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落第者と四次元の迷宮(1)

あたしの名前は小鳥遊飛鳥。どこにでもいる普通の高2。

それはさておいて、あたしは、毎朝同じ電車の同じ車両に乗り合わせる先輩に密かな想いを寄せている。しかし、密かな想いに留めておくのも今日までだ。駅に着いたら、呼び止めて想いを伝えるのだ。

そう決意して来た。

あと一駅。通勤ラッシュとは逆の下り電車、人ごみに揉まれて見失うことはありえないが、少しだけ先輩との距離を詰める。

『次は~』

篭ったマイクの車内案内が次の駅が近いことを告げる。鼓動が高鳴り、緊張がピークに達しているのが自分でも解かる。緊張のせいだろうか、ぐらりと、視界が歪んだ気がした。

・・・・・

「あれ?あたし」

そうそう、今日こそ想いを伝えるって決めたんだよね。

しっかりしないと、舞い上がってる場合じゃないよ。

軽く頭を振って気合を入れなおす。あたしは、降りたホームで見失わないように、先輩との距離を少しだけ詰めた。

『次は~』

篭ったマイクの車内案内が次の駅が近いことを告げる。

鼓動が高鳴り、緊張がピークに達しているのが自分でも解かる。緊張のせいだろうか、ぐらりと、視界が歪んだ気がした。

・・・・・

「あれ?れ?」

あたしは、得体の知れない違和感を感じながら、周囲を見回す。いつもの通学風景。朝起きて、今日こそ想いを伝えると決意して意気揚々と家を出た。いつもの時間の電車に乗って、いつもと変わらない先輩をチラ見しながら駅に着くのを待つあたし。

そう、何もおかしなことはないじゃない。

現状を再確認して、先輩との距離を少しだけ詰めた。

『次は~』

篭ったマイクの車内案内が次の駅が近いことを告げる。鼓動が高鳴り、緊張がピークに達しているのが自分でも解かる。緊張のせいだろうか、ぐらりと、視界が歪んだ気がした。

・・・・・

「えーと…あれ?」

あたしは、何だかよく解からない違和感に首を捻る。

いや、この違和感にさえも違和感を感じる。なんだか解からないモヤモヤした気持ちを抱えたまま流れてゆく外の景色を眺める。そうだ、こんな些細なことを気にしている場合じゃない。長い月日を経てやっとできた決意。今日を逃したら、次に告白の決意が出来るのはいつになるか解かったものじゃない。

あたしは、先輩との距離を少しだけ詰めた。

『次は~』

篭ったマイクの車内案内が次の駅が近いことを告げる。

「やっぱり変」

既視感、と言うのだったろうか。何度も同じような事を経験している気がする。

「あー、ヤバい。これはヤバいよー」

不意に、緊張感の欠片もない舌っ足らずな少女の声が上がる。怪訝に思ってあたしが声の方を振り向くと、あたしの腰の丈ほどのウサギがゴスロリ衣装をなびかせて、二本足でトテトテと駆けて来た。信じがたいことに、着ぐるみの類とは思えない。「ヤバい、ヤバい。絶対に怒られるって」

ウサギは、しきりにそんな事をつぶやきながら、あたしの前を通り過ぎようとする。

「ちょーっと待ちなさい」

あたしは、ウサギの襟首を掴んで無理矢理に引き止める。

「ふがっ、な、なによ急に危ないじゃない」ウ

サギから抗議の声が上がる。極当たり前の反応である、が

「そんな不思議な存在から普通のリアクションなんて期待してないのよ。で、何がヤバいって?」

ウサギを問い詰める。

と、ここで、ぐらりと、視界が歪んだ気がした。

・・・・・

いつもの乗り慣れた電車、いつもの通学風景。しかし、右手には見慣れない物体。

「そろそろ手、離してくんないかな」

その見慣れない物体---襟首を掴まれたあたしの腰の丈ほどのゴスロリウサギが恨めしそうにあたしを見上げる。

「え、ウサギ!?」

「ウサギ、ですと?」あたしの驚きに疑問で返すウサギ。「あー、ミリルの姿は三次元人には見る人それぞれ違って見えるからね。ふーん、どれどれ、こんな風に見えるんだ」

なにやら一人納得するウサギ。

「何?見る人それぞれ?何言ってるの?」

「普通の人は無難に人間の姿で見るんだけどね。これはアレかね?、こちらの世界の童話にある不思議の国のアリス的なウサギ?もしかしてキミ、不思議乙女チックちゃん??」

「はぁ?なんか良くわかんないけどロリ声で侮蔑されるとすっげームカつくっ」

「まー、いいわ。それにしてもキミ、無茶するね。時間の巻き戻しを無視してミリルを捕まえるなんて、普通じゃ絶対ありえないわ」

「なにを言ってるの?」

そう言ってからふと気づく。外の景色が動いていないのは停車駅か信号待ちだと思っていたが違った。外の景色の一切が動いていない、まるで写真を貼り付けたように微動たりともしない。そして、それは外の景色だけではない。車内の誰もが凍りついたように静止している。

「なによ、これ。どうなってるの?あんた、何者なの?」

「そんな次々と質問をぶつけられてもねー。マズは自己紹介ね。ミリルの名前はミリルファードエルテ・エド・ファルサラドエルト。まー、長いから略してエイブラハム・リンカーンとでも呼んでくれたまい」

