第7節 三人の休日
少年たちは遊園地へと向かう。
そこに何が待つのかも知らずに。
カーテンから差し込む日の光と目覚まし時計の音で今日も目を覚ました。
昨日は興奮でなかなか寝付けなかったせいでまだ少し眠い。
時計のアラームを止めてから時間を確認してみると・・・
「わ~~!!」
真君たちとの約束は8時に駅前に集合。
でも今は7時40分。
遅刻確定・・・
私の頭の中で鐘の鳴る音が響いた。
私は大急ぎで着替えると、カバンを持って家を出た。
それまでにかかった時間は7分で最短記録だったけど、もう遅い。
結局私が駅に着いたのは8時30分だった。
駅前には当然、真君と明らかに機嫌が悪そうな朝美。
「真く~ん!朝美~!」
私が手を振りながら呼ぶと、真君も手を振ってくれた。
「はぁ、はぁ、遅れてごめん」
「心配しなくても、私たちもさっき来たばかりよ」
「え、なんで?」
「あんたにはわざと早い時間を知らせておいたのよ。
どうせ遅れるだろうと思って。まさか30分も遅れるとは思わなかったけど」
「まぁまぁ、来たんだからいいじゃないか朝美。それよりも早く行こうよ」
真君に促されて朝美も歩き出す。
でもそっと私の方に近寄ってきて耳打ちする。
「この減点は大きいわよ。何とか挽回しなさい」
「・・・うん」
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何とか午前と言える時間帯に到着したけれど、私はあまりの悲惨さに頭を抱えた。
以前から思ってはいたけど、雪には女子力というものが皆無だった。
私は隣で死んだ魚のような眼をした雪を見ながら今日のことを思い出す。
~ジェットコースター~
「あははは!楽しい!」
「普通、こういう時は叫ぶんじゃないの?」
「・・・あ」
~昼食~
「やっぱりどれもこれもおいしい!」
「真よりも多く食べて大丈夫なの?」
「・・・あ」
~お化け屋敷~
「いやーー!!」
「私にしがみついてどうするのよ?」
「・・・あ」
結局雪は真に対して、何一つアピールできないまま終わっていた。
当の真は自分から意見を言うことはほとんどなく、逆にほとんど雪が決めていた。
どんだけ人が出来てるのよ。
いい加減引くわ。
「あんたはもう少し女の子らしさを勉強したほうがいいわね」
「うん。私もそう思った」
高かった太陽も沈みかけてる夕暮れ。
泊まるつもりもない私たちは遊園地の外に向かって歩いてる。
「今日はありがとう、二人とも。遊園地なんて久しぶりだったから、嬉しかったよ」
真のその言葉に嘘はなさそう。
何とか休日に誘えただけ良しとするしかないわね。
「私も楽しかった。今度また三人で遊びに行こうね!」
「二人が良いなら、僕もぜひ行きたいな」
たぶん無意識なんだろうけど、さりげなく次の約束も取り付けたのは良いことね。
本当なら二人で行かせたいんだけど、しばらくは私もついていったほうがいいわね。
雪一人じゃ何をやらかすかわかったもんじゃないわ。
・・・それにしても変ね。
私たちのほかに帰ろうとする人の姿が見えないことに私は疑問を感じた。
出口はここだけじゃないけど、さすがに一人もいないというのはおかしいと思う。
今日何かあったかしら?パンフレットには何も無かったはずだけど。
私が頭を悩ませていると、真の携帯が鳴り始めた。
「はい、真です。・・・はい・・・はい。え、今からですか?・・・え!?分かりました、すぐに行きます!」
家族にしては不自然な会話ね。バイトでもしてるのかしら?
「ごめん二人とも。急用ができたから先に帰るね」
「・・・気を付けてね」
「ありがとう」
走り始めた真の後姿を、雪は心配そうに見つめている。
雪は事情を知ってるのかしら?
「・・・あ!?」
雪の突然の大声にその視線をたどると、真が出ようとした出口が不自然に閉じたところだった。
なに・・・あれ・・・
私の背筋を、冷たいものが流れた。
果たして、真に来た連絡とは何だったのか。
彼らに襲い掛かったものとは。
次回を乞うご期待。




