第13話 裏切りじゃなくて 鈴の激怒
ちょっと更新遅くてすいません。
リアルでちょっと忙しくて・・・
なるべく早めに出せるようにします。
-彩人side―
・・・俺は、勘違いをしていた。
事の発端は約2週間前。
突如として先生から聞かされた、樹希と鈴ちゃんの退学。
初めは何かあったのではないかととても心配した。
でも、1週間もたてば、もしかして俺の正体に気が付いて逃げてしまったのかと思うようになっていた。
それから1週間。心配する心と疑う心とで、せめぎ合っていた。
そして今。
俺は猛烈に後悔していた。
せめぎ合いで疲れていた心は、思考を放棄するように、彼らは敵だと一時的に認識した。
そう、正体を知っているんだと。
初めは鈴ちゃんに食って掛かったけど、それは違うと感じた。
顔を見れば本当なのかウソなのかはわかる。
人狼は嘘をつくのが得意だから見分けるのも容易い。
それをもってしても、鈴ちゃんは俺の正体を知らなかった。
そして樹希にも食って掛かった。というか、樹希こそ鈴ちゃんを巻き込んだ本人だと思って。
すると、普段は上げない大声を上げた鈴ちゃん。
「違うっっ!!!!逆だよ!!私が巻き込んだの!!!」
俺はとても信じられなかった。
だって、本当に気が付いていなかった顔をしてたから。
それに大声を上げたことも、信じがたかった。
「・・・は・・・?でもお前、俺のことに気が付いてなかったじゃねーか。」
「だからね、説明させてよ。」
鈴ちゃんは懇願するような目で俺を見た。
先ほどの紅い瞳ではなく澄んだようなきれいな青い瞳で。
やっぱり、信じられなかった。樹希が、巻き込んだんだ・・・!
「・・・いやだね、信じない。鈴ちゃんを巻き込んだんだろ、樹希!!」
そうして人狼のキック力で一瞬で樹希の目の前に移動し、刺突を繰り出す。
普通の吸血鬼なら、避けるだけで精一杯のはず。
だが、予想に反してあっさり避けられてしまった。
(は・・・?嘘だろ・・・?)
俺が少し驚いている間に樹希が銃で俺を撃った。
その途端に俺は体がしびれて動かせなくなった。
そして樹希の顔を見た。
樹希の目には、「知らねえって言ってるだろ話聞け」といったような意味の怒りがにじみ出ていた。
そして次の瞬間、またも信じられないことにドスの利いた声で樹希が言った。
「話聞けよ。鈴の言うことちゃんと聞け。」
そのまま鈴ちゃんの隣に移動した樹希は待機して鈴ちゃんが前に出ると目を瞑った。
だが、警戒は解いてないようだった。
前に出てきた鈴ちゃんの話では、予知夢を見てそれに対抗するべく鈴ちゃんが吸血鬼の血を取り込んで、吸血鬼になってしまったこと。
それに樹希が付き合って樹希も吸血鬼になったことを聞かされた。
二人の顔に騙そうとしている意思は皆無で、正直に話をしているんだと分かった。
そして見ているうちに、鈴ちゃんが突然静かに涙を流し始めた。
顔には・・・「信じてたのに裏切られた」という雰囲気が、にじみ出ていた。
・・・俺は、勘違いをしていた。
どうしようかと少し慌てる。すると、後ろから声がかけられた。
「あれ?鈴ちゃん泣かされてるけどいいのー?」
そういって現れたのは先ほどの2人。
1人は吸血鬼だがもう1人は妖狐。
話しかけてきたのは吸血鬼のほうだ。
慌てて樹希を見ると、知らんというようにまだ目を瞑ってた。
「・・・まあ、樹希くんがいいなら、いいんだけどね?」
そういってまた消えていった。
何だったんだ。
そして、俺は正直に話すことにした。
襲ってしまって恥ずかしい思いもあるが、それ以上にちゃんと思いを伝えるのが先だ。
「・・・俺だって、最初消えた時は心配してた。何かあったのかってな。でも、1週間も経つうちにもしかして俺のこと気が付いたんじゃないかって、思ったんだよ。それでずるずる1週間。心がもう疲れ切ってたよ。連絡取ろうにも連絡つかねえし、確認したくてもできない。」
「・・・」
「そんな中人気のない道を考えながら歩いてたら変な奴らに襲われて。実はあれ、俺一匹倒してんだよ。でもまた別のところから現れやがって・・・。それで少しまずいと思って逃げてたら、これだ。」
「・・・」
「正気失うのも当然だと思わねえ?・・・まあ、確認もせず信じもせず、突然襲い掛かったのは俺だから、俺が悪いんだけどな。」