「意味わかんないわよ。自分でミリルって呼んでんだし、ミリルでいいでしょ」

「へー、思ったよりいい勘してんじゃない」

「…どんだけあたしをバカだと思ってたのよ。で、早くこの状況を説明しなさいよ」

「そうだね、あまり長く時間を止めてらんないし、手短に説明するわ。ミリルは四次元世界の時間監視官」

「ふーん。こんなちびっ子のウサギがエラそうな肩書きね」「背丈は関係ないじゃんさ。…ホントは、その…時間監視官見習いだけど」

「ほう」

あたしは不信感一杯の目で見下ろす。

「…見習いになるための試験中」

「へぇ?」

「…の追試」

「ま、そんなトコでしょうね」

さっきバカにされた仕返しとばかりに見下してやる。

どうせ夢なんだ、もうどうにでもなれ!

「それで、これは一体どういうことなのよ」

問い詰めると、ミリルは渋々ながら語り始めた。

「この三次元世界は四次元世界人が紡ぐ映画のフィルムのようなもので、時間監視官が時間のフィルムを切り貼りしながら時間が正常に流れるように導いているのよ。でもね、追試の実習問題であたしが時間の編集を「ほんの少し」間違えちゃって時間の流れがほつれたのね。結果、同じ数分間を延々と繰り返し続けるようになってしまったのだよ」

「つまり、あたしが先輩に告白できないのはミリル、あんたのせいなのね!?」

「そんなに怖い顔しないでよ。ほら、時間のほつれが直ればまた時間は正常に流れるんだから」「直んなきゃ一生告白できなくて同じ数分間を繰り返し続けるって事じゃないのよ」

「普通の人は繰り返してることさえ気づかないよ」

「あたしは気づいちゃったのよ!そもそも気づかなければ良いって問題でもないでしょ」

「まあまあ、直れば良いことがあるんだから、少しは我慢してよね」

「何よ良い事って」

「告白、うまくいくよ」

ボソリと耳打ちする。

「それを聞いたらいつまでも待ってられるかっ!いいわ、あたしも手伝う」

「そうね、早く直れば試験官に気づかれずに済むかもしれない」

そんな打算と思惑と利益が合致して、共同戦線を張ることにした。

「いい?このループから抜け出すには時間のほつれを見つけ出す必要があるの。ほつれは、そうね。普段と違う所、『違和感』として目に見ることができるハズよ」

「つまりは、雑誌によくある間違い探しみたいなもんね」

「その認識は遠くないと思う。ともかく、いつもと違うところを見つけたら教えて」

「解かったわ」

「それじゃ、時間を…」

というミリルの言葉は何者かに遮られた。

「なぁ」

とあたしに声をかけてきたのは

「先輩!?」

そう先輩だった。「

うとうと眠ってふと目を覚ますと、いつも同じ駅で停車していた気がするんだが、どーなってるんだ?それに、この車内。いや、外の景色もおかしくないか?」

悪夢の続きを見ているような、そんな面持ちで尋ねてくる

。どうやら、彼だけは止まっていたのではなく、寝ていたようだ。

ちょっとミリル!どーなってるのよ!

あたしにだってわかんないよ。なんで停止している時間からもループする時間からも外れているの?!あんた何者?」

、ミリルは時間がループしていることと、それを直すには時間のほつれを見つける必要があることを簡潔に

説明する。当然、告白云々のくだりは飛鳥が厳重に口封じをしておいた。

「さあ、時間を動かすよ。あまり一時停止が長いとテープが伸びちゃう」

「はぁ?比喩表現じゃなくて今時本当にテープなの!?」「あったりまえじゃない。世界が限られたビットで区切られるデジタルデータなんかで表現できるはずがないでしょ。だから三次元世界の編集は難しいの。ほら、余計なおしゃべりはここまで。時間が動き出したら、ほつれを見落とさないでよ。ぜったいこの辺りにあるんだから」

「解かってる。何よりもあたしのために。さっさと始めましょう」

かくして、再び時間が動き出した。




「時間のほつれ、普段と明らかに違う場所」

あたしたちは全神経を集中させて『時間のほつれ』を探す。「ほつれ、ほつれ…。ぶっ!!まさか、これじゃぁ…」

「見つけたの?」

メリルに期待に満ちた瞳が眩しい。

「乗客が、全員白目を剥いている」

「ぶー、ハズレ。これはミリルから挨拶代わりのほんのエンターテイメンツ!」

「な・に・やってんの・よっ!あ・ん・た・は!!」

「イタイイタイ」

「そんなんだから編集失敗して時間のほつれ作るのよ!自覚なさい!!」

「でも受けてたじゃん」

口を尖らすミリル。

「やかましい!」

ミリルにヘッドロックを決める。ザワザワ。周囲が騒がしい。

「なに、苛め?」

「DVかしら?これだから若い母親は…」

そんなヒソヒソ話が聞こえる。そう、相変わらず『あたし』にはウサギに見えるミリルだが、その他の乗客には(その姿は各々まちまちだが)おおよそ小さな子供に見えているのだ。

「いえ、そんなんじゃ…」

周囲からの圧力をしどろもどろに取り繕う。それにしても、娘と母親には無理があるだろう!!好き勝手言いやがってー!

と、ここでまた時間が巻き戻った。



短めにまとめる予定です。よろしくお願いします。評価もお願いしますー。

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