと言うな。現実になったらどうすんだ」


 この国には、何かしらの言葉を口にすることであまり良くないことが実現する、という考え方がある。

 『フラグ』だとか『言霊(ことだま)』だとか、そんな呼ばれ方をしている話だ。確か、歴代勇者の一人が言い出したことらしい。


 ルーンがごろんと寝返りを打ち、こちらに顔だけ向けてヒゲを震わせる。


《心配しなくてもいいんじゃね? だってシャノンはともかく、心配していようがいまいが、絶対何かやらかしてるしな、ユウ》

「断言すんな! あっちで起きたトラブルで、怒られるのはオレなんだぞ!?」

《じゃあ何も問題ないな》

「そうだな」

「だな」


 ルーンがさらりと応じると、デールとサイラスが即座に頷いた。ギルド長が愕然と目を見開く。


「お前ら薄情すぎるだろ!」

《だって俺は責任者じゃないし。頑張れよー責任者》

「くそっ! ギルド長の役なんて受けるんじゃなかった…!」


 頭を抱えてうずくまるギルド長に、ふと疑問がわく。


「…ギルド長は、どういう経緯でギルド長になったのですか?」


 思った時には口に出ていた。へ、と呻くギルド長を見て、デールとサイラスが首を傾げる。


「……そういえば」

「何でですかね?」

「いやお前らは把握してろよ」


 デールとサイラスは、今の小王国支部メンバーの中ではギルド長に次ぐ古株。グレナさまがギルド長だった頃から冒険者として活動している──ということは、カルヴィンさんがギルド長になった当時もここにいたはずだ。

 ギルド長は腰に手を当てて溜息をついた。


「オレがギルド長になったのは、当時在籍していた冒険者の中で一番実績があったからだ」


 ギルド職員は、一般人から直接就職する者もいれば元冒険者という者もいる。けれどギルド長だけは、冒険者経験があること、しかもその支部での活動実績があることが必須なのだという。

 所管する地域の特性や魔物の生息状況を実際に知っている者でなければ、危機管理ができないという理由だそうだ。


 グレナ様がギルド長を引退する時、所属する上級冒険者のトップがカルヴィンさんだった。当時は移籍する冒険者が多く、ほぼ、選択の余地はなかったらしい。

 何だかんだ面倒見が良い方だから、選択の余地がなかったのだとしても、人選は正解だったと思う。


「へー、実力主義だったんですね」


 デールが目を見張ると、ギルド長が渋面になった。


「…つっても、小王国支部は、だけどな。他の支部には元冒険者じゃないギルド長もいる。隣のロセフラーヴァ支部のエイブラムとかな」


 隣国ロセフラーヴァ支部の初代ギルド長にして現ギルド長のエイブラム様は、王都にある冒険者ギルド本部の職員出身だという。採用試験を経て職員になった方で、冒険者経験はない。

 他の支部の立ち上げに携わったことがあり、その実績が認められてギルド長になった。かなり異色の経歴の持ち主だそうだ。


 それだけ聞くと立身出世の代表例のように思えるけれど、ギルド長は苦々しい顔をしている。


「……現場を知らないせいで、平気で他支部の冒険者を引き抜きやがるんだよ」

「あー…」

「…それで…」


 小王国支部の冒険者が減っていった当時のことを知る3人だ。色々思うところはあるのだろう。デールとサイラスも苦い顔になった。

 当時も大変だったのが、よく分かる。けれど私は、違うことが気になっていた。


「……ロセフラーヴァ支部のギルド長がそういう方だとすると、ユウとの相性はとても悪そうですね……」

「!」


 ギルド長がビクッと肩を揺らした。デールとサイラスがハッと顔を見合わせ、ルーンがひょこっと立ち上がる。


「そうだ…奴と出くわしたら、一発で敵認定するんじゃ…?」

「いや、いくら姐さんでもそこまで直情的じゃあ…」

「……な、なあ…?」

《ゴミ屋敷になってるこの支部と下手人を見て一瞬でプッツンいった実績があるけどな》

「嫌なことを思い出させるな、ルーン!」


 ヒラリと尻尾を振ったルーンに、ギルド長が叫ぶ。 


 小王国支部は、少し前までゴミが溢れ、大変近寄りがたい雰囲気の建物だった。ユウが主導して片付けたとは聞いていたけど……キレたのね、ユウ……。

 そして下手人というのはギルド長たちのことだろう。ちょっと生温かい目で見ていると、ギルド長が頭を抱えた。


「くそ、嫌な予感しかしねぇ……誰だよあいつらをロセフラーヴァ支部に行かせたのは。オレだよ畜生!!」


 叫ぶ内容が、何というかとても残念だ。


「どのみち新人研修はここじゃ受けられませんし、仕方ないですよ」


 会話を見守っていたエレノアが苦笑する。

 ギルド長が潰れたカエルのような呻き声を上げている。既にユウとシャノンは出発してしまった後。予定通りなら研修を受けている頃だし、もう心配しても仕方ない気がするけれど。


 やがてギルド長は、わずかに顔を上げて、遠い目をして呟いた。



「…………シャノンが上手いことアイツの手綱を握ってくれることを祈るしかないか……」

「ギルド長……」



 ……シャノンにそんな高度な対処を望まないでくれないかしら……。










心配が尽きない小王国支部の面々。主にギルド長。

でも仕方ないね、ユウさんだもの!



…さて。


本日はコミカライズ12話その②の更新でしたね!

みなさま、もうご覧いただけましたでしょうか?

そしてコミック2巻はもうお手に取っていただけましたでしょうか…!!


今回更新分の原作者的イチオシポイントは、


・馬車酔いするユウさん(慣れてない人の宿命)

・さらっと出てきたベイジルさん(デキる商人)

・ドーン!とそびえ立つロセフラーヴァ支部(小王国支部と規模が全然違いますからね…!)

・あっさり敵認定するユウさん(早い。そして顔があくどい(笑))

・出現!なんか怪しい冒険者!(誰なのかは…お察しです)

・キラキラした目でユウさんを見るシャノン(良い子は真似しちゃダメな人だぞ、それw)


…です!


初めての隣国。初めての他支部。新キャラ登場。いやあドキドキしますね!

そして…みなさまお気付きでしょう、ユウさんの衣装が変わっております!

旧衣装:白カットソーに色の濃いベスト(実は革鎧またはボディスに近いやつです)、白いパンツ。

新衣装:黒ハイネックに白系のジャケット、黒パンツ。

実はブーツも変わっておりまして。全体的に大人っぽいというか、ベテランの雰囲気ですね…!


この格好で例によって大暴れするわけですよ。たまりませんですよ。

続きが待ち遠しい! 早く読みたい!!


…というわけで、ユウさんのこの後の活躍に思いを馳せつつ、次回更新は2月10日(火)の予定です。


絶賛発売中の小説1巻とコミカライズ1・2巻、

そしてカドコミ&ニコニコ漫画にて好評Web連載中のコミカライズ!


みなさま、引き続き応援をよろしくお願いいたします!



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