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神々との契約者  作者: 黄昏の月人
第1章生誕の守護者
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第8節 覚醒への序章

少年は戦う、守るべきものがあるから。

少女は願う、少年の無事を。



なんだ!?

目の前で突然閉まった門。

どう考えてもの普通の状態じゃない。

意識を切り替えて周囲を探ると、微かな魔力を感じた。

他の人達がいないのを考えると、恐らくは人払いの結界。

こんな事が出来るのは魔術師、または魔法剣士(マジックナイト)のみ。

僕の頭の中に一人の男の顔が浮かんだ。

「困りますなぁお客様。勝手に帰られては」

右奥の茂みの中からその男、庄悟が姿を現す。

さっきの連絡はエリアAで庄悟が(・・・)暴れているというものだった。

すでに仲間が向かっているけど、ジャミング。

恐らくは電波障害魔法によって通信が使えなくなっている。

そのため早急の解決が求められ、非番の僕にも連絡が回ってきた、というものだった。

でも、その庄悟がどうしてここにいる?

テレポートの魔法なんて存在しないはずだし、コピーか?

いや、考えるのは後にしよう。

今はとにかく、二人を守らないと!

僕は急いで二人の元へ駆け寄ると、カバンの中からキューブを取り出す。

それを地面に置いてボタンを押すと、青い透明なフィールドがドーム状に広がった。

「この中にいる限りは安全だから、絶対に外に出ないで!」

「分かった」

「え、ええ」

雪は初めてじゃないからそこまで動揺してないけど、朝美の方は少し心配だ。

でも悪いけど、今は構ってられない。

雪が何とか説明してくれることを信じて、僕は目を閉じた。

「日ノ本に君臨せし太陽の女神よ、我が願いを聞き入れ給え。我は汝を求むる剣なり。我に汝の力を貸し与え給え。さすれば我は、汝の敵を切り裂く鋭利なる刃と為らん。我こそは、神々の代行者なり!!」

代行者化を済ませ、太陽の剣を握りしめてフィールドの外に出る。

「よう真、久しぶりだな」

「エリアAにいるはずの君がどうしてここにいる?」

「あれは俺の替え玉さ、気にすんな。それよりも、この間の借りを返させてもらうぜ!」

例の漆黒の剣を抜き一息に距離を詰めてくる庄悟。

それを刀を横向きにして正面から受け止める。

前回の戦いから庄悟の力は大体把握している。

少し危険かもしれないけど、早めに決着をつけるために超近接戦闘(インファイト)に持ち込む。

「どうした、今日はずいぶんやる気だな。女に良い恰好を見せたいのか?」

「そんなつもりはない。これが最適だと判断しただけだ」

剣を弾き、すぐさま手を返して下から斜めに切り上げる。

庄悟はそれを身をひねって回避し、後方に下がって距離を開けようとする。

もちろんそんなことはさせない。

すり足の要領で距離を即座に詰め、刀を横薙ぎに振るう。

力よりも速さを優先したその斬撃は簡単に防がれたが、牽制にはなった。

止められた刀から力を抜き、身をかがめる。

そして立ち上がる時のバネを利用してさっきとは逆向きに刀を振り上げる。

横からの衝撃に力を込めていたところに、急激な下からの斬撃。

庄悟も剣の向きを変えて対応しようとしたが、そのまま剣を大きく弾く。

そこから大上段からの振り下ろしで首元に振り下ろそうとするが、庄悟の手がこちらに向くのが見えて刀を引いて横に飛ぶ。

その一瞬後に庄悟の手から一条の雷が直線状に走り抜けた。

距離は離れてしまったけど、確かに手ごたえはあった。

見ると庄悟の頬から血が流れていた。

「くそ、流石の実力だな。あの女に手柄の一部を取られるのは気に入らないが、この際仕方ない。こい、スパークウルフ!」

庄悟の呼びかけとともに、虚空から一匹の狼が姿を現した。

もちろん、そんな現れ方をする狼が普通なわけがない。

毛並みが黄色いし、体の所々が放電している。

「魔獣か」

魔獣とは邪神から生み出されたものだ。

神々が生み出した神獣、ドラゴンなんかとは対極に位置する存在。

一般にはあまり知られていないけど、野生の魔獣の討伐依頼も案外多い。

発見が比較的容易であるため、大きなニュースになる前に討伐が済んでいる。

「行け、スパークウルフ。喰い尽くせ!」

狼が大口を上げて突進してくる。

予想以上に速いけど、対応できないわけではない。

狼が飛び上がり、僕の首元を咬み切ろうとする。

それを直前で回避し、刀に大きく魔力を送る。

刀身から炎が噴き出し、振り返りざまに刀を振り抜く。

急所を切り裂いた確かな手応えと共に、狼は大きく後方に吹き飛んでいった。

それを横目で確認して、庄悟に向けて刀を大上段に構える。

この一撃で決めて見せる!

今までで一番多くの魔力を送り込み、刀身が真紅に輝きながら炎を吹き出す。

そして振り下ろそうとして庄悟のほうを見ると、庄悟の口元には余裕の笑みが浮かんでいた。

危険を感じた僕は刀を引き戻して体を横に投げ出す。

けれど遅かった。

何かが僕の脇を通り過ぎ、右脇腹に鋭い痛みが走った。

「くっ・・・」

右膝をついたまま脇腹を押さえると、べったりと血が付いた。

顔を上げて確認すると、そこにはあの狼がいた。

「そんな、確かに急所を切ったはず。どうして?」

「残念だがそいつは普通じゃないんでね。心臓がちょいと特殊な場所にあるんだわ。さて、そんじゃあそろそろ死んでもらおうか」

庄悟が剣を構え、狼が走りだそうと前屈みになる。

僕の背筋を、冷たい汗が流れた。



危機に陥った真。

果たして真は無事に生き抜く事が出来るのだろうか。

次回を乞うご期待。

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