47,突入部隊。
古井戸の抜け道を通って、ダードン要塞内に向かう。ただダクは、大きさ的にも肉体負傷からしても、留守番。
というけで要塞内突入メンバーは、私、ユリシア、リスダン、ドラゴ、ガリーナ、ローレライ(古井戸内に水がなくてガッカリしていた)、ビリーロスト(すでに巨大蜘蛛化ずみ、でかいけども蜘蛛だから、すいすい抜け道を移動中)、アンジェラ、チキータ、そしてヨーナス(狼化モード中)。
先陣をきったのはリスダンとドラゴであり、ほぼ同時に要塞内への入口(暖炉だよね、もちろんだよ)から突撃。ちょうどそこにいた敵勢力の兵を瞬殺した。
ユリシアが溜息をつく。
「捕虜をとるという発想が、なぜ湧かないのでしょう?」
「無益な殺しはしない、という精神だよね、ユリシアちゃん」
「違いますわ、お姉さま。拷問して敵勢力の情報を聞き出すのですのよ」
「そういう性格だったよね、ユリシアちゃん」
「実利主義ですわ」
全員が抜け道から出たところで、ここはダードン要塞内のある部屋だと判明。そこから廊下の様子をうかがリスダン。
「わが君。敵勢力の兵を何体か発見しましたが、主力クラスはこの階層にはいないようです」
「ひとまずユリシアちゃんが欲しがっている捕虜を取ってきて」
「御意」
リスダンの仕事は早く、50秒後には、私たちの真ん中に捕虜の兵が一人、恐怖で漏らしながら座り込んでいた。
ユリシアが小首をかしげる。
「〈古き者たち〉の兵は、どうも練度が低いようですのね?」
その練度の低い兵が、叫びながら訴えた。
「ま、まま、まってくれ! 俺は、なにも好き好んで、こんなとをしているわけじゃないんだ! ただ命じられたまま行動しているだけだ! 拒否権はないんだ! きょ、拒否しようとすると、頭が割れるように痛くて──頭が売れるように、痛いんだっっ!」
ユリシアは怪訝そうな顔のまま言った。
「雇われ兵ということですの? ということは〈古き者たち〉の純粋戦力は、たいしたことがない? それとも温存しているのでしょうか? とにかく、あなたが属する侵略軍の構成を話しなさい。兵士は何人いるのですか? あなたのような雇わればかりなのですか? 指揮を執っているのは、〈天路歴程〉の一人ですか? それらを話せば、あなたの命は助けます」
「そ、それは──ぐぁぁぁぁぁ!!」
とたん、その捕虜の頭部が吹き飛んだ。
あまりにいきなりなことで、私は動けず。そして目に、なんか飛んできたゴミが入った。ゴミというか、これは──
「ああー! ユリシアちゃん、目に脳みそが、私の目に脳みその欠片が入ったんだけど! ユリシアちゃん! 目に脳みそ!」
「お姉さま落ち着いてください。目をパチパチすれば、涙とともに流れでます。目をパチパチしてください」
「パチパチ」
「口に出さなくてもよいので、目をパチパチです」
目をパチパチしたところ、脳みその欠片が涙として出ていった。いやぁ、びっくりしたなぁ。
「にしても、いきなり捕虜の頭部が吹っ飛ぶなんて。どーいうこと?」
「捕虜の頭部が爆発したのは、わたくしの尋問に答えようとしたからでしょう。すなわち、『自勢力の情報を外部に漏らそうとした』ことが引き金となり、この捕虜に埋め込まれていた、魔導または特殊技が発動したのでしょう。
またこの捕虜は、『命令に逆らったら拒否権はない、頭が割れるように痛いから』と話していましたが、これも同じことのようです。すなわち『命令に拒否したら』、頭部が爆発するのでしょう」
「うーん。じゃあ、雇われ兵たちは、本当に望まずに、この戦いに参加させられているんだね。そんなエグいことをする敵とは?」
「これほどの強力な能力を持っていることからして、〈天路歴程〉の一人であることは確実でしょう」
「うーん。頭部が爆発するんじゃ、捕虜を尋問して、敵勢力の情報を聞き出すなんて無理だね」
「どうでしょう。それは『尋ねかた』によるかもしれません。たとえば、『自勢力の情報を漏らしている』という自覚がないまま話させることができれば、『外部に情報を漏らしたら頭部爆発』を回避できるかもしれません。ものは試しです。リスダン、捕虜をあと何人か連れてきてくださいませ」
で、何が起きたか。ユリシアは次から次へと捕虜を尋問し、さまざまな方法を試していった。結局、捕虜が5人ほど『頭部爆発』したところで、必要な情報を絞り出すことができた。
ユリシアは、ふぅと溜息をついた。
「すでにダードン要塞は敵の手に落ちています。要塞侵略軍の指揮官であり、〈天路歴程〉の一人は、いまは大ホールにいるようですわね。そして地下牢に、クック少将などの捕虜が囚われていると。ふむ。これだけを聞き出すのに、苦労しましたわね」
「……この部屋、爆発で飛び散った脳みそだらけなんだけども」
「掃除が大変ですわね」
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