差し込む未来への手がかり
あの囁きが聞こえてから、ソルは異様な変化を遂げていた。
生き残った者たちのなかでも失ったものがあまりにも多かったはずのソル。
しかし、一夜ですっかり笑顔を貼り付けて街中を歩く姿が見られるようになっていた。
生き残った他の仲間たちは不審におもいつつも、彼が少しでも生きることに前向きにまれるのであればと見守ることにしたのだった。
『マリア。君のための人形が完成するまで、もう少し待っていてくれ』
夜な夜な彼は作業する。今までよりもずっと精巧な人形を組み立てるために。
再びマリアを生み出すために。
ソルの瞳は相変わらずどす黒く濁っていた。
彼の目にうつっているのは現在でも未来でもなく過去のみ。
ただマリアを取り戻すことだけだった。
ある日のこと。
ソルの営むドールハウスに一人の少年が訪れた。
『ごめんください』
『誰だ。ここに何のようだ』
『あの、ここってドールハウスであっていますか?
ドアから少し見えたあの女の子の人形がとても素敵で、ぜひ見せていただきたいんです』
『あれが見えたのか』
ソルはあえて人目につきにくい場所に人形を置いていた。
かつては目立つように美しく飾り付けていたが、今の彼にはそんな気力は一切なかった。
他に優先すべきことがあるのだから、どうでもいいとさえ感じていた。
それでもソルは人形を愛する気持ちは残っていた。
不気味な雰囲気を漂わせているドールハウスになってしまったが、街に戻ってからドールハウスを再開させたのは、自分の人形が誰かの目にとまる喜びを忘れたくなかったからでもあったのだろう。
『好きなだけ見ていけ』
『あ、ありがとうございます』
少年ショーンは最初、興味からの勢いでドールハウスの扉を開いたが、ソルの生み出した本物の人形を近くで見たとき、たしかに恋に落ちてしまったのだった。
『あの、店主さん!』
ショーンはソルの消えていった奥の部屋、作業室のドアを思いっきり開けながら叫んでしまった。
『僕を弟子にしてください!!』
『今すぐに出ていけ!!!』
『弟子にしてくれるまで、毎日来ますから』
ショーンとソルが出会ったことで、新たに物語が動き出す。
その時、空気が震えた。
ちょっと伝わりづらいですかね?もしかしたら書き直すかもしれません。
ショーンくんはこれからどうなるのでしょうか。
再び悲劇が起きるかどうかについては、彼も関わってくるかもしれませんね。




