第12話 掃討戦闘に裏切り
私たちはあの後叫んだ。
そして説明されるより早くバルドさんたちから急ぐからってすぐにここから別の部屋に移動した。
そして加田さんから不思議なものを渡された。
形だけ見ると本来吸血鬼たちが苦手とするであろう十字架のペンダントだった。
手にしてみても何にもないので何だろうこれと思っていると、加田さんが言った。
「それに危険に陥ったらそれにマギを流してください。本人の性質に合わせた武器に変化します。」
そういわれたので急いでそれを首にかけた。
そして私はもう一つ、樹希からもらった指輪も付けた。
するとバルドがそれを見て少し反応したが、何もなかったかのように椿さんと話していた。
私自身は付けたことで少し嬉しくなっていてそっちを見ていなかったから、その反応に気が付くことはできなかった。
そのまま私たちはマギを使って透明化。
人とすれ違っても困るので屋根伝いに移動。
私達が行くのはちょうど〇〇町だった。
着いたころ、一角では一人の男性がちょうどギャランから逃げていた。
彼が食われるすんでのところで樹希がマギで作った銃で1発撃ち込んだ。
するとギャランは彼を食うのをやめこちらに向かってきた。
その間にバルドさんたちは透明化のまま男に近づき今日の記憶を消した。
倒れこむ男性が姿を現したバルドに抱えられるのを見届けると、私たちは人除けのためにマギで結界を作りそのまま戦闘。
すぐに樹希が核が現れるようにギャランの中心部に普通の魔弾を3発撃ち込んだ。
ギリギリ出てこなかったが修復される前に私が光の玉を放射。
普通に何発かでむき出しにになった核に容赦なく次々と打ち込まれる光の玉により楽々撃破できた。
結界を解いて襲われていた彼の記憶からもとはどこで追いかけられ始めたのかを視て、そこに放置。
その後も他のところに出ているギャランを次々と順調に倒していった。
そして、最後らへんになってきたときだった。
最初のように男の人がギャランに追いかけられていた。
今日で流れ作業のように戦ってきたので、すぐにこちらにギャランの意識を向かせるように樹希が魔弾を一発中から打ち出した。
そしてこちらに来るギャランの後ろから見えた男と目が合った。
・・・・・・あれ?
ものすごい既視感を覚えた。
思わずバルドたちが駆け寄るより先にそっちに向かってしまった。
そのことで何か察したのか樹希は引き金を3回ノックして高い攻撃力の魔弾を打ち出す。
そしてそれがギャランに当たった瞬間半分以上ギャランが消失、核に直撃してギャラン自体も倒した。
そして私が安心して男のほうに顔を向けると・・・
「・・・あ?」
向こうも何か覚えがあるような顔でこちらを見つめていた。
でも私たちの顔が変わりすぎて誰かわかっていないみたいだった。
私はこの時なんで近づいてしまったんだろうと少し後悔した。
そこには、ほんの数週間前まで同じ学校で和気あいあいと話をしていた友達である、小鳥遊彩人がいたからだった。
しばらく見つめていると、彼が気が付いたかのようにぼそっとつぶやいた。
「鈴ちゃん・・・・・・?」
ああやっぱり感のいい彩人くんだなあなんて思いながらどうしようかと見つめていた。
すると彩人くんの目線は私の後ろに移ったその目は見開かれていた。
そしてまた一言。
「・・・樹希っ?」
あー、こればれたな・・・
そう思いながら透明化して記憶を消そうと待機しているバルドさんたちに声をかけた。
「話がしたいからちょっと待って。」
すると気配すらも消えていたバルドたちが少しだけあきれたような顔をしながら現れた。
「いいのかい?」
「うん。こっちに来たら片付けとくからほかのお願いします。」
そういうと私の覚悟とかいろいろ見抜いたのか、バルドはうなずいて言った。
「じゃあ、任せるけど。・・・どうするかも、任せるよ。」
「ちょ、バルドはん、なにいうてますの!?」
「いいんだ。彼女たちの問題だろう?」
椿さんはため息をついた後、
「わかりんした。上手くやりんさいね。」
そういってバルドとともに消えた。
目の前には私たちの声を聴いて確信をもって驚く彩人くん。
数分か数秒か経った後、静かに彩人くんが口を開いた。
「・・・・・・お前ら、どうして勝手に出て行ったんだよ。」
私は姿や戦ってることに疑問を投げかけられるのかと思っていたけど、彩人くんの第一声は消えたことに関しての疑問だった。
「どうして、何も言わずに突然消えたんだよ。お前らのその姿は何だよ・・・。なんであんな化け物と戦ってるんだよ!」
まさに慟哭といった感じで叫ばれてしまった。
でもここはちゃんと説明しようと思っていたから、説明しようとした。
「・・・鈴ちゃん。樹希も。なんでそんな吸血鬼みたいに・・・瞳が紅いんだよ・・・」
え。今紅くなってるの・・・?