「・・・」
「まあ、裏切られたと思うならそれでいいよ。裏切り行為をしたのは俺だ。あとは好きにしろ。」
俺はそう言うとあまり力の入らない体を揺らして仰向けに倒れた。
―鈴side―
私は話を聞いてさすがに私も悪いと思った。
自分だけが被害者だというように思ってしまっていたことをすぐに反省する。
そしてどう言おうか悩んでいると。
樹希が近づいてきた。
「なあ、なんで俺らと友達になったの?」
樹希は彩人くんにそう聞いた。
「・・・なんでだろうな。多分二人がうらやましかったのと・・・仲良くなれば俺のこと打ち明けたとしても大丈夫だって感じたからだろうな。」
「・・・そうか。」
そういって二人とも無言になった。
そして樹希があり得ない発言をした。
「・・・・・・勝負、しよう。」
その言葉に彩人くんもなんて言われたのか信じられなくてきょとんとした顔で「は?」と言った。
「だから、勝負しようって言ったの。俺とお前で勝負。使うのは己の・・・特殊武器のみで。持ってるんでしょ、そのネックレスしてるってことは。」
私が彩人くんの首に目を向けると、確かにネックレスをしていた。
そういえば、犬歯のような形の石のようなものがそれについてたような。
あ、犬歯!
「・・・ああ、そうだな。持ってるよ。ところでなんで勝負なんだ?」
樹希は考えた後、言った。
「・・・だって彩人、鈴のこと好きそうだったし。あと、自分がどれくらい動けるのか確認しておきたいんだよ。」
その発言に私も彩人くんもびっくり。
「・・・・・・はあ、お見通しかよ。」
「えっ?!」
一瞬驚いた彩人くんはあきらめた表情でそう言ったので私は何が起こってるのかもうわからなくなった。
「勝負ってことは、取り合いか?それとも認め合いか?どっちでも本気を出すことには変わりねえけど。」
「認め合いに決まってるでしょうが。今の鈴は俺の彼女だよ。」
「ああ・・・なるほど。認め合いじゃないとそっちが困るか。」
普段あまり戦闘を好まないはずの樹希が自分から戦闘を言い出した挙句、恥ずかしげもなくそういうことも言った。あまり私の心臓に負荷をかけないで欲しいな樹希さん。
「わかったよ、俺だって負けてばっかりじゃねえって認めさせる!」
「ぜひそうしてくれ。」
するとすでに体が動くようになってたのか仰向けに倒れていた彩人くんが起き上がった。
そして二人は各々特殊武器になるあれにマギを込めた。
すると、樹希はライフルの先に20センチほどの刃が付いた銃剣。
彩人くんは鋭い針のようなものが付いたナックルだった。
それぞれ鈍く光っており、樹希の剣の部分には何かのマギ的要因があるのか、刀身にルーン文字のような、英語のようなものが書かれていて、その文字の部分は光が強かった。
彩人君はナックルから出ている針がナックルよりも光っていた。
ちなみに色は樹希が緑、彩人くんが青だった。
そして、二人はじーっと見つめ合っていた。
おそらく隙を見せた途端戦闘が始まる。
私もかたずをのんで戦闘が始まるのを見ている・・・わけにはいかなかった。
冷静に考えたら二人がここで戦ったら戦闘音とかでギャランこっち来るよね?
それにここ一応市街地だからすぐに人出てくるしなんならもの壊れるよね?
そんなこと考えた。
そして樹希が動き出そうとするより一瞬早く、「だめ!」
って言ってみた。
すると、一気に緊張感がなくなった。
私はその止められるのを待ってましたと言わんばかりの二人の雰囲気にきょとんとした。
「・・・?」
「・・・やー、さすがにここで戦ったら被害が出ることに構えてから気が付いたわ。」
「うん、構えてるときに俺も考えた。でももう止まるに止まれなかったからどうしようかと思ってたよ。」
彩人くんと樹希の二人からそう聞かされる。
「勝負はするけど、彩人をあの施設で仲間にしてからだよ、鈴。」
私はさすがに、本当に戦闘がここで始まると思っていたので、逆に腹が立ってきた。
じゃあどうして武器まで構えたし。
なんで今も構えてるし。
あ、でもそれまでは気が付いてなかったのか。
・・・・・・私もさっき気が付いたもんね。
怒りと呆れの声で私はこう言った。
「さっさと武器下ろせ」
思ったよりもだいぶ低い声が出た。




