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神々との契約者  作者: 黄昏の月人
第1章生誕の守護者
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第9節 契約の時

少女は願う、愛しい者を守りたいと。

そして、清らかな乙女の祈りに、神々は答える。

「真君、危ない!」

私は叫ばずにはいられなかった。

怪我をしてから真君の動きが弱まってる。

一人と一匹に攻められて、今じゃ防戦一方。

もしまた怪我をしたら、きっと真君は・・・死ぬ。

助けたい、でも私には何も出来ない。

朝美の方を確認してみると、朝美は顔を真っ青にして静かに真君の方を見てる。

朝美はファンタジー物の小説とかゲームが好きでたくさんやってるから、私以上に真君の今の状態が分かるんだと思う。

もしかしたらと思って携帯を取り出してみたけど、画面に表示されてるのは圏外。

助けを呼ぶこともできないなんて。

「ぐっ・・・!」

そうしている間にも、真君のうめき声が聞こえてくる。

大好きな人が危ないのに、私は見ていることしかできない。

それが、どうしようもなく悔しい。

気づけば、膝をついて涙を流していた。

なんで・・・なんで私はこんなに弱いの?

欲しい。

真君を、誰かを守れるだけの力が欲しい。

なんでも、悪魔だっていい。

私に、力をちょうだい!!

(その祈り、確かに聞き届けた)

え?

聞いたことのない声が聞こえてきたかと思ったら、私は真っ白な空間にいた。

「なに・・ここ?」

「人の子よ」

背後から聞こえた声に振り返ると、そこには一人の女の人が立ってた。

ドレスみたいな真っ白な服の上に青色の胸当てを着けていて、腰には矢筒、そして背中に透き通るぐらいにきれいな氷でできた弓を背負っている。

「人の子よ、我の声が聞こえるな?」

「は、はい!」

「妾の名はアルテミス。オリンポスの空に君臨せし者なり」

アルテミス、その名前は私でも知ってる。

ギリシャ神話、オリンポス十二神の一人で、狩猟と月の女神って朝美が言ってた。

そんな人が、どうして?

「汝の願い、確かに聞き届けた。汝の潜在能力は、妾と契約するに十分値する。よって汝、妾と契約を交わすか?」

「はい、お願いします!」

契約ってのがどんなのかは分からないけど、たぶんこれが、エージェントになる事なんだって思う。

「良いのだな?今の平穏な生活を捨て、戦いの日々を送ることになるのだぞ?」

「大丈夫です。その力で誰かが守れるなら、私は戦います!」

私が叫ぶと、アルテミス様は柔らかく微笑んだ。

「良かろう。汝、白花 雪。我アルテミスとの契約をここに完了した。その力で、汝の大切な者たちを守ると良い」

「はい、ありがとうございます」

アルテミス様の姿が消えて、景色が元に戻った。

状況は変わってなくて、アルテミス様と話していた間、時間はあんまり進んでなかったみたい。

私は立ち上がって深呼吸をする。

アルテミス様は何も教えてくれなかったけど、私には分かる。

神様の、アルテミス様の代行者になるための祝詞が!

「オリンポスの空に君臨せし狩猟の女神よ、我は汝と契約を交わせし者なり。今こそ契約に従い、我に汝の弓矢を貸し与え給え。さすれば我は、全ての闇を射貫く氷原の狩人と為らん。我こそは、神々の代行者なり!」

私の周囲に冷気が吹き、氷が私の体を包んでいく。

その氷が割れると、私の格好はアルテミス様の格好を、そのまま私のサイズにしたものになってる。

左手を前に出すと、氷が弓の形になって収まって、腰に矢筒が現れる。

私のその変化に隣にいた朝美が気付かないわけなくて、目が合った。

「雪、あんた・・」

「行ってくるね」

朝美とはもう何年も一緒にいる親友。

そのたった一言だけで理解してくれたみたいで、大きくうなずいてくれた。

「頑張りなさい」

「うん!」

前を見てみると、狼が真君に突進していた。

私はフィールドの外に出ると、弓に矢をつがえる。

時間が無いから大まかに狙いを定めて、指を離す。

弓と同じで氷でできた矢は、狼のおなかに命中した。

エージェントとなった雪。

雪は真を救う事が出来るのだろうか?

雪が持つ力とは?

次回を乞うご期待。

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