そう思って手鏡を出してみてみると、確かに煌々と瞳が紅く光っていた。
・・・そういえば説明されなかったけど、能力使うときとかは瞳が紅くなるんだろうと思っていたけど。
これで実証されたなあ。
今私たちが使おうとしてたのは、夢魔と共通のスキルである魅了を試したからだった。
本来なら吸血鬼は相手を魅了し、堕としてから血をもらう生き物だったからできたことだった。
でもたぶん効いてない。
「なあ、どうしてだよ。」
これはさすがに少し嘘をついて話すにしても騙されてくれる気がしないなあ。
仕方がない本当のこと話そうかな・・・
そう思って話し始めた。
「あのね。私たちね・・・」
「・・・・・・吸血鬼になりましたって言いたいの?」
にらみつけてきながら低い声で威嚇するように声を出した彩人くん。
「・・・うん。」
私はその時には気が付くべきだった。
魅了は普通人間なら誰にでも効くスキルのはずなのに、彩人くんに効いていないということがどれほどのことなのかについても気が付くべきだった。
でも、まだ詳しく聞いていなかった私はそんなこと知らなかったから、魅了はかかる相手とかからない相手がいるんだと間違って認識してしまった。
そう、人間なら確実にかかるはずなのに、効いてなかったということに私は気が付かなかった。
彩人くんは・・・私に伸びた爪で切りかかった。
私自身は何が起こってるのかわからなかった。
でも、樹希がそのことに気が付いていたのか少しだけ早く私を後ろに引っ張ることに成功し、私は難を逃れた。
「・・・え・・・?」
「えってなんだ、俺のことに気が付いてたから吸血鬼になって表れたんじゃねーの?」
「・・・ど、どういう・・・」
私はいまだに脳がそれをそうだと受け入れることを拒否していた。
「どういうもこうも・・・まさか本当に知らないで吸血鬼になったのか!?」
私が苦しげな顔をしていることに気が付いて、そう言った。
「樹希、お前が気が付いてたんだろ?それで俺のこと倒そうとして鈴ちゃん巻き込んだんだろ。」
私は一気に殺気が樹希に向いたことで我を取り戻した。
「違うっっ!!!!逆だよ!!私が巻き込んだの!!!」
すると、信じられない表情で彩人くんは私を見た。
「・・・は・・・?でもお前、俺のことに気が付いてなかったじゃねーか。」
「だからね、説明させてよ。」
「・・・いやだね、信じない。鈴ちゃんを巻き込んだんだろ、樹希!!」
そういって私の前から樹希の前に一瞬で移動した彩人くんは伸びた爪で樹希を刺突しようとする。
でも今日の戦闘で戦闘センスが敏感になっている樹希はそれを易々とかわす。
そして銃で彩人くんを撃った。
込められていたのは電撃的なものらしく魔弾はぱちぱちと帯電していた。
直撃を食らった彩人くんは一発で体の自由が利かなくなっていた。
「・・・お前ら、本当に俺が何者なのかも知らずに吸血鬼になったっていうのか?」
説明をやっと聞く気になったのか、しびれて動かなくなった体をぺたんと座らせてそう聞いた。
「話聞けよ。鈴の言うことちゃんと聞け。」
いつもの穏やかな声からは信じられない低い声で彩人に対して樹希はそう言った。
そして私の隣に来ると警戒したまま私にバトンをパスするかのようにその場で待機した。
私は少しだけ前に出て、説明を始めた。
「私ね、樹希と遊園地行った日の夜に怖い夢を見てたの。」
「・・・」
「その怖い夢は、私をあの化け物が崩した家の瓦礫がこっちに飛んできて、樹希がかばって死ぬ夢だった。」
「な・・・」
「そして私は一回起きたんだけど、どうにも眠くてもう一度寝たんだ。そうしたら一人の吸血鬼が夢に出てきた。」
「・・・」
「その人が言うには、その夢は予知夢で実際に起こることであること。起こってしまえばもう二人とも助からないこと。それを打開するには、その吸血鬼の血を体に取り込むこと。体に取り込んだ吸血鬼の血は一時的に人を吸血鬼化させて人間ではありえないパワーを与えられること。そして、その血を取り込むと5%の確率で本当に吸血鬼になってしまうこと。そして、事は本当に起きたの。だから私はその血を使った。そして私は、その血を取り込んで5%を引き当てちゃったの。そして樹希を巻き込んで一緒に吸血鬼になってもらったの。」
目の前の彩人くんは、とても驚いていた。
「でもまさか、人間だと思ってた人が人狼だったなんて、思ってなかった。どうしてって聞いてきたときも本当に私たちが離れたことを心配して怒ってくれてたのかと思ってたのに・・・」
私は、人間の友達だと思っていた彼を信じて心配させたことや突然いなくなったことを謝ろうと思っていた。そして嘘交じりにストーリーを話して去ろうと思ってたのに。
巻き込みたくなかったのに。
なのに、勘違いされた上に人間ですらなく、襲い掛かられるなんて。
そう思うと涙が出てきていたらしい。頬が少し濡れて、冷たかった。




